沖縄テーマパーク、ジャングリアは失敗する。
需要、売上の予測、事業性の評価をすると、かなり怪しい。
実際、このプロジェクトを手がけている人間は、USJ時代に沖縄プロジェクトをやろうとして、親会社に反対されて頓挫している。親会社が反対したのには相当な理由があるはずである。
主要な論点は、
- 立地 (商圏・マーケット)
- 顧客価値
- アクセス
である。
詳細を見ていこう。
立地
ジャングリアを仕掛ける「刀」と、その子会社・沖縄現地会社の合弁であるジャパンエンターテインメントの人たちが発言している、「成功する理由」について一つ一つ検証していこう。
半径4時間圏内にアジアの主要都市がある?
いつも力説されるのが、半径4時間圏内にアジアの主要都市があり、その主要都市が経済成長している、という話である。
これのおかしさについては、こう考えてみると良い。
つまり、東京の半径4時間圏内を考えてみてほしい。
新幹線であれば、関西圏が入ってくるし、飛行機を使えば北海道・沖縄はもちろん余裕の圏内に入ってくるだろう。
じゃあ、沖縄と北海道の人間が、気軽に東京に行くのか?と考えてほしい。
沖縄から東京、北海道から東京は飛行機で片道2時間程度である。2時間ですら、可能範囲は広い。
また、それだけ動くとなると、相応の目的地がないといけないし、集客施設に魅力がないといけない。また、北海道から沖縄まで飛行機で4時間で到着する=4時間の範囲というのは
「日本全部」
が検討候補に入る。
もしあなたが、日本全土で好きなところに行けるとしたら、どうだろうか?
あなたに選ばれる確率は?
よほど旅行マニアで、「行ったことがない場所に行きたい」という需要じゃないと、僻地は選ばれづらいだろう。
4時間圏内というのは、広いのである。
つまり競合も広い。
沖縄の周囲半径4時間圏内にアジアの主要都市があるということは、そのアジアの主要都市間の往来も可能だということだ。
わざわざ沖縄を選ぶメリットは?
沖縄のハワイ化
引き合いとして出されるのが、「沖縄のハワイ化」である。
これは眉唾である。
まず、沖縄をハワイにしたところで、ハワイを世界に二つ作ることになる。だったら、沖縄じゃなくてハワイに行けば良いだろう。なぜわざわざ沖縄なのだろうか。
また、
沖縄での観光客の滞在時間と、使っているお金がハワイの半分しかない
(だから伸び代・ポテンシャルがある)
と説明されるが、これは言い方を変えると、1日あたりの支出は、もう沖縄はハワイ並みになってきているのだ。決して、沖縄で観光客がお金を使っていないわけでは無いのである。
ハワイより滞在時間が短いのは、おそらく、
「ハワイに行く人たちは長期滞在で行く」
「ハワイに行く人たちは世界中から来る」
という理由だろう。
沖縄は、アジアや国内に偏っている。
実際、1000万人の観光客のうち、外国人は30%程度だ。
となると、沖縄をハワイのデータをベンチマークにして「まだ伸び代がある」というのは、「第二のハワイを作ろうとする愚」に拍車をかけることになる。
日本人でも、
ハワイ的なものを望むなら、
「どうせなら海外へ」
「どうせならハワイへ」
となるのでは?
さらに後述するが、沖縄にハワイ的要素を強く求めるタイプ、つまり綺麗な海やアイランドバケーション性を求める人は、本島に行かない、離島に行く。
また、そもそも、年間観光客数は沖縄はもうハワイを越している。
ハワイは960万人だが、沖縄はコロナ前に1000万人に到達している。
エントロピーを計算する
集客半径(商圏)が広くなるほど、距離抵抗だけではなく、エントロピーも増してくる。つまり、ユーザーにとって、選択肢・検討候補が増える。その中から選ばれるというのは、非常に不確実性を増してくる。
ハワイ、セブ島、バリ島、グアム、プーケット島、サイパンもある。
関西・関東であれば近隣の施設込みで集客可能性があるが、沖縄は島である。島に対してダイレクトアクセスを要する。しかも飛行機でしか来れない。さらに、那覇空港に到着後は2時間の北部までの移動時間がある。
エントロピーを最大化させると、単純に選択候補の中で「どれを選ぶか」が一様分布している形になるだろう。だが、現実にはそうではなくて、べき分布的になると思われる。アジアにおいてはタイが1位である。2位が日本である。つまり日本には、アジアの観光客はもう十分訪れている。
ブランドと言っても相対的選択確率なのだから、シェアを上げて追い越したとしても今の2位が1位になるかどうか、である。そしてアジアトップの観光客は、フランスに遠く及ばない。フランスは3倍ほどの観光客がいる。
だがフランスは陸路移動が可能でもある。
同じ島国で世界の観光ランキング上位を走るのはイギリスであるが、日本の観光客数とそんなに大きな差があるわけではない。
欧米豪から選ばれる確率は?
