全体像 ここでは残っていた犯罪類型、刑罰、特殊な事案の区別を埋める。個々の罪では「主体・客体・行為・結果と因果関係・故意や目的」を確認し、違法性阻却・責任・未遂・共犯・罪数を必要に応じて重ねる。基本の総論全体は既存の接触済み範囲にあるため、この章だけを刑法全範囲の代替にはしない。 6-1. 総論の残り・適用範囲 刑法総論は、どの法を誰のどの行為へ適用できるかを先に定める。犯罪の成立は通常、構成要件該当性、違法性、責任の順に検討し、目的等の主観的要素も具体的事実から認定する。 参照:R-PEN [CL-002] 罪刑法定主義の内容 犯罪と刑罰は行為前の法律で明確に定める必要があり、慣習刑法と絶対的不定期刑は許されない。裁判官が「悪い行為だから」という理由だけで処罰を作ることはできない。明確性、遡及処罰の禁止、類推解釈の禁止、刑罰の適正が具体的な争点になる。 [CL-003] 拡張解釈と類推解釈 語義の可能な範囲と規定趣旨に収まる拡張解釈は許され得るが、処罰範囲を被告人に不利に広げる類推解釈は許されない。拡張か類推かは名前で決めず、文言から国民が予測できる範囲を超えるかを示す。被告人に有利な解釈まで一律に禁止されるわけではない。 [CL-004] 刑罰法規の時間的適用 行為後に刑が変更されたときは軽い刑を定めた法を適用し、犯罪成立自体を遡って不利益に変更できない。刑法6条と憲法39条が基礎になる。法定刑の新旧比較と、処罰規定自体の廃止、施行日前後の経過規定を分けて読む。 [CL-005] 国内犯・旗国主義 日本国内で罪を犯した者には国籍を問わず刑法を適用し、日本船舶・航空機内の罪も国内犯として扱う。行為地又は結果地の一部が国内にあれば国内犯となり得る。日本国外の日本船舶・航空機にも1条2項が適用されるが、日本人が外国で犯した全犯罪に当然適用されるわけではない。 [CL-026] 目的犯の目的 行使目的、営利目的、不法領得の意思等は故意と別の主観的要素であり、実行行為時にその目的があれば最終実現は不要である。目的は、外形が同じ行為をより危険な犯罪として限定する要素である。不法領得の意思は財産犯で判例上要求される主観的要素で、条文に明記された目的と区別する。 [CL-205] 国外犯 国外の犯罪には、日本国民・公務員・日本人被害者に関する罪種別規定又は条約上の義務がある場合に刑法を適用する。保護主義による通貨偽造等、国民の国外犯、公務員の国外犯、日本人に対する一定の国外犯等が条文で列挙されている。国籍だけでなく犯罪の種類を合わせて確認する。 6-2. 刑罰とその執行 法定刑から宣告刑へ進み、その刑を実際に執行するか・途中で社会内処遇へ移すかを別々に考える。執行猶予、仮釈放、刑の時効、刑の消滅は、時点と効果が異なる。 参照:R-PEN [CL-082] 刑の種類 主刑は死刑、拘禁刑、罰金、拘留、科料であり、没収は主刑に付加して言い渡す付加刑である。拘禁刑は従来の懲役・禁錮を一本化した刑で、2025年6月1日施行。罰金は原則1万円以上、科料は1000円以上1万円未満、拘留は1日以上30日未満である。 [CL-083] 法定刑から宣告刑まで 法定刑を選択し、再犯等の加重、法律上減軽、併合罪加重、酌量減軽の順に処断刑を定め、その範囲で宣告刑を量定する。加減順序は刑法72条による。法定刑は条文に書かれた枠、処断刑は加重減軽後の枠、宣告刑は判決で個人に言い渡す刑であり、混同しない。 [CL-084] 再犯加重 拘禁刑の執行終了又は免除後5年内にさらに拘禁刑に当たる罪を犯す等の要件を満たすと再犯として刑を加重する。再犯は「前科がある」だけでは足りず、前刑の執行終了・免除からの期間等を要する。再犯加重では有期拘禁刑の長期を2倍以下とするが、刑法14条の上限にも従う。 [CL-085] 自首と首服 捜査機関に犯罪又は犯人が発覚する前に、犯人が自発的に犯罪事実を申告して処分を求めると自首となり、刑を減軽できる。親告罪で告訴権者に申告してその措置に委ねる首服にも同様の扱いがある。単に犯行を認める自白と、自首は異なる。犯罪自体が知られていても犯人がまだ捜査機関に発覚していない段階なら、自首となり得る。 [CL-086] 執行猶予 全部・一部執行猶予は刑種・刑期、前科、再犯防止の必要等の法定要件を満たすときに付し、期間中の再犯等で必要的・裁量的取消しがある。全部猶予の基本は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金、猶予期間1年以上5年以下である。再度の全部猶予には2年以下の拘禁刑・特に酌量すべき情状等の特則があり、一部猶予は3年以下の拘禁刑について再犯防止の必要性・相当性等を要する。猶予期間中の犯罪で起訴されている場合には、期間経過だけで直ちに言渡しの効力が失われない特則にも注意する。 [CL-087] 仮釈放 拘禁刑受刑者に改悛の状があり法定期間を経過したとき、行政処分で仮釈放を許すことができる。満期での釈放とは異なり、期間経過だけで当然に認められるものではない。有期刑は刑期の3分の1、無期刑は10年の経過が法定の最短要件で、経過すれば必ず釈放されるわけではない。仮釈放中は保護観察が付き、無期刑に固定の残刑期間があるわけでもない。 [CL-088] 刑の時効 刑の言渡し確定後、刑種・刑期に応じた期間その執行を受けないと、刑の時効により執行の免除を得る。ただし死刑は除かれる。死刑には刑の時効がない。刑法32条の基本期間は、無期30年、10年以上の有期20年、3年以上10年未満10年、3年未満5年、罰金3年、拘留・科料・没収1年で、停止・中断を別途見る。起訴できる期間を定める公訴時効とは別制度である。 [CL-089] 没収と追徴 刑法19条の犯罪組成物・供用物・生成物・取得物・報酬物等は、所有関係その他の法定要件を満たせば没収できる。追徴は没収不能なものすべてに当然認められるのではなく、刑法19条の2又は個別の規定を要する。没収は物自体を国へ帰属させ、追徴は対応する価額を金銭で徴収する。刑法19条の2の一般的な追徴は19条1項3号・4号の物を対象とし、犯罪に使った物が没収できない場合すべてを当然に含むわけではない。 [CL-090] 両罰規定と法人処罰 法人処罰には明文の規定が必要である。代表者以外の従業者による業務上の違反について、法人の選任・監督等の過失を推定し、必要な注意を尽くした証明による免責を認めるのが判例である。代表者自身の行為については、法人自身の行為との関係を区別する。自然人の刑法上の罪をそのまま法人に適用することはできず、法人を処罰する個別の規定が必要である。行為者の処罰と法人側の責任・免責の判断を分ける。 参照:R-CORP [CL-091] 刑法上の期間・刑期計算 期間は原則として暦に従い、刑期は裁判確定日から起算し、未決勾留日数算入や拘禁刑・拘留の日数計算を条文で処理する。確定しても身体拘束を受けていない日は原則として刑期に算入されない。受刑初日は時刻を問わず1日とし、未決勾留の全部又は一部を本刑へ算入する刑法21条等と区別する。 [CL-207] 刑の消滅 刑の執行終了又は免除後、罰金以上の刑を受けず10年を経過する等の要件を満たすと、刑の言渡しが効力を失う。拘禁刑以上は原則10年、罰金以下は原則5年、刑の免除の言渡しは原則2年という区別がある。これは前刑の言渡しの効力の問題で、刑の執行を妨げる時効とは異なる。 6-3. 生命・身体と医療に関わる犯罪 客体が人か胎児か、行為時の故意が何か、結果との因果関係があるかを押さえる。医療行為では適応・相当性・同意が重要で、生命を直接奪う行為が本人の同意だけで一般に適法化されるわけではない。 