100億稼ぐか、0になるか、
些細な違い
あのちゃんが「ドラゴンボールの話をするのはおじさん、若い人は知らない」と言いました。
本当にそう思います。
もう若くない私もドラゴンボールをよく知りません。
しかし、外国人と交流すると、本当にドラゴンボールが好きな連中が多くて、ドラゴンボールの話を振られて困ることが多かったので、もはや「シェイクスピア作品」くらいの教養の一つとして、無理して読んだ方が良いのかもしれません。
日本のおじさん、ドラゴンボール好きだし。
新入社員が、会社のおじさんに「ドラゴンボール用語」を使われて困惑する、というのもジェネレーションギャップネタとして有名です。
突然ですが、「漫画界の神」と呼ばれ、ドラゴンボール関連印税で100億以上稼いだとされる天才・鳥山さんですが
ヒットを出せずに苦悩していた
ことをご存知でしょうか。
あの鳥山さんですら、「全然、読者の反応が取れない」「箸にも棒にもかからない」作品を量産していた時代があります。
漫画家は売れれば大金持ち、売れなければど底辺貧乏です。
100億稼ぐか、0になるか、その違いを生む些細な違いのストーリー。
鳥山明の担当編集者だった鳥嶋和彦はこう言いました。
鳥山明に好きなものを好きなように描かせたら、面白くないものが出来上がる
鳥山明は、Drスランプアラレちゃん連載時も、ドラゴンボール連載時も、
やめたい!描きたくない!
と思っていたのは有名な話です。
ドラゴンボールは、アラレちゃん連載時に「やめたい」という意向を集英社・少年ジャンプ編集部に伝えたら
もっと面白い別の作品を生み出せたらいいよ
と言われて、アラレちゃんをやめるために作ったのがドラゴンボールだったのです。
そしてそのドラゴンボールも途中でやめたかったのに、編集部に引き伸ばされて泣く泣く続けていたのです。
アラレちゃんも、ドラゴンボールも、なぜ鳥山明がやめたかったかというと、描きたいものが描けないから。
簡単に結論から言うと、鳥山明に好きなように描かせると、ヒット作が生まれない。読者アンケートで上位にならない。
だから、鳥嶋和彦氏を中心としたジャンプ編集部が、読者アンケート結果などを見ながら、
- こうした方が良い
- ああした方が良い
とテコ入れする形でヒット作品に持っていったのです。
鳥山氏は、担当編集の鳥嶋氏にボツも出されまくっています。
鳥山明はワンピースの尾田栄一郎、NARUTOの岸本斉史ほか、その他大勢のジャンプ漫画家に影響を与えた憧れの存在で、大天才中の大天才ですが、そんな鳥山でも好きなことを好きなようにやると、ヒットしない。
鳥山明に限りません。
私の知る限り、世の中のヒットメーカーで
「好きなことを好きなようにやってる人」
というのはほとんど皆無です。
1万冊を超える読書をしてきましたが、あらゆる各界の成功者はみんな、「好きなことをやって、市場にウケなかった時期」というのがあった、と述懐しています。
king gnuは、東京藝大出身の常田・井口を筆頭にクリエイティブ色の強い集団ですが、当初、そのクリエイティブ色を前面に出していると、
それじゃ日本では売れない、
もっとポップに寄せないと
というアドバイスを米津玄師から受け、修正をかけることでヒットしました。以後、常田さんは旧ジャニーズへの楽曲提供もしていますが、もし「音楽を商業化することへ不満を持つタイプ」であればなかなかそれはできないのではないでしょうか。
ジブリ作品の音楽で知られる久石譲も、駆け出しの頃はやりたい音楽を追求して全く成功しなかった時期があったことを自著で語っています。今、成功して求められている音楽は本人がやりたいことではなかった。寄せた結果なのです。
同じような苦悩を抱えたスーパースターは、私の知る限りでも、
- 桑田佳祐・サザンオールスターズ (現存する歌手で、トリプルミリオン記録がある唯一の歌手)
- あいみょん
- king gnu
- 久石譲 (スタジオジブリ音楽)
- 宮崎駿
- つんく♂
と事例に事欠きません。
「商業主義じゃなさそうに見える売れたヒットメーカー・スター」でも、実際のところは、プロとして「仕事」をしてるのです。
桑田佳祐は、「売れる楽曲を作りたいと思っている」「自分はサラリーマンになってもある程度は成功したと思う(ウケることを狙って生きてるから)」と言っていましたし、デビューして成功した後、一時期落ち目だった時に苦悩しながら市場が求める方向に寄せて再度当てています。