実はもう国内からの集客の伸び代は厳しい。
順風満帆の沖縄だが、本当の意味でハワイを超えるには乗り越えなくてはならない課題もある。最大の課題は消費額の拡大だ。沖縄県の16年の観光収入6525億5400万円に対し、ハワイを訪れた旅行者による消費額は159億1120万ドル(約1兆6700億円)。ハワイは沖縄の2.5倍以上を観光で稼いでいる。この違いを生む大きな要因が滞在日数の違いだ。ハワイの平均滞在日数が8日以上なのに対し、沖縄は5日に満たない。平均滞在日数を延ばすことが、沖縄での消費額を増やす大きな力となる。
しかし、国内客に多くは期待できない。働き方改革や休暇改革が叫ばれているものの、日本人の労働環境や休暇取得率が短期間で改善するのは難しい。また外国人客も、現在の市場構成を見ると、もともと短期の旅行を好むうえに距離的にも近い東アジアからの旅行者が多く、手軽に安く短期の海外旅行を楽しむ客が中心となっている。17年の外国人客254万2200人のうち、台湾・韓国・中国・香港からの旅行者数は207万1200人と全体の8割を占める。
欧米・豪州から人を呼ぶとなると、長距離移動を要することになる。コストもかかる。つまり選択競合が増えることになる。
ましてや、アメリカ・ヨーロッパから呼ぶとなると、それこそハワイとの競合だろう。
顧客価値
一番問題は、「ジャングリア」が提供しようとしている価値が、ターゲットを踏まえた上でも、チグハグなことである。
沖縄県民は130万程度、観光客は1000万程度
沖縄県民は130万人程度しかいない。そして、観光客はコロナ前のピークが1000万程度である。
となると、沖縄県民のリピート来訪を目指した地場型だと、最大の集客ポテンシャルが顔数で年間130万人である。実際はこんなに来ないだろう。
一方、国内各テーマパークの年間来訪者の目安は、
- USJ1600万人 (2000年代後半〜2010年代前半の不調時は1000万人を割っていたと思われる)
- TDL3000万人
程度の規模感である。
「沖縄をハワイ化する」
といっても、やろうとしているプロジェクトがそもそも、USJの1/10程度の規模感で、とてもじゃないが、これが沖縄のハワイ化につながるとは思えない。もちろん、「その先」を見据えてのことではあろうが。
美ら海水族館は年間300万人規模
ジャングリアの近くにある美ら海水族館の年間集客規模は300万人規模である。
これを沖縄県民の数と比較すると、かなり、観光客(外来)に頼っていることがわかるだろう。
この美ら海水族館は北部にある。
沖縄中南部にある那覇空港から、北部への移動に際しての不便さや交通状態諸々をクリアして達成している実績数である。
だからこれがベンチマークとなる。
よって、ジャングリアは年間300万人規模の来訪を目安にするのが基本だろう。
しかし、ここで問題は、美ら海水族館は、入場料が2〜3000円だということである。安いのである。
一方でジャングリアは1万円前後を予定していることだろう。すると、年間300万人も集客できるのか?という問題が出てくる。
単純計算だと、売上規模は年間300億円となる。
そして、資金調達・投資規模は700億円規模と明かされている。
売上が丸々利益になるわけではない。
投資回収にかかる年数はどのくらいだろうか?
沖縄中南部にある九州最大の商業施設、イオンモールライカムでも300億〜400億の投資規模で、これは地域経済一体型の商業施設であり、来訪のフリークエンシーも高い。
また、美ら海水族館は、140億円規模の投資でできた施設だ。
時間の面でもブッキング(カニバリ)する
ジャングリアは、半日程度の滞在をさせる施設だろう。というかそのくらい滞在させないと、まともにアトラクションも乗れないし、顧客は価格にも満足しない。その意味では、ジャングリアに行くということは限られた観光の日程・旅程を拘束することになる。
仮にジャングリアに行った後に美ら海水族館に行くとしても、概ね1日が潰れてしまう計算になる。
刀・ジャパンエンターテインメントの説明では、
沖縄北部に1日滞在してもらう
という滞在による経済波及効果を狙っているとのことだった。
つまり、ジャングリアの狙いは、沖縄北部への滞在時間の増加と、現地での経済活性である。
しかしこれは、沖縄本島来訪者の日程を食ってしまうことになる。
例えば二泊三日、三泊四日であれば、そのうちの貴重な1日を食うのだ。
社会人は年間の休暇が限られている。
四泊・五泊出来て、
さらにお金がある余裕がある人が、
沖縄を選ぶだろうか?