参照:R-PEN [CL-093] 刑法上の人の始期 胎児が母体から一部でも露出した時から刑法上の人となり、それ以前の侵害は堕胎罪の成否を検討する。分娩中のどの段階から殺人・傷害の客体になるかを分けるための基準で、判例は一部露出説を採る。出生前の行為でも出生後の人への死傷結果との関係が問題になるため、行為時点だけで結論を出さない。 [CL-094] 殺人の実行着手 殺人計画に照らし、人を死亡させる現実的危険を含む行為を開始した時に殺人の実行着手を認める。刃物を買う段階は通常予備、被害者へ切りかかる段階は通常着手となる。複数行為から成る計画では、先行行為の必要性、後続行為との密接性、結果発生の危険を具体的に検討する。 [CL-095] 殺人予備 殺人目的で凶器調達、待伏せ等の準備行為をした者は、実行着手前でも殺人予備として処罰され得る。殺意という内心だけでは予備罪にならず、外部的な準備行為が必要である。殺人予備は情状による刑の免除があり、すべての犯罪に予備処罰があるわけではない。 [CL-096] 嘱託・承諾殺人 被害者の真意に基づく嘱託を受け又は承諾を得て殺害した場合は202条が適用され、承諾の有効性を厳格に判断する。生命の処分について本人が同意しても、通常の傷害の承諾と同様に全面的な適法化はされない。意思能力、欺罔・強迫の有無、何について同意したかを調べる。 [CL-097] 自殺教唆・幇助 自殺意思のない者に決意を生じさせ又は自由な自殺を援助した場合は202条となるが、欺罔・強制で意思決定を支配すれば殺人の間接正犯となり得る。本人が自由な意思で自ら死を実行する場合と、行為者が本人を道具として殺す場合を分ける。自殺そのものは処罰されないが、その関与は202条で独立に処罰される。 [CL-098] 傷害の意義 傷害とは人の生理的機能を害し又は健康状態を不良に変更することで、外傷を伴わない病気・意識障害等も含み得る。骨折だけでなく、病気を感染させる、精神機能を障害するなども含み得る。傷害罪の成立に必ず傷害の故意を要するわけではなく、暴行の故意から傷害結果が生じる場合もある。 [CL-100] 傷害致死 暴行又は傷害の故意による行為から傷害を生じ、その危険が死亡結果として現実化したときは傷害致死罪となり得る。死亡への故意がある場合は殺人罪を検討する。暴行の故意で殴り、転倒・頭部打撲から死亡した場合も典型である。死亡が行為の危険の現実化といえるかを判断し、死の結果を認容していたなら殺人の故意を検討する。 [CL-101] 暴行罪 暴行罪の暴行は人の身体に向けられた不法な有形力の行使で、接触や傷害結果を要しない。人に向けて石を投げ、外れた場合も暴行となり得る。単に物へ力を加えただけでは足りず、人の身体に向けられた力と評価できるかが境界になる。 [CL-102] 同時傷害の特例 二人以上が共同意思なく同時期に暴行し、誰の暴行が傷害原因か不明なとき、各暴行と傷害の危険等の要件下で共同実行同様に扱う。因果関係の立証困難を補う特則で、各人に傷害を生じさせ得る暴行があること等を要する。共謀が認められる場合は通常の共同正犯で処理できる。 [CL-105] 危険運転致死傷 アルコール、高速度、妨害運転等の法定危険運転行為により人を死傷させた場合、類型ごとの故意・因果関係を満たすと成立する。自動車運転死傷行為処罰法に規定され、単なる重大な不注意が直ちに危険運転になるわけではない。正常な運転が困難な状態、高速度で制御困難など、問題の類型の文言へ事実を当てはめる。 参照:R-DRIVING [CL-106] 単純遺棄 老年、幼年、身体障害又は疾病のため扶助を要する者を移置して生命・身体を危険にさらす遺棄行為を処罰する。要扶助状態と危険な場所への移置が中心で、要扶助者の生活の世話を単に怠る場合とは分ける。保護責任のある者の遺棄・不保護には218条を検討する。 [CL-107] 保護責任者の身分 法令、契約、先行行為、事実上の引受け等により要扶助者を保護すべき具体的責任を負う者が218条の主体となる。親子という抽象的関係だけでなく、本人がどの保護を具体的に引き受け、実行できたかを見る。保護責任のない者の関与は身分犯と共犯の問題になる。 [CL-108] 保護責任者不保護 保護責任者が要扶助者の生存に必要な食事・医療等の保護をしない場合、場所的移置がなくても218条の不保護が成立する。幼児に必要な食事を与えず放置する例が典型である。生命保護の義務と実行可能性に加え、殺意があれば不作為による殺人との関係も検討する。 [CL-208] 刑法上の人の終期 人の死亡は生活機能の不可逆的停止により判断し、臓器移植法上の脳死判定が死亡判定となる場面は同法の要件に従う。通常の死亡判定と、臓器移植法6条に基づく脳死判定を混同しない。試験では臓器提供の場面か、そのための法定手続があるかを確認する。 参照:R-DONATION [CL-209] 殺人の既遂時期 被害者が死亡した時に殺人既遂となり、攻撃と死亡の間の時間・介在事情は因果関係の問題として処理する。行為時の殺意と実行着手があっても、生存していれば原則として未遂の段階にとどまる。死亡した後に初めて攻撃した場合には、生きている人への殺人の既遂にはならない。 [CL-212] 遺棄等致死傷 遺棄又は不保護の構成要件的危険が現実化して人を死傷させた場合、219条の結果的加重犯となる。要扶助者を放置した事実と、死亡の間の因果関係を検討する。必要な保護をしても死亡を避けられなかった可能性がある事案では、結果の帰属を丁寧に分ける。 [CL-240] 許された危険 社会生活上必要な行為が相当な安全措置を尽くして法的に許容される危険の範囲内なら結果が生じても違法な危険創出を欠く。自動車運転等、一定の危険を伴う活動を全面禁止せず、必要な注意を守ることを要求する考え方である。結果が重大というだけで、さかのぼって注意義務違反があったと決めない。 [CL-241] 治療行為の医学的適応性 治療行為は医学的適応性があり医療水準に適合した方法で行われることが正当業務行為として許される基礎となる。病気の治療として必要性・相当性があることと、本人の意思に沿うことを別々に確認する。医師が行ったという肩書だけで、医学的に不要な侵襲が正当化されるわけではない。 [CL-242] 治療行為と患者の同意 治療行為は原則として十分な説明に基づく患者の有効な同意を要するが緊急で同意取得不能なら推定的承諾等を検討する。同意は処置の内容・危険・代替方法を理解したうえでのものが原則である。緊急時の推定的承諾も、本人の明確な拒否等を無条件に無視できる根拠ではない。 [CL-243] 安楽死の例外性 積極的安楽死は生命侵害を原則違法としつつ厳格な要件を全て満たす場合に限り違法性阻却の余地が論じられる。以下は主に東海大学安楽死事件の横浜地裁平成7年3月28日判決等で示された議論の整理である。法律上の一般的な許可制度や、最高裁が確立した包括的な免責要件として扱わない。 参照:R-EUTH [CL-244] 安楽死と耐え難い苦痛 安楽死の許容可能性には患者が耐え難い肉体的苦痛に苦しんでいることを要する。東海大学事件で論じられたのは、積極的に死を生じさせる行為に関する耐え難い身体的苦痛である。家族の負担や抽象的な生活の質だけで、この要件に置き換えない。 参照:R-EUTH [CL-245] 安楽死と死期の切迫 安楽死の許容可能性には患者の死が避けられず死期が迫っていることを要する。回復困難な病気であることと、死期が切迫していることは異なる。終末期の判断の確かさが必要で、余命に関する推測だけで生命侵害を正当化しない。 