B’zもギターの松本さんが「最初から売れることを意識してきた」と言っています。あいみょんだって、「時代にとことん振り回されたい」と言っていますしかなり早い段階から音楽業界の商業的システム・ビジネスモデルについて深い洞察を見せる発言をしています。
少年誌で圧倒的な強さを誇るジャンプは、毎週の読者アンケートでシビアに人気の傾向を見られて、早々に打ち切りの判断が下るケースも多いです。
ある意味、ジャンプの漫画家は、一週間単位で、シビアにマーケットの反応と向き合っているのです。
漫画家、作家、アーティスト、芸能人のような世界は、そのクリエイティブさや華々しさから
好きなことをやって大金稼いでいいなぁ
と羨望を向けられがちですが、「中の人」はそんなことは無いです。日頃から常に、人気、売上、シェアを気にして生きています。やりたいことをやりたいようにやっていません。
それが苦になって、
- 音楽性の違い
- やりたいことをやりたいようにやりたい
とか言って、旧ジャニーズ事務所を辞めて、独立して自分のやりたいことをやろうとするが目に見えて人気が落ちてる人がたくさんいるでしょう。
元キンプリの人たちですらその傾向があります。
ぶっちゃけますが、
私は旧ジャニーズの某人気グループの某メンバーをお客さんとして接客したことがあるキャバ嬢から話を聞いたことがあるのですが、
テレビとキャラが違いすぎてびっくりした、普通に幻滅した、あと、相当ストレス溜まってそうだった
と言っていました。彼女もある意味似たような仕事をしている(=お客さんに求められる自分を演じて異性を魅了している)という意味で、共感してしまい、「大人としての自分の成長」を実感し、社会の現実を悟って、私も頑張ろうと思ったのだそうです。
彼女にとって、その彼が所属するグループは、幼い頃に羨望の目をむけていたキラキラした存在だったのですから。
その頃の少女だった自分を脱して、今は、「大人」になっている、とある種の感慨深さに浸った様子でした。
やりたいこと VS 売れること
どこでどんな仕事をしても同じなのです。
やりたいこと・好きなことと、
求められること・売れることは全くもって異なります。
結局、本当の意味で好きなことを仕事としてやる、ということは、
「お客さんを喜ばせる働き、求められることをやること」
として、その仕事が、自分にとって合ってるか、好きか、というだけでしかありません。
全ての仕事は需要者がいるので、その需要者に迎合するプロセスが好きか嫌いか、というだけです。
そして面白いのは、
鳥山明級の大天才
でも、「ホームラン」もあれば「空振り」もあるということ。
尾田栄一郎についても調べたことがありますが、彼が仕事について語っているものがありました。
- ジャンプ編集部の方式
- 決まっている描き方
について述べていたのですが、その語り口調というかスタンスが
会社員っぽいな、受験生っぽいな
と思ったことがあります。思ってる以上に「決まってる枠組み・規則」などにしっかり合わせていくような仕事の仕方をしていて、「THE仕事」という感じでした。
ジャンプ編集部の方針はこうだから・・・
ジャンプの場合、ルールはこうだから・・・
彼自身は、今となってはかなり発言権がある存在でしょうが、そもそも一生懸命、ジャンプと市場に迎合してきた存在なのです。編集部が募集要項を出して、決められた決まりを守って応募して、面接したりして、修行させられたりしてようやく職業作家の立場につけるのですから。
そもそもジャンプの作家は専属独占契約を結ばれた存在ですし。
案外、キラキラした仕事の人の打ち合わせとか密着を見ると、
ゴリゴリの会社員の会議
みたいな感じだったりするのです。THE資本主義です。
当たり前です。そもそもジャンプ編集部の集英社は就活トップエリートが入る高偏差値高難関企業だし、音楽関係の事務所にしても、販路やTSUTAYAみたいな会社も全部会社・会社員が作ってます。
どういう形であれ、基本的には社会と関わります。
会社員やろうが、独立しようが、クリエイティブな職だろうが、サラリーマンっぽい仕事だろうが、結局は誰かに迎合している点で同じです。
私は、
- 売れない作家
- 売れないクリエイター
- 売れない音楽家
- 売れない芸術家
みたいな人たちと交流したこともあるのですが、総じて「自分のこだわり」への執着がひどく、売れてもないのに「自分の音楽性」「スタイル」に固執していて、そもそも
- 自分にはこれしか表現方法がない
- 自分にはこれしか好きなことがない