滞在時間を1日分増やさせるというのは、思った以上にハードルが高い。時間を奪うだけではなく、旅行者にとってかかるコストが増える。旅行好きならわかると思うが、日程を一日延ばすと、
- 食事代
- 宿泊代
- 交通費
などがガツンと増える。二泊予定だったのが三泊くらいになれば、概ね、旅行コストは30%増〜1.5倍くらいにはなるものだ。
ハワイより沖縄の滞在時間が短い、というのは、日本国内の日本人が、一泊・二泊でお手軽にバケーションをしようと沖縄に訪れている様子が想像できる。
そして、そこには日頃の日常から離れたリラックスを求めていることが想像される。
これを、わざわざ、
沖縄那覇空港について、2時間かけて北部まで車を運転して、
恐竜スリルを楽しむために行列に並ぶだろうか?
沖縄で恐竜?
発表されているアトラクションは、
- 気球に乗る
- 花火
- 食事
- 空をロープで滑走する
- 恐竜系
などだが、そもそも「なぜ沖縄で恐竜?」となる。
本来、沖縄に訪れている人たちはリラックスを求めているのではないだろうか。
沖縄に訪れている観光客1000万人のうち、外国人が300万人で、700万人は国内需要であるが、国内の人間がわざわざ沖縄に行く理由、それは現地カルチャーや、ゆったりとしたリゾート時間を味わうためだろう。
それをわざわざ、混雑するテーマパークに行って、恐竜に追いかけられるスリルを楽しむとは一体?
チグハグに思えてならない。
大前提、沖縄マニアは「宮古島」「石垣島」などの離島に行く
沖縄本島でも十分、リゾートは味わえるが、もっと沖縄の自然・海を楽しみたい人たちは、もっと海の綺麗な離島に行く。
例えばシュノーケリングガチ勢など。
沖縄本島ではない。
冬シーズンの避暑地機能は?
沖縄は、真夏は暑いが、島のため、ヒートアイランド現象が起こらずに、実は気温が35度を超えることが滅多にない。その意味で、東京都心より涼しい。
そして、冬は冬で、海風が吹くので、体感としては結構寒い。
そのため、冬シーズンは避暑地として機能するかといえば、微妙なのである。
仮に冬シーズンに避暑地を求めて、真夏の混雑を避けて沖縄に来ている層がいたら、わざわざ混雑するテーマパークに行きたいだろうか。
もちろん、ジャングリアが、沖縄の人気のないシーズンの受け入れ場所として機能する可能性はある。
山・ジャングルが沖縄の文脈に合わない
そもそも、沖縄の観光資源として、高いブランド力があるのが海である。
ここを主軸にしたものである。
「日本における山」といえば、外国人はその多くが
マウントフジ(富士山)
をイメージするだろう。
山やジャングルを楽しみたいのであれば、日本には他に優れた施設がある。そもそも沖縄には「山」は存在しない。岳程度しかない。
ネスタリゾートの二の舞に
ネスタリゾートを成功例として掲げている刀であるが、実際はオペレーションが回っておらず、訪れた客が「もう二度と行かない」と散々な口コミを残している。
また、いつの間にか資本提携をやめて、しれっと手を引いている。
沖縄に時間を割いてやってきて、お金を使い、時間をかけて北部まで行って、現場オペレーションでパンパンの中で酷いユーザー体験を与えると、
最悪!!
となり、施設はおろか、森岡氏を筆頭とする経営会社全体に対する印象は地に落ちるだろう。
キャパシティは?
