稀代の名経営者とされたAGラフリーの功罪

AG・ラフリーの業績には功罪両面がある。

功績(P&Gの成長・改革)

  1. 売上・利益の拡大
    • CEO就任(2000年)から退任(2009年)までの間に、P&Gの売上は約400億ドルから800億ドル以上へと倍増。
    • 利益率の向上にも成功し、株価も大幅に上昇。
  2. イノベーション戦略の強化
    • Connect + Develop(外部のアイデアを積極的に活用)」のオープンイノベーションを導入。
    • スウォッファー(Swiffer)やクレスト・ホワイトストリップスなどのヒット商品を生み出す。
  3. 事業ポートフォリオの拡充
    • 2005年にジレットを約570億ドルで買収し、男性向けグルーミング市場を強化。
    • フェミニンケアやヘルスケア分野も拡大し、多角化を進めた。
  4. コスト削減と効率化
    • サプライチェーンの改革により、コスト構造を改善。
    • 事業単位を整理し、リソース配分を最適化。

負の遺産・批判点

  1. 大規模買収の負担(ジレット買収)
    • ジレット買収は戦略的には成功したが、統合後の成長は想定ほどではなかった
    • 買収コストが高く、P&G全体の財務負担が増大。
  2. オーガニック成長の鈍化
    • 買収やコストカットに依存する戦略が強まり、ブランドのオーガニックな成長が鈍化
    • 2000年代後半以降、特にシェアを持っていたヘアケア(パンテーン)や洗剤(タイド)などの成長が鈍化
  3. ブランド数の肥大化と事業の複雑化
    • 多角化の影響でP&Gのブランド数が膨れ上がり、管理が難しくなる。
    • その後、ラフリーの後任たち(マクドナルド、テイラー)がブランドの整理を進めることになる
  4. アメリカ市場での競争力低下
    • コスト削減と標準化戦略の弊害で、ローカル市場ごとの適応が弱まる。
    • 結果、トレーダー・ジョーズやコストコPBの台頭、ユニリーバやL’Oréalなどの競争激化に対応しきれず、特にパンテーンなどのマスブランドが伸び悩む

総評:P&Gを強くしたが、次の課題も残した

ラフリーはP&Gを売上・利益ともに大きく成長させたが、
・ジレット買収の財務負担
・ブランド管理の複雑化
・オーガニック成長の鈍化
などの負の遺産を残した。

彼の後を継いだCEOたちは、買収依存の成長からの脱却、ブランド数の整理、デジタル時代への適応といった課題に取り組むことになる。

 

P&Gは、AG・ラフリー氏の退任後、複数のCEOの下で業績や戦略に変化がありました。以下に各CEOの在任期間とその間の主な業績や戦略をまとめます。​

1. ロバート・マクドナルド(2009年 – 2013年)

  • 在任期間: 2009年7月 – 2013年5月
  • 主な業績と戦略:
    • 売上高の伸び悩み: 世界経済の停滞や競争激化により、売上高の成長が鈍化。
    • コスト削減策の実施: 2012年に、4年間で100億ドルのコスト削減計画を発表。
    • 組織再編: ブランドを4つのセクターに再編し、各セクターの社長をCEOの後継候補と位置づけた。jp.wsj.com

2. AG・ラフリー(復帰)(2013年 – 2015年)

  • 在任期間: 2013年5月 – 2015年10月
  • 主な業績と戦略:
    • 経営再建の指揮: 再度CEOに就任し、業績回復に取り組む。jp.wsj.com
    • 中核事業への集中: 非中核ブランドの売却や整理を進め、主要ブランドにリソースを集中。jp.wsj.com

3. デビッド・テイラー(2015年 – 2021年)

  • 在任期間: 2015年11月 – 2021年11月
  • 主な業績と戦略:
    • 組織の簡素化: ブランド数を約100から65に削減し、組織の効率化を推進。
    • デジタルトランスフォーメーション: デジタル技術を活用したマーケティングやサプライチェーンの最適化を推進。
    • 売上と利益の回復: 組織改革とコスト削減の成果により、売上高と利益率が改善。

4. ジョン・ムーラー(2021年 – 現在)

  • 在任期間: 2021年11月 – 現在
  • 主な業績と戦略:
    • 持続可能性の強化: 環境負荷の低減や持続可能な製品開発に注力。
    • イノベーションの推進: 新製品の投入や既存ブランドの強化を通じて、市場シェアの拡大を目指す。
    • グローバル展開の深化: 新興国市場でのプレゼンス拡大と先進国市場での競争力強化を推進。

各CEOのリーダーシップの下、P&Gは市場環境の変化に対応しつつ、組織改革や戦略転換を行ってきました。これにより、売上高や利益率、そして市場シェアに変化が生じています。特に、デジタル化や持続可能性への対応は、近年の重要な戦略となっています。

 

以下に、AG・ラフリー氏の退任後(2009年以降)のP&Gの経営成績を、各CEOの在任期間ごとにまとめました。データは、P&Gの公式年次報告書および公開情報に基づいています。