参照:R-EUTH [CL-246] 安楽死と代替手段 安楽死の許容可能性には苦痛除去・緩和のための他の医療上の手段を尽くし代替方法がないことを要する。苦痛を取り除く他の方法が残るなら、直接死をもたらす行為の必要性は認めにくい。症状緩和の治療と、死亡を目的とする行為を同じものと扱わない。 参照:R-EUTH [CL-247] 安楽死と患者の意思 安楽死の許容可能性には生命短縮を承知した患者本人の明示的で真摯な意思表示を要する。家族の希望を、そのまま患者本人の明示的な意思と置き換えることはできない。治療中止の意思と、薬物等によって死を積極的にもたらす意思も別に検討する。 参照:R-EUTH [CL-248] 安楽死の実施方法 積極的安楽死の実施者・方法について、裁判例は医師によることや倫理的妥当性等を論じている。ただし判決ごとの要件構成を区別する必要がある。医師実施・倫理的妥当性という整理は、名古屋高裁昭和37年12月22日判決の要件論等に由来する。横浜地裁の四要件と別判決の要件を継ぎ足し、確立した六要件だと暗記しない。 参照:R-EUTH [CL-257] 堕胎の意義 堕胎とは、自然の分娩期に先立ち、人為的に胎児を母体外へ排出させ、又は母体内で死亡させることをいう。胎児の生命を保護する罪で、出生して刑法上の人となった後の殺人とは区別される。母体内で胎児を死亡させる行為も含める理解が一般的で、単なる早期排出だけに限定しない。 [CL-258] 自己堕胎罪 妊娠中の女性が薬物その他の方法で自ら堕胎したときは自己堕胎罪が成立する。女性本人による自己堕胎を対象とし、他人が行う同意堕胎等と分ける。処罰条文の有無と、母体保護法に基づく適法な医療行為とは別に確認する。 [CL-259] 同意堕胎罪 妊娠中の女性の嘱託を受け又は承諾を得て堕胎させた者には同意堕胎罪が成立する。女性の同意があっても、胎児の生命を侵害する行為がすべて適法になるわけではない。実行者が医師等の法定の業務者なら216条も検討する。 [CL-260] 業務上堕胎罪 医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が妊婦の嘱託・承諾を得て堕胎させたときは業務上堕胎罪が成立する。業務者という身分によって加重される類型である。医師であれば自由に中絶できるのではなく、母体保護法の指定・要件等を満たすかを別途見る。 [CL-261] 不同意堕胎罪 妊娠中の女性の嘱託・承諾なしに堕胎させた者には不同意堕胎罪が成立し未遂も処罰される。妊婦の意思に反して堕胎させるため、胎児の生命と妊婦の身体・意思の双方への侵害が重く評価される。同意があると誤信した場合は、故意と錯誤の問題になる。 [CL-262] 堕胎致死傷 同意堕胎、業務上堕胎又は不同意堕胎により妊娠中の女性を死傷させたときは各致死傷罪として加重される。対象となる死傷結果は妊婦本人の死傷である。堕胎行為の危険が死傷として現実化したかを確認し、胎児の死亡自体をこの加重結果と取り違えない。 [CL-263] 母体保護法上の適法な人工妊娠中絶 指定医師が母体保護法所定の医学的・身体的又は暴行脅迫による妊娠等の要件と同意手続を満たして行う人工妊娠中絶は法令行為として違法性が阻却される。法定の理由には身体的又は経済的理由による母体の健康への重大な害のおそれ等がある。原則として本人と配偶者の同意を要するが、配偶者が知れない・意思表示不能等の特則があり、未婚者に相手男性の同意を一律に要求する制度ではない。 参照:R-MOTHER 6-4. 自由・性に関わる犯罪 身体の移動、意思決定、性的自由等のどの利益が、どの方法で侵害されたかを特定する。結果的加重犯では、元の行為の危険が死傷に結び付いたかを別途判断する。 参照:R-PEN [CL-109] 逮捕罪 暴行その他の直接的強制により人の身体を拘束し、場所的移動の自由を奪った場合に逮捕罪が成立する。縄で縛る、身体を押さえ付けるなど直接の拘束をいう。短時間でも成立し得るが、社会通念上無視できるほどの一瞬の制止とは区別する。 [CL-110] 監禁罪 一定区域から脱出できない状態に置けば監禁となり、被害者が拘束を認識していない間も移動の自由が現実に奪われれば成立し得る。施錠だけでなく、逃げれば危害を加えるとの脅しで脱出を困難にする方法もあり得る。本人が自由に出られると誤信していたことだけで否定しない。 [CL-111] 逮捕監禁致死傷 逮捕・監禁の機会にその危険が現実化して死傷結果が生じれば結果的加重犯となり、監禁の継続中は途中参加・離脱も問題となる。逃げようとして合理的な行動をした結果の負傷も、監禁による危険が現実化したものかを検討する。単に同じ時刻に起きた死傷ならすべて加重されるわけではない。 [CL-112] 脅迫罪 本人又はその親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を本人に告知し、一般人を畏怖させる程度であれば、現実に畏怖しなくても脅迫罪が成立する。告知が相手に到達し、内容が認識されることは必要だが、実際に怖がったことは不要である。本人・親族以外への害悪は222条の客体に当然含めず、別罪を検討する。 [CL-113] 強要罪 暴行又は脅迫で人に義務のない行為をさせ、又は権利行使を妨害すれば既遂となり、目的未達でも未遂を処罰する。脅迫は告知自体、強要は意思決定や権利行使への具体的侵害を処罰する。謝罪文を書かせる例でも、義務が本当にあるのか、程度や方法を含めて判断する。 [CL-114] 未成年者略取・誘拐 暴行・脅迫で従来の生活環境から離脱させ自己等の支配下へ置くのが略取、欺罔・誘惑によるのが誘拐で、未成年者が客体なら目的を問わない。未成年者本人の自由と、保護監督者による保護関係が問題になる。親権者であっても、別居中の子を実力で奪う行為が当然に適法になるわけではない。 [CL-115] 目的犯としての略取誘拐 営利、わいせつ、結婚、生命・身体加害、身代金、国外移送等の目的に応じて条文と法定刑が異なり、目的は実行時に必要である。まず年齢・方法・支配移転を確認し、その上で何の目的があったかを特定する。身代金目的では近親者等の安否への憂慮を利用して財物を交付させる目的がポイントになる。 [CL-116] 不同意状態を生む原因行為 暴行・脅迫、心身障害、アルコール・薬物、睡眠、虐待、驚愕、地位利用等で不同意意思の形成・表明・全うが困難な状態を生じさせ又は利用することが核心となる。被害者が抵抗しなかった、交際関係がある、婚姻しているという事情だけで同意を推定しない。個々の原因行為が、不同意の意思を形成・表明・全うしにくい状態へつながったかが中心である。 [CL-117] 不同意性交等の行為類型 性交、肛門性交、口腔性交及び膣・肛門への身体の一部又は物の挿入のうち法定行為を、わいせつ行為と区別する。性交等の法定範囲は性別や婚姻関係だけで限定されない。挿入類型にはわいせつなものという限定があり、すべての身体への挿入を一律に177条へ入れない。 [CL-118] 16歳未満の者と年齢差要件 16歳未満へのわいせつ・性交等は不同意状態の立証を要しないが、相手が13歳以上16歳未満なら行為者が5歳以上年長であることを要する。13歳未満では年齢差を問わない。13歳以上で5歳差を満たさなくても、暴行等による不同意状態を利用した行為なら通常の不同意わいせつ・不同意性交等の成立を別途検討する。 [CL-119] 監護者わいせつ・性交等 18歳未満の者を現に監護する者が、その影響力に乗じてわいせつ行為又は性交等をした場合は、明示の不同意を問わず処罰される。