FIREしたら暇で後悔する?自由の難しさ。――毎日が日曜日になったら、日曜日が消えた

FIREしたら暇で後悔する?――毎日が日曜日になったら、日曜日が消えた

FIREしたい。

会社を辞めたい。

朝7時に目覚まし時計を鳴らしたくない。上司の顔を見たくない。Zoom会議で誰も聞いていない話を40分したくない。

そして資産5000万円とか1億円とかを作って、ある日会社を辞める。

翌朝。

目覚まし時計が鳴らない。

素晴らしい。

二度寝する。

10時に起きる。

コーヒーを飲む。

Netflixを見る。

平日の昼間に風呂へ入る。

でも、ここで一つ変なことが起きます。

月曜日が嫌じゃなくなる。

その代わり、金曜日も嬉しくなくなる。

毎日が日曜日になると、日曜日がなくなる

日曜日というのは、カレンダーに印刷された曜日のことではなかったのかもしれません。

月曜日から金曜日まで働いた人間が、

「明日は会社に行かなくていい」

と思うことで発生する特殊な現象だった。

だからFIREすると、日曜日が7倍になるわけではない。

月曜日と日曜日の境界線そのものが消える。

これは結構怖い話です。

ケーキが好きだから毎日ケーキを食べたら、幸福が7倍になるわけではない。

たぶん3日目くらいで味噌汁が飲みたくなる。

人間は贅沢です。

平日の午前11時17分、イオンへ行く

午前11時17分。

映画館は空いている。

フードコートも空いている。

スタバも座れる。

最高です。

土日のイオンは家族連れで死ぬほど混んでいるので、FIREした人には平日の方がいい。

ところが一週間くらいすると気づく。

友達がいない。

正確には友達はいる。

でも全員働いている。

金曜日の13時に、

「今から温泉行こう」

とLINEしても、

「仕事」

と返ってくる。

当たり前です。

ここで自由というものが急に変な形になります。

自分だけ自由でも、他人が自由でなければできないことが大量にある。

旅行もそうです。

飲みに行く。

スポーツをする。

恋愛する。

麻雀する。

全部、相手の時計と同期する必要があります。

FIREすると自分の時計から会社が消える。

しかし世の中の時計から会社は消えていない。

自由になったら世界と時差ができた。

日本にいるのに時差ボケです。

日曜日は「休日」ではなく、社会の同期信号だったのかもしれない

そう考えると土日という制度はすごい。

日本中の何千万人という人間に、

「このへんで休んでください」

と一斉に命令する。

だから友達と遊べる。

恋人と旅行できる。

野球場に4万人集まれる。

花火大会に70万人来る。

日曜日とは、休日ではなく、

「他人と予定が合いやすい日」

だった。

FIREすると休日は増える。

でも同期信号を失う。

時間は増えたのに、一緒に使える時間はあまり増えない。

金持ちになって時計を外したら、社会の時計まで外れてしまった。

会社は嫌い。でも会社は巨大な時計でもあった

会社について考えると、悪口はいくらでもあります。

満員電車。

上司。

会議。

人事評価。

意味不明な稟議。

社内政治。

でも会社は、金だけを配っているわけではありません。

朝起きる理由を配る。

行く場所を配る。

今日やることを配る。

話す人を配る。

締切を配る。

成功と失敗を配る。

金曜日には解放感まで配る。

考えてみれば、かなり巨大な人生パッケージです。

給料だけ切り取って、

「会社は年収800万円をくれる場所」

と思っている人は多い。

会社は生活そのものをバンドルしている。

仕事、金、人間関係、時間割、身分、目標、敵、味方、失敗、達成感。

全部セット。

FIREとは給料だけ捨てることだと思っていたけれど、実際にはこのセット商品を全部解約することなのかもしれません。

Amazon Primeより解約項目が多い。

ゲームでチートコードを使ったことがある

昔のゲームには裏技がありました。

お金999999。

無敵。

全武器。

レベル99。

最初は猛烈に楽しい。

昨日まで倒せなかった敵が一撃で死ぬ。

欲しかった武器も全部買える。

世界中どこへでも行ける。

自由です。

でも、なぜか急につまらなくなる。

敵が弱い。

金を集める意味がない。

宝箱を見つけても嬉しくない。

レベルアップしても数字が増えるだけ。