会計年度 売上高 (10億ドル) 純利益 (10億ドル) CEO在任期間
2009 76.7 13.4 AG・ラフリー (2000-2009)
2010 78.9 12.7 ロバート・マクドナルド (2009-2013)
2011 82.6 11.8 同上
2012 83.7 10.8 同上
2013 84.2 11.3 同上
2014 83.1 11.6 AG・ラフリー (2013-2015)
2015 76.3 7.0 同上
2016 65.3 10.5 デビッド・テイラー (2015-2021)
2017 65.1 15.3 同上
2018 66.8 9.8 同上
2019 67.7 3.9 同上
2020 71.0 12.8 同上
2021 76.1 14.0 同上
2022 81.3 15.3 ジョン・ムーラー (2021-現在)
2023 82.0 14.7 同上
2024 84.0 14.9 同上

*注: 売上高および純利益は10億ドル単位で表示しています。

各CEOの在任期間と主な施策:

  1. ロバート・マクドナルド (2009-2013):

    • 売上高は緩やかに増加したものの、純利益は減少傾向にありました。この期間、競争激化やコスト上昇が影響したとされています。
  2. AG・ラフリー (2013-2015):

    • 再任期間中、売上高と純利益の減少が見られました。特に2015年には、非中核事業の売却や為替変動の影響がありました。
  3. デビッド・テイラー (2015-2021):

    • 在任中、売上高と純利益は回復傾向を示しました。特に2021年には、売上高76.1兆ドル、純利益14.0兆ドルと増加しています。
  4. ジョン・ムーラー (2021-現在):

    • 最新のデータ(2024年)では、売上高84.0兆ドル、純利益14.9兆ドルと、引き続き成長を維持しています。

これらのデータから、各CEOの戦略や外部環境の影響を受けて、P&Gの業績は変動していることがわかります。

AG・ラフリーの業績が「タイミングが良かっただけか?」という問いに対しては、「タイミングの恩恵を受けた部分はあるが、それだけではない」というのが妥当な評価だと思います。以下に、具体的な要因を整理します。


① タイミングの恩恵

  • バブル的な成長期 (2000年代)

    • ラフリーがCEOに就任した2000年は、世界経済がITバブル崩壊直後の調整期にあったものの、その後は新興市場の成長と消費財業界のグローバル化が進み、P&Gにとって追い風だった。
    • 中国やインドなどの新興市場の消費者層が拡大し、P&Gはこれらの市場でシェアを獲得しやすかった。
    • 低金利と安定した経済成長が続いていたため、買収(特にジレットの買収)が有利に働いた。
  • 競合の相対的な弱さ

    • 2000年代前半は、ユニリーバやコルゲート・パーモリーブといった競合企業が構造改革や事業再編に手間取っており、P&Gが市場シェアを伸ばす余地があった。
    • ヘルスケアや美容市場の拡大によって、高価格帯のプレミアム製品が売れやすかった。

② ラフリー自身の功績

  • ジレット買収 (2005年)

    • 約570億ドルで買収し、剃刀・シェービング市場での圧倒的なリーダーシップを確立。
    • ただし、この買収が長期的にP&Gにとって完全にプラスだったかは議論の余地がある(2010年代以降のリストラの原因にもなった)。
  • ブランドポートフォリオの強化

    • 既存のP&Gブランドを「メガブランド」化し、世界規模で展開。
    • 高級志向の製品開発により、利益率の高い市場を開拓。
  • マーケティングとイノベーションの強化

    • CMやキャンペーンに大規模投資を行い、消費者ブランドのポジショニングを確立。
    • 消費者のデータ活用を強化し、ターゲティング広告を推進。

③ ラフリーの負の遺産

  • 買収の負担

    • ジレット買収は短期的にはシェア拡大に貢献したが、長期的にはP&Gの事業規模を肥大化させ、リストラの必要性を生んだ。
    • 2010年代になると「事業が多すぎて経営が複雑化している」と批判されるようになった。
  • コスト構造の硬直化

    • 高級路線のブランド強化に成功したが、リーマン・ショック後の経済環境の変化(消費者の節約志向の高まり)に適応しづらくなった。
    • その結果、2010年代には価格競争に巻き込まれ、一部ブランドが苦戦。
  • 北米市場でのシェア低下

    • 特にヘアケア(パンテーン)や洗剤(タイド)など、P&Gの主力ブランドの成長が鈍化。
    • 競争環境が変化し、ユニリーバやローカルブランドにシェアを奪われた。

④ まとめ

  • ラフリーは 「運の良い時期に在任したCEO」 ではあったが、それだけで業績が向上したわけではなく、特にブランド戦略とマーケティング戦略においては優れた成果を残した
  • しかし、ラフリーが築いた戦略の一部は、後任のCEOたちにとって負担となり、結果として2010年代にはコスト削減と事業整理が求められる状況を生んだ。
  • 短期的な成功と長期的な負の遺産の両方を残した経営者 と言える。

ラフリーがP&Gに与えた影響を単なる「タイミングの問題」と片付けるのは過小評価だが、「ラフリーの時代が永遠に続いたわけではない」ことも事実だね。


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西園寺貴文(憧れはゴルゴ13)#+6σの男

   




"make you feel, make you think."

 

SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)

新たなるハイクラスエリート層はここから生まれる
         




Lose Yourself , Change Yourself.
(変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れられる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、見分ける知恵を与えたまえ。)
 
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。