東京、恵比寿。   ウエスティンホテルを出て、ロブションを横目に 足早に通り抜ける。   さすがに早朝は寒い。 木枯らしに吹かれて、ロングコートの中が一瞬「ブルッ」と振動した。       私には才能がある。 「私のフィルターを通すと凄いものがしょぼく見える」という才能だ。 まぁ、つまり、カメラが下手だ。   書いても映しても、なぜか「絵面が悪い」。 これまで、デート中に何度ご指導とご鞭撻を受けたことか。 その才能は、どうやらファッションにまで及ぶらしい。   「もう少し格好をつけろ」と女に怒られたことがある同輩諸氏が、どれだけこの国にいるのか、知りたい。 ファッションやメイクに異様な執着を見せる女と私の相性は最悪で、度々戦争を繰り広げてきたが、「Devils in the detail.（神は細部に宿る）