大学生が学ぶような「本」に載っている知識やテクニカルスキルは、あくまでも道具であり、それを使って「いかに案件を成立させるか」、そして「いかに顧客(経営層)の真の課題を解決し、巨額の手数料(フィー)を得るか」という部分に、外銀IBDの本質的な価値と収益源があります。
結局のところ「面倒ごとの外注」「外部による正当化(客観化)」「ネットワークの利用」の3点に集約されると言っても過言ではありません。
「専門的な計算技術」そのものはコモディティ化しており、事業会社の中の人の方が詳しいことも多いです。
しかし、 「今の時期に、誰に話を持っていけば決まるか(ネットワーク)」 「誰に言わせれば株主が黙るか(客観性・権威)」 「誰にやらせれば来月までに終わるか(労働力)」
この3つの「面倒な現実」を解決してくれる機能こそが、彼らが社会で高給を取り続けている理由の核心だと言えます。
1. ネットワークを頼る(アクセス権と信用貸し)
ご指摘の通り、自分たちでゼロから構築するには時間とコストがかかりすぎる「ルート」を、彼らはすでに持っており、それを切り売りしています。
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総合商社(Shosha)のネットワーク:
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「地の果て」へのアクセス: アフリカの鉱山や中東のプラントなど、普通の事業会社がいきなり行っても門前払いされる場所で、現地の政府要人や有力財閥と長年の付き合い(貸し借り)がある。
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機能: 単なる紹介屋ではなく、「商社が噛んでいるなら金を出そう(銀行)」「商社がいるなら技術を出そう(メーカー)」という、信用のハブとして機能し、プロジェクトを組成します。彼らはネットワークに「金(投資)」も乗せるところがIBDとの違いです。
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コンサルのネットワーク:
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「他社事例」へのアクセス: コンサルが売っているのは、独自の天才的な発想というより、「御社の競合他社や、先進的なグローバル企業はこうやっていますよ」というベストプラクティス(他社の知見)の集合体です。
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機能: 業界全体の動向や、「今、何が標準か」という情報をネットワークを通じて収集し、それを整理して提供しています。
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外銀(IBD)のネットワーク:
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「巨大資本」へのアクセス: 世界中の機関投資家(年金基金、政府系ファンドなど)の「誰が、今、何に投資したがっているか」を知っていること。
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機能: 売り手と買い手のマッチング精度です。
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2. 客観化したい(社内政治と責任回避の保険)
「客観化」というのは、しばしば「経営陣のための政治的な保険」として機能します。
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「お墨付き」の価値:
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社長が「この会社を買収したい」と言って失敗したら、社長の責任問題になります。
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しかし、「ゴールドマン・サックスが適正価格だと言った」「マッキンゼーがシナジーがあると言った」という分厚い資料があれば、もし失敗しても「当時の最高の専門家の助言に従ったが、市場環境が変わった」という言い訳が立ちます。
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株主への説明:
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株主代表訴訟などのリスクを回避するために、第三者機関の名前が入ったレポートは、何億円払ってでも手に入れる価値がある「防具」なのです。
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3. 作業を外に投げたい(高級人材の変動費化)
「面倒な仕事を投げたい」というのも、経営視点では「時間を金で買う」という合理的な判断です。
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リソースの弾力性:
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M&Aや大規模な構造改革プロジェクトのために、優秀な社員を何十人も中途採用し、終わったら解雇する、ということは日本の法制度や組織論理では不可能です。
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IBDやコンサルを使うことは、「必要な時だけ、猛烈に働く高学歴な兵隊を大量投入できる」という、人事上の調整弁(高級派遣)としての機能です。
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社内の人間がやると1年かかる調査を、彼らは不眠不休で1ヶ月で仕上げてきます。この「スピード」に対して対価が支払われます。
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🔎 バリュエーションと「中の人」の専門性
ご指摘の通り、事業の内容、将来の成長戦略、業界特有のリスクと機会、コスト構造の細部といった、バリュエーションのインプットとなる最も重要な情報は、企業の内情を深く知る事業サイドの人々(経営企画、財務、事業部長など)や、その会社の経営者自身が最も詳しく把握しています。
