食品、飲料、日用品、化粧品などのメーカーでマーケティングをしていると、「SRI+」「SCI」「KSPワイド」といった名前が出てくることがあります。
一般の会社員にはほとんど馴染みがありませんが、消費財メーカーではかなり重要なデータです。
問題は、全部「売れたデータ」のように見えることです。
SRI+とKSPワイドは何が違うのか。SCIはPOSデータなのか。どれを見れば、自社商品の売上が落ちた理由が分かるのか。
結論から言えば、同じ市場を違う方向から観測しています。
SRI+は「店側から市場を見る」
SCIは「人側から市場を見る」
KSPワイドは「食品スーパー・ドラッグストアのPOSを実務で細かく見る」
と理解するとかなり整理しやすくなります。
SRI+とは何か
SRI+はインテージが提供する全国小売店パネル調査です。
全国約6,000店舗の販売実績を基に、日本全国の小売市場における販売状況を推計します。インテージ自身も、市場規模やシェアの把握、売上実績の要因分解、新商品の立ち上がり評価などを主な利用用途として挙げています。
例えば、自社のシャンプーの売上が前年比20%減ったとします。
自社POSだけを見ると、
「売上が20%落ちた」
という事実しか分かりません。
しかしSRI+を見ると、
市場全体も15%落ちているのか。
市場は横ばいなのに自社だけ20%落ちているのか。
競合Aが伸びているのか。
ドラッグストアだけ落ちているのか。
特定エリアだけ悪いのか。
といった分解ができます。
つまりSRI+は、自社の売上を「市場の中の相対的位置」へ変換するためのデータです。
SCIとは何か
SCIもインテージのデータですが、SRI+とは観測対象が違います。
SCIは全国15歳から79歳の男女70,000人から継続的に収集している購買ログです。誰が、いつ、どこで、何を、いくつ、いくらで購入したのかを見ることができます。
SRI+が「店舗」を観測しているのに対して、SCIは「消費者」を追っています。
ここが決定的な違いです。
例えば売上が20%落ちたとします。
SRI+なら、市場シェアや販売金額、販売数量などから「どこで落ちたか」を見ます。
SCIなら、
購入者数が減ったのか。
一人あたり購入回数が減ったのか。
新規購入者が減ったのか。
既存ファンが離反したのか。
若年層だけ買わなくなったのか。
競合ブランドへ移ったのか。
という「誰がなぜ消えたのか」に近づけます。
同じ売上減少でも、見えているものが違います。
SRI+とSCIを一言で分けると
かなり乱暴に言えば、
SRI+は「何が売れたか」。
SCIは「誰が買ったか」。
です。
もちろん実際の分析はもっと複雑ですが、最初の理解としてはこれでかなり使えます。
SRI+では店舗側の販売実績から市場を推計します。
SCIでは同じ消費者を継続的に追うため、購買者の属性や購買履歴を見ることができます。
だからマーケターが、
「市場シェアは落ちた」
から、
「なぜ落ちた」
へ進もうとすると、SRI+だけでは足りなくなる場合があります。
そこでSCIを重ねます。
KSPワイドとは何か
KSPワイドはKSP-SPが提供する市場POSデータサービスです。
2026年4月時点で、全国の食品スーパーマーケットとドラッグストア約1,500店舗のPOSデータを収集しています。食品スーパーについては食品・日用品を扱い、日次・週次・月次・年次でデータを見ることができます。
KSPワイドでは、商品ランキング、メーカーシェア、カテゴリー分析、エリア比較、前年比較などが可能です。KSP-SP自身、メーカー・卸の営業、マーケティング、商品開発などでの利用を想定しています。
この説明だけを見ると、
「SRI+と同じでは?」
と思うはずです。
実際、かなり近い領域です。
どちらも複数小売企業のPOSを集め、市場を観測します。
ただし、対象店舗、業態、商品カテゴリー、推計方法、使える指標、操作環境などは異なります。
したがって、
「SRI+が上位互換」
「KSPワイドが下位互換」
という関係ではありません。
同じ市場POSというカテゴリーの別サービスです。
SRI+とKSPワイドは何が違うのか
一番分かりやすい違いはカバー範囲です。
SRI+は全国約6,000店舗を対象とし、スーパー、コンビニ、ドラッグストア、ホームセンター・ディスカウントストア、専門店など複数業態を含む大規模な小売店パネルです。
一方、KSP-POSは2026年4月時点で約1,500店舗、主に食品スーパーとドラッグストアです。
したがって、全国消費財市場を広く把握したい場合と、食品スーパーを中心に詳細なPOS分析をしたい場合では、適したデータが変わります。
さらにKSPワイドは食品カテゴリーを横断して見られるため、例えば菓子メーカーが酒類とのクロスMDを考える、といった営業提案にも使えるとKSP-SPは説明しています。
これはブランドマーケティングだけでなく、メーカー営業の現場でも使いやすい特徴です。
「売上が落ちた」を3種類のデータで見るとどうなるか
例えば、自社の冷凍食品ブランドの売上が前年比15%落ちたとします。
まずSRI+を見る。
市場全体が落ちているのか。
自社シェアだけ落ちているのか。
競合のどの商品が伸びたのか。
どの業態で落ちたのか。
ここで市場構造を確認する。
次にKSPワイドを見る。
食品スーパーでの販売動向はどうなのか。
商品ランキングは落ちているのか。
価格帯別ではどうなのか。
エリアによる違いはあるのか。
営業提案に使えるカテゴリー変化はないか。
そしてSCIを見る。
買わなくなったのは誰なのか。
