1. 可能性を後押しする要因

• AI・自動化の進展: 生成AIやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）の普及により、データ処理、書類作成、単純な分析業務など、ホワイトカラーの一部業務が自動化される可能性が高い。2023年のマッキンゼーのレポートでは、2030年までにホワイトカラー職の30%が自動化の影響を受ける可能性が指摘されている。特にルーティンワーク中心の中間層（年収600〜800万円程度）は影響を受けやすく、需要減で賃金低下や雇用の不安定化が起こり得る。
• グローバル競争と賃金圧力: 日本のホワイトカラーは、海外（特に新興国）の低賃金労働力やアウトソーシングと競合する場面が増えている。リモートワークの普及で、例えばインドや東南アジアの安価な労働力に仕事が流れ、国内の中間層の給与が抑えられる可能性。
• 日本経済の停滞: 日本の実質賃金は過去30年近く横ばいまたは下落傾向（2023年時点で実質賃金は前年比マイナス）。経済成長が低迷し、企業がコスト削減を優先する場合、ホワイトカラーの中間層の給与カットや非正規化が進む可能性。
• 働き方改革と成果主義: 終身雇用や年功序列の崩壊が進み、成果主義が浸透する中で、スキルや成果を出せない中間層のホワイトカラーは給与が頭打ちになるか、リストラ対象になりやすい。

2. 反証する要因

• 専門性の高い職種の需要: 年収600〜800万円の層でも、IT、データサイエンス、コンサルティングなど専門性が高い職種は需要が堅調。AI時代には、AIを活用するスキルやクリエイティブな問題解決能力が求められ、これらの職種は年収維持や上昇の可能性が高い。
• 人手不足: 日本の労働力人口は減少中（2025年時点で労働力人口は約6500万人、2030年には6000万人以下に減少予測）。ホワイトカラーの中でも、特定の業界（医療、介護、エンジニアリングなど）では人手不足が続いており、給与水準が維持される可能性。
• 年収1500万円以上の層の強み: 高収入層（年収1500万円以上）は、経営層や高度な専門職が多く、戦略立案やクリエイティブな意思決定など、AIが代替しにくい領域を担う。この層は市場価値が高く、生き残る可能性が高い。ただし、この層は全体の数％に過ぎない（2023年国税庁データでは年収1500万円以上は全就業者の約3%）。

3. 年収半減や人数半減の蓋然性

• 年収半減: 600〜800万円の層が半分（300〜400万円）に落ちるシナリオは、特定の業種（例: 一般事務、営業の一部）ではあり得る。特にAIやアウトソーシングで代替可能な職種は、賃金下落圧力が強い。ただし、全体のホワイトカラーで一律に半減する可能性は低く、スキル次第で二極化が進む（高スキルは維持、低スキルは下落）。
• 人数半減: ホワイトカラー全体の雇用が半減するシナリオは、極端な自動化や経済危機がない限り現実的ではない。ただし、特定の職種（例: 事務職、経理の一部）は大幅に減少する可能性がある。厚生労働省の2023年データでは、事務職の求人倍率は0.5倍以下と低く、既に縮小傾向。
• 時間軸: これらの変化は10〜20年スパンで徐々に進行する可能性が高い。2030年までに顕著な影響が出始め、2040年頃にはホワイトカラーの中間層の構造が大きく変わる可能性。

4. 年収1500万円以上の生き残り年収1500万円以上の層は、AIや自動化の影響を受けにくい職種（経営者、専門医、弁護士、エンジニアリングマネージャーなど）が多い。また、グローバルな市場価値が高いため、仮に日本市場が縮小しても海外での需要がカバーする可能性。この層は比較的安定して生き残ると考えられるが、全体の雇用市場のごく一部であるため、マクロな影響は限定的。5. 結論

• 年収600〜800万円のホワイトカラーが半分に減るか、年収が半分になる可能性: あり得るが、全員一律ではなく、職種やスキルによる二極化が進む。事務職や単純な管理職はリスクが高いが、専門性の高い職種は影響が少ない。10〜20年で顕著な変化が予想される。
• 年収1500万円以上の生き残り: 高い確率で生き残る。この層はAIやグローバル競争への耐性があり、市場価値が維持されやすい。
• 対策: 中間層のホワイトカラーは、AIリテラシーや専門スキルの習得（例: データ分析、プロジェクトマネジメント）が重要。リスキリングがなければ、年収下落や雇用の不安定化リスクが高まる。