内部 vs. 外部の専門性の違い
🎯 外銀に仕事を「投げる」理由:単なる外注以上の価値
社長が税理士に依頼するのが「面倒な仕事を投げたいから」というのと似て、企業が外銀に仕事を依頼するのも「内部でやると面倒なこと、あるいはできないこと」を依頼するためです。
外銀が提供する価値は、単に計算代行や面倒な作業の請負といった「外注」の範疇を超え、以下の「戦略的・資本市場的価値」にあります。
1. 客観性と市場の信認(Fairness Opinion)
内部でバリュエーションを行うと、どうしても楽観的な見通しが入りやすくなります。外銀は客観的な市場の視点を提供し、そのバリュエーションが「公正である」という信認(フェアネス・オピニオン)を市場や株主に与えます。これは、M&Aや資金調達を成功させる上で極めて重要です。
2. プロセスの専門性と実行力
M&AやIPOは、デューデリジェンス、契約交渉、規制当局への対応、複数の関係者(法務、会計、税務)の調整、そしてタイトなスケジュール管理が求められる複雑なプロセスです。外銀はこれらのディールプロセス全体を設計・管理する専門家であり、その実行力に対してフィーを支払うのです。
3. 資本市場へのアクセスとリスクテイク
特にIPOや公募増資では、外銀は株や債券を投資家に販売する機能(引受)を持ちます。これは、企業が自前では持ち得ないグローバルな投資家ネットワークと、市場の変動リスク(引受リスク)を引き受ける能力を意味します。
4. 高度な交渉力
買収・売却の交渉では、相手方のプロ(別の外銀やファンド)と対峙することになります。この際、自社の論理だけでなく、金融のロジックと交渉のプロトコルを理解している外銀の助言は、価格を引き上げたり、条件を有利に運んだりするために不可欠です。
バリュエーションのインプットは「中の人」が詳しい。
しかし、そのインプットを基に「ディールを成立させ、企業価値を最大限に実現する」アウトプットを出すのは外銀の役割です。
📊 IBDの収益源となる「本を読んだだけではできないこと」
外銀IBDが巨額の手数料を得るために行っている、バリュエーション以外の主要な業務、あるいは付加価値は以下の通りです。
1. 案件の獲得と戦略立案(カバレッジ・営業力)
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顧客経営層との関係構築と信頼:
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高度な金融知識以前に、企業のCEOやCFOといった経営層と密にコミュニケーションを取り、信頼関係を築く能力が不可欠です。
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これは、個々のバリュエーションモデルの正確さよりも、「この銀行に任せれば成功する」というブランドと人脈の力に依拠します。
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戦略提案(ディール・アイデア):
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市場の動向、規制、競合他社の動きを分析し、「今、この会社を買うべきだ」「今、資金調達のチャンスだ」といったディール(案件)のアイデアそのものを顧客に提案する能力です。これは創造的な思考と、業界の深い理解を必要とします。
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2. 実行力と交渉(プロセスマネジメント)
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デューデリジェンス(DD)の実行:
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バリュエーションの前提となる非公開情報を深く掘り下げ、財務、法務、事業上のリスクを特定する作業です。これは膨大な作業量と、問題を見抜く洞察力を要します。
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交渉とクロージング:
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買収価格、契約条件(表明保証など)について、相手側のアドバイザー(IBD)と高度な交渉を行います。クライアントの利益を最大限に守りながら、ディールを成立させる調整力と粘り強さが試されます。
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規制当局・投資家への対応:
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M&Aの競争法上の審査対応や、IPO・公募増資における投資家へのロードショー(説明会)など、資本市場を動かすための実務も重要な仕事です。
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3. 資金調達の執行(エクイティ・デット・キャピタル・マーケット)
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ECM(株式資本市場): IPO(新規株式公開)や公募増資などの実行を担います。単にバリュエーションを出すだけでなく、適切なタイミングで、適切な投資家に、適切な価格で株を売却するためのプロセス全体を管理し、引受リスクを負います。
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DCM(債券資本市場): 社債やローンによる資金調達を支援します。これも市場の状況を見極め、組成(ストラクチャリング)し、投資家に販売するという実行力が中心です。
結論として、バリュエーションは「ディールを支える土台」ですが、外銀IBDが稼ぐのは「ディールを提案・獲得し、無事にクロージングまで導くアドバイザリーフィー」です。
その「本を読んでもできないこと」こそが、彼らの高い報酬と、社会における特殊な価値を生み出していると言えます。
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"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。