国内各主要テーマパークは、スタッフ一人当たりで5人の客を捌いていることがデータがわかる。
ジャングリアの現地採用が1200名程度の規模らしいので、概ね5000〜6000の来訪者をキャパとして想定していることが予想される。
つまり、年間フルで稼働すると、大体年間200万人規模を目指していることになる。
美ら海水族館が年間300万人であることを考えると、一応それ以下に抑えていることになる。
単価1万円なら、年間200億円規模の収益を狙うような施設となる。
もちろん、実際は「高付加価値客」「富裕層客」を狙った課金構造もどこかに設けるであろうことは予想される。
アクセス
「沖縄県民は時間を守らない」という定評があるが、これは現地の交通事情が大きい。
定時に目的地に辿り着ける交通手段がない。
全島を縦断できる電車等がない。
130万人の県民のほぼ全世帯が車を持っている。その車が一気に動くから慢性的な交通渋滞なのである。
そんな沖縄で、人を動かす施設を作ろうとしている。
アクセスとの比例的な関係
日本国内で、テーマパークの覇者はご存知オリエンタルランドである。
USJはその半分程度の規模である。
この規模は、都市規模に概ね比例的な関係がある。
やはり、都市規模が大きいと、周辺の在住者が多く、リピートアクセスが見込める。また、交通が充実している。
USJを超えるようなテーマパーク型集客施設は、関西未満のレベルの都市には存在しない。
アクセスの問題は大きい。
日本にはコンテンツとして圧倒的な力があるが、交通アクセスが悪すぎてなかなか集客が伸びないようなエリアがたくさんある。
観光客300万人は車の運転ができない
沖縄年間観光客1000万のうち、300万が外国勢だが、外国勢は交通ルールの勝手が違うために沖縄で運転をするのが難しいだろう。
よって、交通機関を頼ることになる。
700万は現地で車を借りて移動することができる。
しかし、こうなるとレンタカーのキャパの問題も出てくる。
交通渋滞だけで無く、レンタカーのキャパ問題がある。
年間300万以上の来訪を望むと混雑する
美ら海水族館が、現在、特に混雑・パニックも無く年間300万の来訪を実現できている。ジャングリアが、この300万人の来訪とシェアする、一部に流れてきてもらう予定ならまだわかる。しかし、これ以上を望むとすると、北部に向かう交通渋滞が発生する。
何より、すでに上記したように、
「宿泊させる」
ことが狙いであれば、周辺の宿泊施設が充実しなければならない。
つまり、交通の問題だけでは無く、周辺の宿泊のキャパの問題も出てくる。
当然、現段階で例えば沖縄北部、該当施設周辺のキャパが
「年間600万の来訪に耐えるレベル」
であれば、現在稼働率50%程度で回している、ということになるだろう。
流石にそこまでスカスカで回してはいないだろうと思われる。
1日2000台規模の車を捌けるか?
先の計算から言うと、ジャングリアには沖縄本島中南部から、北部にかけて1日2000台規模の車が押し寄せるような計算になる。名護市までは、南部側からは沖縄自動車道と、国道58号(名護湾沿いまたは名護東道路)を経由することになり、ここについてはおそらく問題は無いだろう。
だが、その先で混雑する予想がある。
この先で、美ら海水族館に行く層と重なったり、美ら海水族館とハシゴをしようとしている車との混雑に巻き込まれたりする恐れがある。
これは、実際、沖縄北部に行ったことがある人ならわかると思うが、大型の道路を抜けて、ローカル道路に出た後から混雑するのだ。
この点は、現地の県政との絡みで、どういう対策がなされるかによるだろう。
宿泊しないとなると
もし、テーマパーク来訪者たちが宿泊しないとなると、行きと帰りの車が混雑することになる。
仮に、一部が北部で宿泊、一部が中南部で宿泊となると、
「北部テーマパークに向かう車」
と
「北部テーマパークから南下する車」
で行き交うことになるだろう。
沖縄本島は、
コストコができるだけで渋滞になり、交通麻痺ができるような土地である。
入場5時間待ちになるような世界である。
宿泊をしないのであれば、美ら海とジャングリアが目的となり、日帰りで中南部にUターンするために、北部経済に対して、買い周り・立ち寄りの効果は見込めないだろう。(ただし、現地雇用が生む効果や、関連するサプライヤーへの影響はある)
しかし、「滞在型=宿泊」となれば北部経済に対して影響はあるだろう。
沖縄がハワイになれなかった理由としての台風
沖縄がハワイになれなかった理由として、年間平均7個もやってくるとされる台風の問題がある。
美ら海水族館は、屋内型施設のため、軽度な台風であれば施設を楽しむことが可能であるが、屋外型であろうジャングリアの場合は、このダメージが大きいはずである。