購入者数が減ったのか。
購入頻度が減ったのか。
若者が離れたのか。
ヘビーユーザーが競合へ移ったのか。
この3つを重ねると、
「売上15%減」
という一つの数字が、かなり細かい原因へ分解されます。
POSだけでは「人」が見えない
ここはマーケティングで重要です。
店舗POSには、
何月何日に。
商品Aが。
何個。
いくらで。
売れた。
という情報があります。
しかし通常、
「誰が買ったか」
までは分かりません。
だからPOSだけから、
「若者が離れた」
「新規客が減った」
「ファンが競合へ流れた」
と断定することはできません。
そこで消費者パネルのSCIが効いてきます。
逆にSCIだけでは、市場全体の店舗販売をそのまま観測しているわけではありません。
だから一つのデータだけで全部を説明しようとすると無理が出ます。
マーケティングデータは「正しいデータを探す」のではなく「違う窓から同じ市場を見る」
SRI+。
SCI。
KSPワイド。
ID-POS。
自社POS。
ECデータ。
アンケート。
広告データ。
検索データ。
全部、見ている市場が少しずつ違います。
つまりデータ分析で重要なのは、
「どのデータが一番正しいか」
を争うことではありません。
何を観測したいかによって窓を変えることです。
市場規模を見る。
購買者を見る。
店舗を見る。
広告接触を見る。
ブランド認知を見る。
全部別の観測です。
だからメーカーのマーケターは複数データを使う
一般の人から見ると、
「売上データなら会社にあるだろう」
と思うかもしれません。
しかし自社の売上データだけでは、
市場全体。
競合。
消費者。
カテゴリー。
他社店舗。
が見えません。
自社では100億円売れた。
でも市場が20%成長していたなら、実は負けているかもしれない。
逆に自社売上が5%落ちても、市場全体が20%落ちているならシェアは上がっているかもしれない。
マーケティングでは、絶対額より相対位置が重要になる場面があります。
さらにそこから、
「なぜその相対位置が変わったか」
を見るために消費者データを重ねます。
SRI+とSCIを両方持つ意味
SRI+とSCIは競合商品というより、むしろ補完関係として考えると理解しやすいです。
SRI+で市場の変化を発見する。
SCIで購買者の変化を見る。
例えば、
SRI+で自社シェア低下を発見。
SCIで20代の新規購入率低下を発見。
さらに広告調査で20代への認知低下を確認。
となれば、
「若年層への新規獲得が弱くなっている」
という仮説がかなり強くなります。
データを重ねる意味はここにあります。
KSPワイドは営業にも強い
KSPワイドが興味深いのは、マーケティング部門だけを対象にしていないことです。
メーカー営業が小売へ、
「このカテゴリーが伸びています」
「この価格帯が売れています」
「競合より当社商品の販売効率が高いです」
と提案するときにもPOSデータを使います。
昔の営業なら、
「この商品売れますから置いてください」
だった。
現在は、
「この市場データを見ると、御社ではこの棚割りの方が売上が伸びる可能性があります」
と数字を持っていく。
メーカー営業が単なる御用聞きから、データを使ったカテゴリー提案へ変わっているわけです。
そしてPOSの次にはID-POSがある
POSは、
何が売れたか。
ID-POSは、
誰が買ったか。
まで小売側で追えるデータです。
ポイントカードや会員IDなどと購買履歴を紐づければ、
新規客。
リピーター。
併買商品。
購入頻度。
顧客単価。
などが見えてきます。
つまり現在の小売・メーカーのマーケティングでは、
POS。
ID-POS。
消費者パネル。
市場推計。
広告データ。
を組み合わせながら市場を見ています。
「売上が落ちた」という一言だけでは何も分からない
例えば売上が20%落ちた。
原因候補は大量にあります。
市場そのものが縮小した。
配荷店舗が減った。
価格を上げた。
購入者数が減った。
購入頻度が減った。
競合新商品へ流れた。
特定年代が離れた。
特定エリアだけ悪化した。
販促が減った。
棚位置が悪くなった。
全部、売上20%減として観測されます。
だからマーケターの仕事は、
「売上が落ちました」
で終わることではありません。
その一つの結果を、複数データを使って原因候補へ分解していくことです。
以前の記事「SRI+、SCI、KSPワイド、Eagle Eye――食品・日用品メーカーのマーケターは『売上が落ちた』をどう分解しているのか」では、実務側からさらに詳しくこの分析構造を扱っています。
また、小売店に並ぶ商品がメーカーからどのように全国へ流れているのかについては、「なぜPALTACは消費者にほぼ無名なのに売上1兆円を超えるのか」で、卸・物流側から解説しています。
普通の消費者には見えませんが、スーパーやドラッグストアの棚の裏側では、こうした巨大なデータ基盤と物流網が毎日動いています。
SRI+、SCI、KSPワイドの違いを知ることは、単なるマーケティング用語の暗記ではありません。
普段見えている「商品が売れる」という現象を、企業側がどれほど多方向から観測しているのかを知る入口です。
SRI+、SCI、KSPワイド、Eagle Eye――食品・日用品メーカーのマーケターは「売上が落ちた」をどう分解しているのか
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説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。



