他人のために良いことをすること、自分が他人からしてもらいたいと思うことを他人に対してすることは、道徳の基礎である。（中略）非常に複雑な感情が、私たちの道徳感情や良心を構成するようになるのだが、その最初の起源は社会的本能にあり、それは仲間からの称賛によって大きく左右され、理性、自己利益、のちには深い宗教的感情によって導かれ、教育や習慣によって強められたものがすべて合わさってつくりあげられたものである。 道徳性の高さは、特定の一個人やその子どもたちを、同じ部族の他のメンバーに比べて、ほとんど、またはまったく有利にするものではないが、道徳の水準が上がり、そのような性質を備えた人の数が増えれば、その部族が他の部族に対して非常に有利になるだろうということを忘れてはならない。愛国心、忠誠、従順、勇気、そして共感の感情をより高く保持していて、互いに助け合ったり、全員の利益のために自分を犠牲にする用意のあ