仮に、県政が絡んで、
- 海路
- 空路
でのアクセスが担保されたとしても、
これらは台風の影響をモロに受けることになる。
また、年間の降水日数も実は多い。
年間の1/3以上は雨なのが沖縄なのである。
現地経済・現地生活としてのインフラ
当たり前だが、現地には現地の生活・経済がある。
沖縄には国道58号線を中心として、県を南北に縦断する大型の道路があるが、当たり前だがこれは週末には混む。現地民がこれを使って移動をするのだ。
もし、ジャングリア勢がここと重なれば、当然、混雑するだろう。
厄介なのは、沖縄の中心は中南部の那覇市であって、二番目の都市が中部の沖縄市であって、その中間にアメリカンビレッジなどがある北谷町がある。
(厳密には基地問題で話題の宜野湾が那覇のすぐ北にある)
沖縄市を越えたエリアにリゾートの恩納村があり、北部はさらにその向こうの向こうである。
つまり那覇空港がある南部から考えた時に、北部に向かって
- 那覇
- 宜野湾
- 北谷町
- 沖縄市
- 恩納村
- 北部
という並びであって、この動線は、現地民も観光客も使うルートである。
週末となると、行きだろうが、帰りだろうが、このルートは混むはずだ。
大抵の観光客がそうだろうが、
休日のバカンスで、
2時間も運転したくないだろう。
通常のドライブで、那覇空港から北部まで2時間かかるのだ。渋滞に巻き込まれればもっと混雑する。
また、不慣れな土地で高速道路に乗るのは、はっきり言ってハードルが高い。
高速道路は、乗り間違え・降り間違えをするとダメージがでかい。
結論
この沖縄テーマパークには、ジレンマがある。
失敗を恐れて、投資規模を縮小すれば、
「北部に何か小ぶりな施設を作った」
程度で終わり、
観光客が数ある選択肢の中でわざわざ沖縄をチョイスする理由ではなくなる。
一方で、投資規模を大きくすれば、失敗のリスクが高くなる。
投資規模を大きくすれば、
- 集客数
- 単価
の必要額が増えてくる。
集客数を増やそうと思えば、線形的に、
オペレーションの問題、
オペレーション人材採用の問題、
レンタカーの問題、
宿泊施設の問題、
交通の問題が増えてくる。
単価を上げようと思えば、そもそも沖縄がそんなにラグジュアリーな目的地となるのか、そしてその施設がラグジュアリーな施設になりうるのかという問題が出てくる。
700億規模の投資というのは、
森岡氏がUSJ時代に行ったハリーポッター関連施設の投資額に匹敵するが、
この際は米国で既に先行事例があったことと、
ハリポタが集客力のあるIP・コンテンツであることが数々のベンチマーク指標から確認できたこと、
何より関西という立地が見込めたことによるものだった。
金額だけではなく、有限な休暇日数を、「沖縄北部に割り当てるかどうか」という問題もある。
「沖縄北部に滞在する」となると、
「沖縄中南部」への滞在機会を失うか、
あるいは日数を増やさなければならない。
朝7時から飛行機に乗って、9時に沖縄に着いて、そこから2時間かけて北部に行って、そこからテーマパークで遊び、1日を費やして宿泊し、翌日は10〜11時にチェックアウトして、2時間かけて那覇空港に向かい、昼〜夕方の便に乗って、自分の自宅に帰り、次の日に仕事・・・
というのは、できる人もいるだろうが、沖縄旅行日程が「それで埋め尽くされる」ことになる。
海で遊んだりワイワイするのが難しい。
できれば二泊したいというタイプが多いだろう。
となると二泊三日ということになるので、会社は三日休むことになる。
三日四日休める・・・となり、
予算が4万、5万、10万となってくると、
他の旅行プランも検討材料に入ってくる。
成功失敗の定義が難しいが、
「年間100万人来訪の新しい小さな施設」
が出来ました、程度であれば、うまくいく可能性はあるだろう。
しかし、利益が10%程度であれば、投資回収に70年かかる計算になる。
ぶっ飛んだ顧客体験を与える何か
を隠し玉として持っているのであれば、もちろん話は変わってくるのかもしれない。
美ら海水族館が年間300万人の人を呼べるのは、修学旅行生にとっての定番ルートになっている、という面も大きい。
何かぶっ飛んだ集客要素を用意しようとして、「沖縄の独自性・ローカル性」から乖離したものを作ろうとするほど、修学旅行生のルートから外される可能性も高まる。これはチケット代が上がればさらにそのリスクに拍車をかける。
===
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"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。