戸籍上の親だけでなく、生活全般を現実に監護する関係を問題にする。単なる教員・上司等の地位が常に監護者になるわけではなく、地位利用による通常の不同意類型との区別が必要である。 [CL-213] 性犯罪の致死傷 不同意わいせつ・不同意性交等又は監護者犯罪の機会に、その危険が現実化して被害者を死傷させた場合、181条が成立する。死傷への故意がなくても結果的加重犯となり得るが、因果関係は必要である。被害者の逃走時の負傷等が性犯罪の危険の現実化かを具体的に検討する。 [CL-149] 強盗・不同意性交等 強盗行為者が強盗の機会に不同意性交等を行えば結合犯となり、それにより死亡させた場合は加重類型となる。強盗と不同意性交等が別々に成立するだけか、241条の結合犯となるかを検討する。両行為の先後だけで結論を固定せず、機会の関連性と未遂の特則も確認する。 6-5. 住居・秘密・名誉 立入りの承諾、秘密の保護、社会的評価の保護では、同じ「本人が嫌だ」という事情だけで結論は決まらない。行為類型、保護される対象、公然性、正当化事由を条文ごとに分ける。 参照:R-PEN [CL-121] 侵入罪の客体 住居、邸宅、建造物、艦船は人の起臥寝食、囲障、用途等から区別し、住居等には人の生活・管理の平穏が保護される。「人の看守する」という限定が邸宅・建造物・艦船にどう掛かるかも条文で確認する。建物に付属して囲われた敷地も、建造物の一部として保護されることがある。 [CL-122] 侵入と管理権者意思 正当な理由なく管理権者の意思に反して立ち入ることが侵入であり、意思への反し方は場所の性質、立入目的・態様、管理状況から判断する。門戸が開いていることと、誰でもどんな目的でも入れることは同じではない。禁止掲示、受付、利用者の範囲、行為の目的を一緒に評価する。 [CL-123] 不退去罪 適法に又は意思に反せず立ち入った者が、権限ある者から退去要求を受けても相当時間内に退去しないと不退去罪が成立する。退去要求を受けて、現実に退去するために必要な時間が与えられているかを確認する。不法侵入後の不退去は、侵入から続く一連の侵害として罪数を考える。 [CL-124] 信書開封 封をした他人の信書を正当な理由なく開封すると成立し、内容を認識したことや秘密を第三者へ漏らしたことは要しない。信書は特定の人に意思を伝える文書で、封のあることが必要である。電子メールを無断閲覧する事案を直ちにこの条文だけで処理しない。 [CL-125] 名誉毀損の成立 公然と具体的事実を摘示し、人の社会的評価を低下させる危険を生じさせれば、その事実の真偽を問わず名誉毀損が成立する。公然性は不特定又は多数人が認識し得ることをいう。少人数への告知でも伝播可能性が問題となり、真実だから当然に犯罪不成立とはならない。 [CL-126] 真実性証明による不処罰 公共の利害に関する事実を公益目的で摘示し、重要部分が真実と証明された場合は230条の2により罰しない。公共性・公益目的・真実性の三つを順に確認する。公務員・公選公務員の候補者に関する事実には特則があり、単なる私生活暴露との違いを押さえる。 [CL-127] 真実性の誤信 公共性・公益目的等の要件を満たす場面で、摘示事実を真実と誤信し、確実な資料・根拠に照らして誤信に相当な理由があれば、名誉毀損の故意責任を否定する。後で誤報と判明しただけで当然に犯罪となるわけではないが、噂をうのみにしたというだけでも足りない。情報源、裏付け、調査の程度から相当な根拠があったかを見る。 [CL-128] 侮辱罪 具体的事実を摘示せず、公然と人の社会的評価を害する軽蔑的表示をすると侮辱罪が成立する。「不正な金を受け取った」のような事実の摘示か、単なる悪罵・評価かを分ける。刑が2022年に引き上げられており、旧教材の軽い法定刑をそのまま用いない。 [CL-214] 秘密漏示 医師、弁護士等の法定身分者が、正当な理由なく業務上取り扱ったことについて知った他人の秘密を第三者へ漏らすと成立する。秘密は、一般に知られておらず本人が知られない利益を有する事実である。本人の有効な同意や法令上の義務による開示など、正当な理由の有無を確認する。 [CL-215] 名誉罪の親告罪性 名誉毀損罪と侮辱罪は、原則として被害者等の適法な告訴がなければ公訴を提起できない。親告罪性は訴追条件の問題で、告訴がないから行為自体が適法になるわけではない。告訴権者、期間、取消しは刑事訴訟法で確認する。 [CL-264] 住居侵入罪の保護法益 住居侵入罪は住居等を誰にどのように利用させるかを決める管理権とその平穏を保護する。保護法益には住居権説・平穏説等の議論があるが、答案では管理権者の意思に反する立入りという判例の判断へ事実を結び付ける。抽象的な学説名だけで結論を決めない。 [CL-265] 侵入の判断基準 侵入は管理権者の意思に反する立入りをいい場所の性質、管理状況、立入目的及び態様から客観的に判断する。管理権者の意思は掲示や管理方法から客観的に判断する。本人の内心で悪い目的を持つだけで、あらゆる公開場所への立入りが侵入になるわけではない。 [CL-266] 公開場所への目的外立入り 店舗・庁舎等の一般公開場所でも公開目的と著しく相いれない目的・態様で管理権者の意思に反して立ち入れば建造物侵入となり得る。窃盗等のために店舗へ入る事案では、一般の買物客への立入りの承諾がその行為にも及ぶかを検討する。場所の機能と利用目的の食い違いを具体的に説明する。 6-6. 財産犯の周辺・特殊な取引 財物か財産上の利益か、誰の占有・財産を侵害したか、人の処分行為があるかを先に分ける。民法上の権利帰属と刑法の保護範囲が一致しない場面に注意する。 参照:R-PEN [CL-217] 毀棄罪の親告罪性 私用文書等毀棄、器物損壊等の刑法264条所定犯罪は、適法な告訴がなければ公訴を提起できない。公用文書等毀棄や建造物損壊まで全部が親告罪なのではない。刑法264条がどの条文を列挙するかに戻って判断する。 [CL-237] 盗品等関与罪の親族特例 盗品等関与罪には、盗品等の本犯者と関与者との一定の親族関係に基づく必要的な刑の免除がある。一般の窃盗等に関する244条と親族の範囲が完全に同じとは限らない。親族関係は原則として盗品等の本犯者と関与者との間で判断する。257条は配偶者、直系血族、同居親族に加えてこれらの者の配偶者を含み、親族でない共犯には適用しない。 [CL-267] 誤振込みを知った受取人の告知義務 誤振込みを知った受取人は払戻請求時にその事実を銀行へ告知する信義則上の義務を負う。銀行には誤振込みの有無を調査し、振込依頼人等と調整する利益がある。受取人に預金債権が生じ得るという民法上の扱いと、銀行への告知義務を混同しない。 [CL-268] 誤振込みの窓口払戻し 誤振込みの事実を秘して銀行窓口で払戻しを受ける行為は銀行員を欺いて現金を交付させる詐欺罪となる。告知義務に反して誤振込みを黙っていることが欺罔となる。窓口担当者の錯誤、払戻しという処分行為、現金交付までの因果の連鎖を示す。 [CL-269] 機械取引の財産犯類型 無権限でATM内の現金を取得する典型例は窃盗、虚偽情報等を電子計算機へ与えて財産上の利益を取得する典型例は電子計算機使用詐欺となる。自動機器を利用したという事情だけで罪名を決めない。現金という財物を奪うのか、預金債権等の利益を不正に取得するのかをまず分ける。機械は錯誤に陥る「人」ではないため、通常の詐欺罪の人への欺罔・処分行為をそのまま置けない。 [CL-270] 盗取カードによるATM払戻し 他人のキャッシュカードを無権限で用いてATM内の現金を引き出す行為はATM管理者の現金占有を侵害する窃盗となる。