直交表を使うことで実験回数を減らせる理由は、統計的に効率的な実験計画を立てることで、各要因の影響を最小限の実験回数で評価できるからです。
具体的には、直交表は実験計画法の一種で、複数の要因がある場合に、その要因とその組み合わせを効率よく調べるための表です。直交表を使うことで、次のような利点があります。
- 代表的な組み合わせを選ぶ: 直交表は各要因の水準を組み合わせて、実験するべき代表的な条件を選びます。全ての組み合わせを試す全因子実験ではなく、代表的な組み合わせだけを試すことで、必要な実験回数を大幅に減らします。
- 均等に散らばるデータ: 直交表は、各要因の各水準が均等に現れるように設計されています。これにより、バランスの取れたデータを得ることができ、少ない実験回数でも信頼性の高い結果が得られます。
- 交互作用の評価: 直交表を使うと、主要な要因の効果だけでなく、要因間の交互作用も効率よく評価できます。これにより、複雑な影響をもつシステムでも少ない実験回数で全体像を把握できます。
具体例として、3つの要因(A, B, C)それぞれが2つの水準(例えば、A1, A2; B1, B2; C1, C2)を持つ場合を考えます。全ての組み合わせを試すと 2^3=8 回の実験が必要ですが、直交表(例えばL4直交表)を使えば、たった4回の実験で主要な情報を得ることができます。
このように、直交表は最小限の実験回数で必要な情報を最大限に引き出す効率的な方法を提供するため、実験の手間とコストを大幅に削減できます。
直交表を使うことで実験回数を減らせる理由は、要因の組み合わせを戦略的に選び、効率的にデータを収集することができるからです。この仕組みを理解するために、具体的な例を用いて説明します。
例: 3つの要因(A, B, C)それぞれが2つの水準を持つ場合
全因子実験の方法
各要因(A, B, C)が2つの水準(例えば、A1, A2; B1, B2; C1, C2)を持つ場合、全ての組み合わせを試すと 2×2×2=82×2×2=8 回の実験が必要です。これは次のようになります。
- A1, B1, C1
- A1, B1, C2
- A1, B2, C1
- A1, B2, C2
- A2, B1, C1
- A2, B1, C2
- A2, B2, C1
- A2, B2, C2
直交表の方法
一方、直交表を使うと、少ない組み合わせで各要因の影響を効率よく調べることができます。例えば、L4直交表を使うと、次の4つの組み合わせだけを試せばよいことになります。
- A1, B1, C1
- A1, B2, C2
- A2, B1, C2
- A2, B2, C1
直交表の原理
直交表がなぜ少ない実験回数で済むのかを理解するために、その設計のポイントを見てみましょう。
- バランスの取れたデータ収集: 各要因の各水準が均等に現れるように設計されています。例えば、上記のL4直交表では、各要因A, B, Cの水準(A1, A2; B1, B2; C1, C2)が均等に含まれています。
- 要因間の独立性: 各要因が他の要因と独立して評価できるように設計されています。これにより、各要因の効果を独立して解析できるため、少ないデータでも信頼性のある結果が得られます。
- 交互作用の把握: 主要な交互作用も含むように設計されています。例えば、AとBの交互作用がCに影響を与える場合、その組み合わせも考慮されるようになっています。
例えば、上記の4つの実験では:
- A1とA2がそれぞれ2回ずつ現れる。
- B1とB2がそれぞれ2回ずつ現れる。
- C1とC2がそれぞれ2回ずつ現れる。
このようにバランスが取れているため、全体の傾向を少ない回数で捉えることができます。
結論
直交表を使用することで、全ての組み合わせを試すことなく、バランスの取れた代表的な組み合わせを効率よく選び出すことができます。これにより、必要な実験回数を大幅に減らしながら、各要因の影響を正確に評価することが可能となります。これが直交表を使うことで実験回数を減らせる理由です。