- 自分にはこれしか生きる道がない
みたいな感じで、何か「壮大な勘違い」をしてる人がほとんどでした。
売れてる作家、クリエイター、音楽家、芸術家の仕事の現場や、打ち合わせのプロセスなどを見たことがない、調べたことがないんだと思います。
綺麗なキラキラしたところしか見てない。
都合が良いところしか見ていない。
というより、本当の意味でプロになりたいわけじゃないのです。
世の中には、
- 相手に恋をしているのではなく、「恋してる状態や自分に酔ってるだけの人」
- カフェで勉強している「気になっているだけ」の人
- 読書家になったつもりだが、本棚を賑やかしてインテリぶりたいだけの人
というように、「自分でもよくわかってない・気付いてないが、本質からズレてる人」というのがたくさんいます。
クリエイターとマーケターの対立
漫画家、作家、芸能人のような華々しいクリエイティブの世界は、やりたいことを自己表現したいクリエイターたちと、彼ら・彼女らを使って市場で金を稼ぎ出すために方向性を指示するマーケターサイドとの
- 対立
- 葛藤
が必ず存在します。必ずあります。
自分1人で活動するなら、自分の脳内で、「クリエイターとしての自分と、マーケターとしての自分」が対立し、葛藤します。
それは、やりたいことと、売れることの対立です。
すり合わせをする役割分担があるか、
1人で葛藤するかの違いがあるだけで、
どこで何をしようとしても、こういう場面に直面します。
これは辛い現実でしょうか?
いいえ、希望です。
鳥山明でも、編集部に才能を見出されて、ヒットを出せるようになるまで3年の間、修行させられています。
さらに、アラレちゃんの後、ドラゴンボールという金脈を引き当てるまで、編集部と二人三脚で試行錯誤しながら、読み切り作品でテストを続けているのです。
その頃を振り返って担当編集だった鳥嶋さんは
箸にも棒にもかからなかった
と言っています。
言い方を変えると、100億稼ぐか、0になるのかの差というのがあるのです。
才能があっても、受ける方向を探り当てないといけない。
言い方を変えれば、それ次第で、天地の差が開く。
実際私も、これまでに、
- 広告文
- コンテンツ
という市場の反応を取るための知的生産を大量にこなしてきましたが、
- 自分が良いと思うことと、市場の反応とのズレ
- 自分がやりたいことができない葛藤
- バカウケするものが、自分にとってはやっていてかなり辛いもの
という経験を死ぬほどしてきました。
これは経験者しかわからないことですが、
ウケてる、ヒットしてる、金になってるのに、全然モチベーションが湧かなくてペンが進まない、辞めたい・逃げたいと思う
という経験を私もしています。
だから、感覚的に、鳥山明の気持ちも非常によくわかるのです。
今は好きなことをしているように見える私も、上長とのカラオケタンバリンでシャンシャン鳴らして合いの手を入れたり、嫌な酒を飲みに行ったりしていた時代もあるのです。。。
好きなことをやろう
とか言ってる怪しいコーチも、「好きなことをやりたい」と思ってる市場に迎合してるだけです。
もう成果とか給料とか追うのやめましょう!
やりたいことやりましょう!
とか言ってるyoutube広告を出してるコーチングビジネスの人も、自身は有名大学を出て、リクルートとかで勤めて、成果・給料を追った先に独立し、そのコーチングビジネスで市場の反応を取るためにそういうことを言ってるだけです。
本当です。
そもそも、
- 好きなことをやるのは趣味
- 求められることをやるのが仕事
なのです。
人生には2つのステップがあります。
(1)市場・組織にウケる
→ 駆け出し、世に出る段階。これができないと、次がない。稼げない。食えない。キャリアが繋がらない。やっていけない。
(2)バランスを取る
→ 短期でガーっと仕事をして、あとは引退して悠々自適に暮らして「やりたいこと」とバランスを取るか。あるいは、仕事をしながらプライベートを充実させたりワークライフバランスを取るか。ウケる・求められる仕事の中で、どうにか好きなことができないかの試行錯誤。
まず、どこで何をするのであれ、「ウケる」ということを達成できないと、話になりません。
信用・信頼されるとか、自分のスタンスを取れるとか、そういうのは(1)をクリアした後の話です。
- クリとマー
- 価格:7万円
- 返金保証なし
===
"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。