盗んだカードを使う場合、ATM内の現金は利用者本人の占有物ではない。カードの窃取と現金の窃取は別の侵害として罪数も検討する。 [CL-271] 他人名義クレジットカードの対面使用 他人名義のクレジットカードを正当な利用権限があるように装って加盟店員に提示し商品を受け取る行為は加盟店を被害者とする詐欺となる。カード名義人本人が使用しているかは加盟店の交付判断に重要な事項となる。後で代金を払うつもりだったという事情だけで、本人使用を装う欺罔がなくなるわけではない。 [CL-272] カード情報によるオンライン決済 他人のカード情報等を無権限で入力し、虚偽情報に基づく電子処理によって財産上の利益を得る場合は電子計算機使用詐欺を検討する。オンライン取引全般を同罪へ一括することはできない。オンライン取引だから常に246条の2、とはしない。取得したものが現物商品か、電子マネー等の財産上の利益か、人による交付判断が介在したかにより通常の詐欺等との区別が必要になる。 [CL-273] 自己名義カードと支払意思 自己名義カードでも利用時から代金支払意思・能力がなくその点が加盟店の交付判断に重要なら詐欺罪が成立し得る。購入後に事情が変わって払えなくなっただけでは、利用時の詐欺の故意が当然に認められるわけではない。利用時点の意思・能力と、何を欺いたかを特定する。 [CL-274] 被害者死亡直後の占有 殺害直後に被害者の財物を奪う場合は時間・場所の接着性や当初意思により被害者の占有がなお刑法的に保護されるかを判断する。死者が民法上の占有主体でないというだけで、殺害者による直後の奪取を占有離脱物横領と決めない。殺害時から奪取目的があれば強盗殺人等との関係も検討する。 [CL-275] 不動産二重譲渡と横領 不動産を第一買主へ譲渡した売主が登記を保持したまま第二譲渡して移転登記を了すると第一買主の物を占有する者として横領罪が成立し得る。第一買主へ所有権が移っていても、登記名義を持つ売主に刑法上の占有が認められ得る。民法177条で第二買主が対抗できることと、売主の横領責任は別問題である。 [CL-276] 二重抵当と背任 抵当権設定登記に協力すべき任務を負う者が先順位の別抵当権を設定して財産上の損害を与えると背任罪が成立し得る。第一の抵当権者のため登記協力等の任務を負っていたかが重要になる。自己又は第三者の利益を図る目的等、任務違背、財産上の損害を順に確認する。 [CL-277] 不法原因給付と財産犯 民法上返還請求できない不法原因給付物でも事実上の占有・財産秩序を刑法が保護するため奪取行為に財産犯が成立し得る。違法な取引に関わる金銭でも、暴行や欺罔によって自由に奪ってよいわけではない。返還請求の可否と、他人の占有・財産を侵害したかを分ける。 6-7. 公共危険・集団犯罪 個別の被害だけでなく、不特定人の生命・身体や公共の平穏への危険を処罰する類型である。予備や集合の段階を処罰する条文は例外なので、対象犯罪と目的を限定して読む。 参照:R-PEN [CL-218] 消火妨害 火災の際に消火用の物を隠匿・損壊し、その他の方法で消火を妨害すると、公共危険を増大させる罪が成立する。火災を起こした本人以外の者にも成立し得る。消火ホースを切断するなど、現実の火災時に消火作用を妨げる行為が中心になる。 [CL-219] 放火予備 108条又は109条1項の放火目的で準備行為をした場合、実行着手前でも放火予備として処罰される。ガソリンを準備するなど、目的に向けた外部的準備行為を要する。自己所有非現住建造物等への放火は、この予備処罰規定の対象に当然には含まれない。 [CL-231] 凶器準備集合・結集 二人以上が他人の生命・身体・財産へ共同加害する目的で凶器を準備して集合し、又はその集合を知って人を集めると成立する。実際に傷害・損壊に着手する前の集団的危険を処罰する。凶器があることを知らない参加者まで当然に同じ責任を負わせない。 [CL-233] 往来危険 鉄道・船舶の通行設備を損壊・閉塞し、その他の方法で汽車・電車・艦船の往来に危険を生じさせると成立する。事故や死傷の発生前でも、法定の交通上の危険が生じれば成立する。列車の往来妨害と道路交通での違法行為は、適用条文を分ける。 [CL-234] 騒乱罪 多衆が集合して暴行・脅迫を行い、地域の平穏を害する程度に至ると騒乱罪となり、首謀者・指揮者・付和随行者を区別して処罰する。人数だけではなく、集団の暴行・脅迫が地域の公共の平穏を害する規模に達しているかを見る。集団の中で果たした役割により責任の重さが異なる。 6-8. 通貨・文書・印章・電子記録の信用 偽造は名義を偽る有形偽造、虚偽作成は内容を偽る無形偽造という区別が出発点である。作成・所持・行使を分け、紙の文書と対応する電磁的記録について、2025年改正後の条文を参照する。 参照:R-PEN [CL-184] 通貨偽造 行使目的で通用する貨幣・紙幣・銀行券を偽造又は変造すると成立し、流通に置く前でも既遂となる。保護対象は通貨に対する社会の信用であり、本物らしい外観を備えるかが問題になる。偽造は権限なく作ること、変造は真正な通貨へ変更を加えることである。 [CL-185] カード電磁的記録の不正作出等 支払用カードを構成する電磁的記録を不正に作出・供用・譲渡・所持する各行為を、支払決済への公共的信用を害する罪として区別する。カードそのものの窃取、情報の不正作出、その後の商品取得は別の行為である。記録の作出目的や行使目的等を各条文に沿って確認し、一つの罪名にまとめない。 参照:R-DIGITAL [CL-186] 不正指令電磁的記録 正当な理由なく、人の電子計算機で意図に反する不正な指令を与える記録を作成・提供・供用・取得・保管する各要件を区別する。利用者の意図に反する動作という反意図性と、その指令が社会的に許容されないという不正性を区別する。単に利用者が知らない処理があるだけで直ちにウイルス罪になるわけではない。 参照:R-DIGITAL [CL-220] 虚偽公文書作成 公務員が行使目的で職務に関し内容虚偽の文書・図画を作成し、又は変造すると無形偽造の特別処罰規定が適用される。作成名義の真正を偽る有形偽造と、権限ある公務員が内容を偽る無形偽造を区別する。公務員の部下が上司の補助者として作る事案では、作成権限と名義を具体化する。 [CL-221] 偽造通貨行使 偽造・変造通貨を真正な通貨として流通に置き、又は行使目的で交付・輸入すると各行為に対応する罪が成立する。偽札を店員に本物として差し出す行為が典型である。取得時に偽造を知らず後から知って使用した場合には152条の特則を確認する。 [CL-278] 有価証券の意義 有価証券は財産上の権利が証券に表示され権利の行使・移転がその証券をもってされるものをいう。手形、小切手など、証券と財産権が結び付くものが典型である。単なる領収書は権利そのものを証券化したものではなく、通常は文書の問題になる。 [CL-279] 有価証券偽造・変造 行使目的で権限なく他人名義の有価証券を作成し又は真正な有価証券の同一性を害さず変更すると有価証券偽造・変造罪が成立する。名義人と実際の作成者の同一性を偽るのが有形偽造である。本物の証券でも権限なく金額を書き換えるなど、重要な内容の変更は変造となり得る。 [CL-280] 有価証券の虚偽記入 作成権限者が行使目的で真正な有価証券に内容虚偽の記入をすると有価証券虚偽記入罪が成立する。有価証券については、名義が真正でも内容を偽る無形偽造を刑法162条2項が処罰する。