まず民法の全体構造
民法:誰が、何を、誰に主張できるか
権利が生じる → 帰属する → 行使する → 救済する → 承継する
意思表示・代理
94・95・96・110・113・116
法律行為が有効か、誰に帰属するか
時効
162・166
時間によって権利が生じる・消える
物権・担保
177・178・192・295・369・370・388
物の権利を誰が主張できるか
債権・契約
415・423・424・466・541・542・562以下
約束が守られない場合の救済
不法行為
709・715
契約外の損害を誰が負担するか
相続
900・1042以下
死亡後の財産をどう分配するか
この構造が分かれば、条文の位置を思い出せなくても、法律問題のどの段階を処理しているのかを逆算できる。
A. 意思表示・代理
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条文 |
要件 → 効果 → 例外・制限 |
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94条2項 |
相手方と通謀した虚偽表示 → 無効。ただし善意の第三者に無効を対抗できない。第三者の無過失は不要 |
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95条 |
重要な錯誤 → 取消可能。基礎事情の錯誤は表示が必要。表意者に重過失があると原則取消不可。ただし相手方の悪意・重過失、共通錯誤なら可能。善意無過失の第三者に取消しを対抗不可 |
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96条 |
詐欺・強迫による意思表示 → 取消可能。第三者詐欺では相手方の悪意・有過失が必要。詐欺取消しは善意無過失の第三者に対抗不可。強迫はこの第三者保護規定の対象外 |
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110条 |
基本代理権+権限外行為+相手方が権限ありと信じる正当な理由 → 本人に効果帰属。正当な理由がなければ不成立 |
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113・116条 |
無権代理 → 本人が追認しない限り本人に効果が帰属しない。追認すれば原則契約時に遡及。ただし第三者の権利を害せない |
特に94・95・96条は、なぜ第三者保護の条件が違うのかを理解すると定着しやすい。94条は本人が虚偽の外観を意図的に作ったため、善意の第三者を広く保護する。一方、95条は本人自身の錯誤、96条の詐欺は欺かれた本人にも保護の必要があるため、第三者に無過失まで要求する。
B. 時効・物権
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条文 |
要件 → 効果 → 例外・制限 |
|---|---|
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162条 |
所有の意思・平穏公然の占有を20年 → 所有権取得。占有開始時に善意無過失なら10年 |
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166条 |
債権を行使できると知って5年、行使可能時から10年 → 消滅時効。生命・身体侵害の損害賠償請求権は客観的期間20年 |
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177条 |
不動産物権変動 → 登記がなければ第三者に対抗不可。背信的悪意者などは保護される第三者から除外 |
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178条 |
動産物権の譲渡 → 引渡しがなければ第三者に対抗不可。引渡しには占有改定等も含む |
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192条 |
動産の取引行為+平穏公然の占有開始+善意無過失 → 即時取得。盗品・遺失物には2年間の回復請求等の特則 |
ここは取得・消滅・対抗を区別する。177条・178条は原則として当事者間の権利取得そのものではなく、第三者に主張できるかを扱う。192条はそれと異なり、無権利者からの取得を一定条件で認める制度。
C. 担保物権
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条文 |
要件 → 効果 → 例外・制限 |
|---|---|
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295条 |
他人の物を占有+物に関して生じた弁済期の債権 → 弁済まで留置可能。不法行為によって始まった占有は除外 |
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369・370条 |
占有を移さず不動産を担保提供 → 抵当権者は優先弁済を受ける。効力は原則として付加一体物にも及ぶが、土地上の建物や370条ただし書の例外に注意 |
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388条 |
抵当権設定時に土地建物が同一所有+建物存在+抵当権実行で所有者分離 → 建物のために法定地上権成立 |
295条と369条の対比は重要。留置権は「返さずに支払いを促す」。抵当権は「物を取り上げずに優先弁済を確保する」。388条は、抵当権実行で所有者が分かれた途端に建物を取り壊すことになる不合理を防ぐ制度。
D. 債権・契約
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条文 |
要件 → 効果 → 例外・制限 |
|---|---|
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415条 |
債務の本旨に従った履行がない・履行不能+損害・因果関係 → 損害賠償。債務者の責めに帰することができない事由による場合は免責 |
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423条 |
被保全債権+保全の必要性+債務者の権利 → 債権者が代位行使。一身専属権等は除外。原則として被保全債権の履行期到来が必要 |
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424条 |
債務者による詐害行為+詐害意思+受益者悪意等 → 裁判所に取消請求。財産権以外の行為、被保全債権の原因が行為後の場合等は除外 |
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466条 |
債権譲渡 → 譲渡制限特約があっても原則有効。ただし悪意・重過失の譲受人には債務者が履行を拒める。預貯金債権には特則 |
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541条 |
不履行+相当期間の催告+期間内不履行 → 解除可能。ただし不履行が軽微なら不可 |
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542条 |
全部履行不能・明確な全部履行拒絶・定期行為の時期徒過等 → 無催告解除。債権者側に帰責事由がある場合は解除不可 |
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562条以下 |
種類・品質・数量の契約不適合 → 追完請求、代金減額等。損害賠償・解除も可能。種類・品質の不適合は原則知った時から1年以内の通知が必要 |
423条と424条の区別は、「債務者が行使しない権利を代わりに行使する」のが代位権、「債務者が財産を不当に流出させた行為を取り消す」のが詐害行為取消権。541条と542条は、履行の機会をもう一度与える意味があるかどうかが分岐点。
E. 不法行為・相続
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条文 |
要件 → 効果 → 例外・制限 |
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709条 |
故意・過失+権利・保護利益の侵害+損害+因果関係 → 損害賠償責任 |
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715条 |
使用関係+事業執行についての被用者の加害行為 → 使用者責任。選任・監督の相当な注意等の免責規定あり |
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900条 |
配偶者と子 → 各1/2。配偶者と直系尊属 → 2/3・1/3。配偶者と兄弟姉妹 → 3/4・1/4。同順位者は原則均等 |
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1042条以下 |
兄弟姉妹以外の相続人に遺留分。直系尊属のみなら総体的遺留分1/3、それ以外は1/2 → 侵害額の金銭請求。原則、侵害を知って1年・相続開始から10年の期間制限 |
相続分は人数だけでなく、誰と誰が相続人になるかによって決まる。遺留分は、その法定相続分をそのまま保証する制度ではなく、一定の最低限の財産的利益を金銭請求で確保する制度。
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SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
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