私文書一般では無形偽造が原則として処罰されないこととの違いが重要になる。 [CL-281] 偽造有価証券の行使等 偽造・変造又は虚偽記入のある有価証券を真正なものとして使用し又は行使目的で交付・輸入すると偽造有価証券行使等罪が成立する。相手に実際の財産損害が生じることは必須ではない。有価証券の信用を害する行使と、金銭を得るための詐欺の成否・罪数を分ける。 [CL-282] 印章偽造罪の保護法益 印章偽造罪は印章・署名及びこれらに対応する電磁的記録印章等の真正に対する公共の信用を保護する。印章等は作成名義や意思の真正を示すため、その信用を独立して保護する。2025年改正による電磁的記録印章等の類型もあり、紙と印鑑だけに限定しない。 参照:R-DIGITAL [CL-283] 公印等の偽造 行使目的で公務所・公務員の印章等又は電磁的記録印章等を権限なく作出すると公印偽造等罪が成立する。公務所・公務員の名義を示す印章等について、権限のない作出を問題にする。公文書を偽造した場合には、印章行為と文書行為の関係も検討する。 参照:R-DIGITAL [CL-284] 公印等の不正使用 真正な公印等を権限なく使用し又は偽造した公印等を使用すると公印不正使用等罪が成立する。本物の印章でも無断使用なら対象となり得る。偽造物を使った場合と区別し、行使の目的や使用行為に関する各項の文言を確認する。 参照:R-DIGITAL [CL-286] 公正証書原本不実記載等 公務員への虚偽申立てにより、権利・義務に関する公正証書原本等に不実の記載・記録をさせる行為は、刑法157条や電磁的記録に対応する規定の対象となる。申立人がうそを述べ、事情を知らない公務員に公的証明の基礎となる記録を作らせる場面が中心である。公務員自身が故意にうその文書を作る155条・156条の場面と分ける。 参照:R-DIGITAL [CL-287] 免状等の不実記載 公務員に虚偽の申立てをして、免状・鑑札・旅券等の所定の文書や対応する電磁的記録へ不実の記載・記録をさせる行為は処罰される。対象は免状・鑑札・旅券等の条文所定の証明文書・電磁的記録である。行政機関へ提出した申請書に虚偽があるだけで、直ちにこの罪が既遂になるわけではない。 参照:R-DIGITAL [CL-288] 不実記載公正証書等の行使 不実記載・記録をさせた公正証書原本等を真正な内容のものとして使用するとその供用・行使罪が成立する。作らせた不実の原本等を、その証明内容に従って使用する段階を別に処罰する。作成と使用の行為段階を区別し、紙と電子記録の対応条文を確認する。 参照:R-DIGITAL [CL-289] 虚偽診断書等作成 医師が公務所へ提出すべき診断書・検案書・死亡証書等について、故意に虚偽の内容を作成する行為は刑法160条及び電子記録に対応する特則の対象となる。すべての医療文書の誤記を処罰する規定ではなく、医師・公務所へ提出すべき所定の文書等・故意の虚偽が必要である。2025年改正後は対応する電磁的記録についても特則がある。 参照:R-DIGITAL [CL-303] 私印等の偽造 行使目的で他人の印章・署名等又は対応する電磁的記録印章等を権限なく作出すると私印偽造等罪が成立する。他人の印章・署名等を、本物の名義表示として使う目的で権限なく作る行為をいう。他人の名前を書いたという外形だけでなく、署名としての性質と権限を確認する。 参照:R-DIGITAL [CL-304] 私印等の不正使用 真正な他人の印章等を権限なく使用し又は偽造した私印等を使用すると私印不正使用等罪が成立する。本物の実印を借りて許された範囲を超えて押印する場合にも問題になる。使用の承諾の有無・範囲と、偽造文書を作る行為との関係を検討する。 参照:R-DIGITAL 6-9. 信用・業務の保護 信用は経済的評価、業務は継続的な社会活動を守る。手段が虚偽情報・偽計・威力・電子計算機への働きかけのどれかを区別して、必要な危険・結果を検討する。 参照:R-PEN [CL-187] 信用毀損 虚偽の風説の流布又は偽計によって、人の経済的な側面の社会的評価を害すると信用毀損罪が問題になる。保護される信用は支払能力・支払意思に限られない。最高裁平成15年3月11日判決は、販売される商品の品質に対する社会的信頼も信用に含むとした。企業の支払能力・意思だけに限定しない。 参照:R-CREDIT [CL-188] 威力業務妨害 人の意思を制圧するに足りる勢力を用い、継続的な社会活動としての業務を妨害する危険を生じさせれば成立する。威力は相手が現実に屈服したことまでは要しない。大量の迷惑行為でも、態様によって偽計か威力かを分け、業務の現実の停止までは必須としない。 [CL-189] 保護される業務と公務 適法性を欠く活動でも直ちに業務性を失わず、公務は強制力行使の有無や公務執行妨害罪との保護関係から業務妨害罪の対象かを判断する。公務だから業務妨害罪が一律に排除されるわけではない。権力的な公務か、通常のサービスのような非権力的公務かという性質を具体的に見る。 [CL-190] 電子計算機損壊等業務妨害 業務用電子計算機又は電磁的記録の損壊、虚偽情報・不正指令等により目的に沿う動作を妨げ、業務を妨害すると成立する。虚偽の予約情報を入力した場合でも、どの計算機がどう本来の動作を妨げられ、業務へ影響したかを特定する。この罪は未遂も処罰される。 [CL-222] 偽計業務妨害 人を欺き、誘惑し又は他人の無知・錯誤を利用する偽計により、社会生活上の業務を妨害する具体的危険を生じさせると成立する。うその注文をして商品を大量に準備させる行為等が典型である。虚偽の風説の流布による妨害と偽計による妨害を、信用毀損の保護対象との違いも含めて分ける。 6-10. 公務・司法作用への犯罪 職務が適法か、誰の刑事事件か、何の証拠かを具体化する。犯人本人の防御に関わる特則と、第三者を使った妨害行為を同じ扱いにしない。 参照:R-PEN [CL-191] 公務員への暴行・脅迫 職務を執行する公務員に対し、職務と時間的・場所的に関連する暴行・脅迫を加えれば、現実の妨害結果がなくても成立する。暴行は公務員本人への直接接触に限らず、職務執行に影響する間接的な有形力も含み得る。職務が終わった後の単なる私怨の暴行とは区別する。 [CL-192] 職務の適法性 保護される職務は一般的・抽象的権限、具体的権限及び重要な手続・方式を備える必要があり、適法性は客観的に判断する。違法な逮捕・捜索に対する抵抗の場面で重要になる。職務の適法性を誤信したという主観だけで客観的に違法な公務が保護されるわけではない。 [CL-193] 封印等破棄 公務員が施した封印又は差押えを表示する標示を損壊・除去し、その他その効用を害すると成立する。破ったり剝がしたりしなくても、標示を見えなくするなど効用を失わせれば対象になる。標示が公務員の適法な公的処分に基づくかも確認する。 [CL-194] 逃走罪の類型 裁判の執行で拘禁された者等が拘禁作用を脱する単純逃走と、拘禁場・器具の損壊、暴行・脅迫、通謀による加重逃走等を区別する。適法な拘禁作用を保護する犯罪であり、自由に帰れる任意同行から立ち去ることとは異なる。逃走者本人の罪と、外部の者が逃がす罪を区別する。 [CL-195] 犯人蔵匿・隠避 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中逃走者を、官憲の発見・逮捕から免れさせる蔵匿・隠避行為を処罰する。蔵匿は隠れる場所を提供すること、隠避はそれ以外の方法で発見・逮捕を困難にすることである。身代わりとして出頭する例も隠避となり得る。 [CL-196] 他人の刑事事件の証拠 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅・偽造・変造し、又は偽造等の証拠を使用する罪で、自己事件や共犯者事件との関係を区別する。証拠は物証だけでなく刑事事件に関する広い資料を含む。自己と他人の事件が重なる場合は、誰のどの事件の証拠を害したかを分ける。 [CL-197] 証人等威迫 自己又は他人の刑事事件の捜査・裁判に必要な知識を持つ者やその親族に、面会強請又は威迫をすれば証人等威迫罪が成立する。公判で証人として採用される前の参考人等も対象になり得る。通常の連絡と、刑事手続のための知識を持つ人への圧力となる行為を区別する。 [CL-198] 偽証罪の虚偽 法律により宣誓した証人が自己の記憶に反する陳述をすれば偽証となり、客観的真実との不一致だけでは決まらない。記憶どおりに話した内容が客観的に誤っていても、それだけで偽証ではない。反対に、記憶に反して話したことが偶然真実だった場合も虚偽性が問題となる。 [CL-199] 虚偽告訴 人に刑事又は懲戒処分を受けさせる目的で、客観的に虚偽の事実を捜査・懲戒権限ある機関へ申告すると成立する。単に虚偽を話しただけでなく、他人に刑事・懲戒処分を受けさせる目的が必要である。捜査等の適正と、虚偽申告の対象となる人の利益を保護する。 [CL-223] 強制執行妨害目的財産損壊等 強制執行を免れる目的で財産を隠匿・損壊し、仮装譲渡・仮装債務負担をする等の法定行為をすると成立する。自分の財産でも、債権者が適正に執行を受ける利益を害すれば処罰対象になる。執行を免れる目的と、強制執行を受ける具体的な状況を確かめる。 [CL-235] 公務員職権濫用 公務員が一般的職務権限に属する職権を濫用し、人に義務のないことを行わせ又は権利行使を妨害すると成立する。公務員が単に私生活で脅迫した場合とは異なり、職権の行使に仮託した行為であることが必要である。相手に義務のない行為をさせた等の結果も確認する。 [CL-236] 特別公務員暴行陵虐 裁判・検察・警察の職務を行う者等が職務に際して被告人・被疑者等へ暴行又は陵辱・加虐行為をすると成立する。捜査機関等による身体侵害を特に重く評価する規定である。特別公務員職権濫用による違法な逮捕・監禁の194条とは行為の種類で区別する。 [CL-238] 犯人自身の行為 犯人が自ら逃げ隠れすることは犯人蔵匿・隠避罪に当たらず、自己の刑事事件の証拠を自ら隠滅することも104条の「他人の刑事事件」に当たらない。これは自己による行為の扱いであり、他人を利用する場合は別に判断する。他人へ身代わり出頭や証拠隠滅を働きかける行為については、教唆犯が成立し得る。自己事件だから他人を使った司法妨害も全部処罰されない、とはいえない。 [CL-239] 親族による特例 犯人・逃走者の親族が本人の利益のため犯人蔵匿又は証拠隠滅等をした場合、刑法105条により刑を免除できる。105条は刑を免除「できる」という裁量的免除であり、親族なら当然に無罪になる規定ではない。本人の利益のためか、適用対象の犯罪かも確認する。 6-11. 賄賂の類型 共通の核は職務と利益の対価関係である。現職か就任前か退職後か、本人が受けたか第三者か、請託や不正行為等が必要か、誰に働きかけたかを順に比べる。 参照:R-PEN [CL-200] 賄賂と職務関連性 賄賂は公務員の職務行為への不正な対価であり、一般的職務権限に属し又は職務と密接に関連する行為との対価関係を要する。金銭以外の接待や利益も対価になり得る。社交上の贈答か賄賂かは、職務との関係、金額、時期、当事者関係等から判断する。 [CL-201] 単純収賄 公務員が職務に関して賄賂を収受し、要求し又は約束すると単純収賄が成立し、具体的な不正行為や請託を要しない。要求又は約束の段階で成立し、実際の受領は必須ではない。適法な職務行為への謝礼でも、職務の対価であれば収賄となり得る。 [CL-202] 加重収賄 賄賂を収受等した公務員が、そのために職務上不正な行為をし又は相当な行為をしなかった場合等には、197条の3による加重処罰が問題となる。197条の3第1項・第2項は職務上の不正行為等を伴う類型で、請託を常に要するわけではない。請託を要する受託収賄や同条3項の事後収賄と分けて覚える。 [CL-224] 受託収賄 公務員が請託を受け、職務に関して賄賂を収受・要求・約束すると受託収賄となり、単純収賄より重く処罰される。請託は職務上の一定の行為を依頼することで、その依頼内容が不正である必要まではない。賄賂の収受等と合わせて単純収賄から区別する。 [CL-225] 事前収賄 公務員になろうとする者が担当予定職務について請託を受け賄賂を収受等し、後に公務員となった場合に成立する。公務員になる前の受領を処罰する特則であり、実際に公務員となることが必要である。予定する職務との関係がなく、単なる私的な金銭授受なら足りない。 [CL-226] 第三者供賄 公務員が請託を受け、職務に関して第三者へ賄賂を供与させ又は供与の要求・約束をすると成立する。公務員本人に利益が入らないから収賄類型が成立しない、とはいえない。ただし第三者への供与と職務上の請託・対価関係が必要である。 [CL-227] 事後収賄 公務員であった者が在職中に請託を受け職務上不正な行為等をし、退職後にその対価として賄賂を収受等すると成立する。在職中の請託と不正行為等、退職後の対価収受等を時間順に整理する。退職者が過去の適法な一般職務について謝礼を受けたというだけで本類型の要件がそろうわけではない。 [CL-228] あっせん収賄 公務員が請託を受け、公務員としての立場で、他の公務員に職務上不正な行為をさせ又は相当な行為をさせないようあっせんすること又はしたことの報酬として、賄賂を収受・要求・約束すると成立する。自分自身の職務処理への賄賂ではなく、別の公務員へのあっせんの対価を問題にする。積極的な地位利用や報酬授受前のあっせんの実施は必須ではない。単なる私人の立場での紹介と、公務員としてのあっせんを区別する。 参照:R-BRIBERY [CL-229] 贈賄 刑法197条〜197条の4の賄賂を供与し、又は申込み・約束をした側には贈賄罪が成立する。相手が受領を拒否しても、賄賂の申込み自体で成立し得る。収賄側と贈賄側の行為段階・故意をそれぞれ判断する。 6-12. 風俗・宗教・婚姻に関わる犯罪 社会的法益を保護する犯罪でも、犯罪成立は個々の条文の限定に従う。私的な行為をどこまで処罰対象に含むか、行為の公然性や利益目的の有無を確認する。 参照:R-PEN [CL-203] 賭博罪 偶然の勝敗により財物・財産上の利益の得喪を争えば賭博となるが、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまる場合は処罰しない。結果が当事者に確実に予見できないという偶然性が必要である。一時の娯楽に供する物の例外を、少額の現金なら常に許されるという意味に広げない。 [CL-204] 公然わいせつ 不特定又は多数人が認識できる状態で、社会通念上性的羞恥心を害するわいせつ行為をすると成立する。公然性は現実に見た人がいることまでは要しない。性的行為でも、他人が認識できない完全な私的空間の行為とは区別される。 [CL-230] わいせつ物頒布等 わいせつな文書・図画・電磁的記録媒体等を頒布し、公然陳列し、又は有償頒布目的で所持・保管すると成立する。わいせつ性と頒布等の行為類型を区別する。電気通信によるわいせつな電磁的記録の頒布も対象となり、個人が単に私的に持つだけの場合とは異なる。 [CL-232] 死体損壊・遺棄 死体、遺骨、遺髪又は棺内蔵置物を損壊・遺棄・領得する行為は、死者への宗教的・社会的敬虔感情を害する罪となる。遺棄は社会通念に照らした葬祭・埋葬義務等に反して死体等を放置する行為である。死体を一時保管した事情だけから直ちに遺棄と決めない。 [CL-297] 礼拝所不敬 公然と神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し不敬な行為をすると礼拝所不敬罪が成立する。宗教的感情や死者への敬虔の情を社会的に保護する規定である。宗教批判一般を禁じるものではなく、礼拝所等に対する公然の不敬行為を対象とする。 [CL-298] 説教・礼拝・葬式の妨害 説教、礼拝又は葬式を妨害すると礼拝等妨害罪が成立する。宗教儀式や葬式が平穏に行われる利益を保護する。実力で中断させるなどの妨害行為を問題とし、単なる反対意見の表明と区別する。 [CL-299] 墳墓発掘 墳墓を発掘すると死体等を取り出したかを問わず墳墓発掘罪が成立する。埋葬された場所の平穏を守るため、掘り返す行為自体を処罰する。死体等の損壊・遺棄・領得を伴う場合には190条・191条との関係を検討する。 [CL-300] 重婚罪 配偶者のある者が重ねて婚姻し又はその相手方として婚姻すると重婚罪が成立する。法律上の婚姻を重ねる犯罪で、交際や事実上の同居だけを直ちに重婚とはしない。先の婚姻の存在と後の婚姻成立について故意が必要である。 [CL-301] 常習賭博 反復累行する賭博習癖の発現として賭博をすると常習賭博罪が成立する。単に行為回数を数えるのでなく、賭博習癖の発現かを判断する。常習性が認められれば一度の行為でも成立し得る。 [CL-302] 賭博場開張等図利 利益を得る目的で賭博場を開張し又は博徒を結合すると賭博場開張等図利罪が成立する。自ら賭けたかではなく、利益目的で賭博の場所や集団を組織・運営したかが中心になる。手数料等による利益を狙う場面を想定すると理解しやすい。 6-13. 国家の存立に関わる犯罪 内乱は国内の統治秩序への暴動、外患は外国の武力行使との関係を扱う。政治的意見表明一般とは別に、厳格な目的・行為・外国との関係の要件が置かれている。 参照:R-PEN [CL-290] 内乱罪 国の統治機構を破壊し又は領土で国権を排除して権力を行使する目的で暴動をすると内乱罪が成立する。国の基本的な統治秩序を標的とする目的と、集団的な暴動が必要である。政治的主張や通常のデモ、単なる騒乱と区別する。 [CL-291] 内乱罪の身分別処罰 内乱罪は首謀者、謀議・指揮者、付和随行者等の役割に応じて法定刑を区別する必要的共犯である。同じ暴動に参加しても、計画の主導、指揮、追随等の役割を特定する必要がある。一般の共同正犯の枠だけで全員を同一の法定刑にしない。 [CL-292] 内乱予備・陰謀 内乱の予備又は陰謀をした者は暴動の実行に至らなくても処罰される。陰謀は複数人が内乱実行について具体的に合意することをいう。漠然と不満を話すだけで足りず、予備も実行に向けた外部的準備が必要である。 [CL-293] 内乱等幇助 兵器、資金又は食糧の供給その他の行為で内乱又はその予備・陰謀を幇助すると内乱等幇助罪が成立する。暴動そのものの実行に加わらなくても、供給等による援助が独立の処罰対象になる。故意と、内乱等を助ける客観的関係を確認する。 [CL-294] 外患誘致罪 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させると外患誘致罪が成立する。外国と意思を通じ、その外国に日本への武力行使をさせることが要件である。一般的な外交への批判や外国との経済取引とは全く異なる。 [CL-295] 外患援助罪 日本国に対して外国から武力行使があったときこれに加担して軍務に服し又は軍事上の利益を与えると外患援助罪が成立する。既に外国からの武力行使があることを前提とする。外国軍への軍事的援助という法定の関係を要し、単なる外国への好意的言論では足りない。 [CL-306] 内乱罪等の自首免除 内乱の予備・陰謀又は内乱等幇助をした者が暴動前に自首したときは刑を免除される。暴動前に思いとどまらせるための必要的な刑の免除である。一般の自首の任意的減軽とは異なり、適用対象は内乱の予備・陰謀と内乱等幇助である。 [CL-307] 外患罪の予備・陰謀 外患誘致又は外患援助の予備若しくは陰謀をした者は実行着手前でも処罰される。国家の存立への危険が大きいため、完成した外患罪だけでなく準備・具体的な合意を処罰する。外患誘致・援助の目的内容があるかを先に確かめる。 参照法令・資料 [R-PEN] e-Gov・刑法 https://laws.e-gov.go.jp/law/140AC0000000045 確認範囲:刑法の構成要件・刑種・効果。2025年の拘禁刑化・電子文書関係改正後。 [R-CORP] 内閣府・両罰規定に関する最高裁判例資料 https://www8.cao.go.jp/chosei/dokkin/archive/kaisaijokyo/mtng_8th/mtng_8-6.pdf 確認範囲:代表者以外の従業者による業務上違反の選任監督過失の推定。 [R-DRIVING] 自動車運転死傷行為処罰法(e-Gov) https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC0000000086 確認範囲:危険運転致死傷の法定類型 [R-DONATION] 臓器の移植に関する法律(e-Gov) https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC1000000104 確認範囲:臓器移植の場面での脳死判定 [R-EUTH] 横浜地裁平成7年3月28日判決・東海大学安楽死事件(判決本文) https://square.umin.ac.jp/endoflife/shiryo/pdf/shiryo03/04/312.pdf 確認範囲:CL-243〜248。下級審の示した積極的安楽死の枠組み。一般的な免責法ではない。 [R-MOTHER] 母体保護法(e-Gov) https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000156 確認範囲:人工妊娠中絶の定義・指定医師・要件・同意 [R-DIGITAL] 法務省・令和7年版犯罪白書・刑法等の一部改正 https://hakusyo1.moj.go.jp/jp/72/nfm/n72_2_2_1_0_1.html 確認範囲:電子文書・電子印章の犯罪類型の改正経緯。 [R-CREDIT] 最高裁平成15年3月11日判決・信用毀損 https://www.courts.go.jp/assets/hanrei/hanrei-pdf-50043.pdf 確認範囲:CL-187。商品の品質に対する社会的信頼を含む。 [R-BRIBERY] 国会会議録・昭和33年3月25日衆議院法務委員会 https://kokkai.ndl.go.jp/simple/detail?minId=102805206X01519580325&spkNum=5 確認範囲:あっせん収賄の制定時の要件説明。
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説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。