ゲームを楽しくするために欲しかった能力を全部手に入れたら、ゲームそのものが壊れた。

これ、かなり意地悪です。

私たちは人生でも、

金さえあれば。

時間さえあれば。

会社さえなければ。

と思います。

制約を一個ずつ消していく。

でも、全部消した先に何があるのでしょう。

サッカーからルールを全部消すと自由になる

サッカーには面倒なルールがあります。

手を使うな。

コートから出るな。

ゴールはここ。

90分で終われ。

オフサイドまである。

全部撤廃したら選手は自由になります。

手を使っていい。

どこまで走ってもいい。

試合時間も無制限。

ゴールも好きな場所。

完全自由。

たぶん誰も見ません。

22人のおっさんが草原を歩いているだけです。

ゲームというものは、自由だけでは成立しない。

むしろ、

「この制約の中で、何ができるか」

がゲームを作っています。

自由の反対側にあると思っていた制約が、面白さを作っていた。

ここでFIREがまた違って見えてきます。

FIREとは制約をなくすことではなく、

「自分で制約を選べるところまで行くこと」

なのではないか。

ゴルフをしている金持ちは、なぜわざわざ朝5時に起きるのか

金持ちになったら目覚まし時計を捨てたい。

ところが金持ちになった人が、朝5時に起きてゴルフへ行っています。

予約時間があるからです。

金を払って早起きしている。

もっと変なのはジムです。

人間は重い物を持ち上げなくて済む社会を何千年もかけて作ってきた。

クレーン。

自動車。

エレベーター。

ロボット。

そして豊かになった人間が、月1万円払って鉄の塊を持ち上げています。

しかも、

「今日は脚の日だから逃げるな」

とか言っている。

文明は重労働から人間を解放した。

人間は暇になったので、重労働を月額課金で買い戻した。

何をしているんでしょう。

でも、たぶん何か重要なことがあります。

人間は自由が欲しい。でも自由だけでは困る

FIRE後の幸福については、実は研究から単純な答えは出ていません。

そもそもFIREそのものを大規模に追跡した研究はまだ乏しいので、通常の退職研究と同じものとして扱うのも危険です。

ただ、一般的な退職研究でも結果は割れています。

2024年の19研究をまとめたシステマティックレビューでは、退職と人生満足度の関係はかなりバラバラで、全体として一貫した効果は確認されませんでした。

さらに面白い研究があります。

米国の8113人を追った研究では、退職によって人生の目的意識がむしろ上昇していました。特に、嫌な仕事から退職した社会経済的地位の低い人で改善が大きかった。

フィンランドの3543人を追った研究でも、退職時に生活満足度は改善し、その後も改善した水準を維持していました。

つまり、

「仕事を辞めると人間は目的を失って不幸になる」

なんて単純な話ではない。

嫌な仕事なら辞めた方が幸せになる人は普通にいる。

当たり前です。

嫌な会社を辞めて暇になったら必ず後悔する、という話なら、会社員を辞めたい人を会社へ閉じ込めておけば人類は幸福になります。

たぶん違います。

じゃあFIREして暇になる人と、死ぬほど楽しい人は何が違うのか

ここからは私の仮説です。

FIRE前から、

会社以外に友達がいる。

仕事以外に夢中になれるものがある。

自分で予定を作れる。

旅行する。

勉強する。

商売する。

何か作る。

人と会う。

こういう人は、会社という時間割を外しても別の時間割を自分で作れます。

逆に、

会社が人間関係だった。

会社が目標だった。

会社が承認だった。

会社が一日の予定だった。

会社が社会との接点だった。

という人が、会社だけ突然消す。

これは家具付きマンションから家具を全部出して、

「広くなった!」

と言っているようなものです。

確かに広い。

でも座る場所がない。

FIRE後にまた働く人はFIREに失敗したのか

2026年にも、「FIREしたら暇で再就職したい」というテーマの記事や、FIRE経験者による「暇」についての発信が検索上かなり出ています。

これを見ると、

「ほら、結局人間には仕事が必要なんだ」

という話になります。

でも少し違う気がします。

嫌だから逃げたゲームへ戻ることと、

好きなゲームを自分で始めること

は同じ「仕事」でも全く違う。

年収が必要だから営業する。

面白い会社を作りたいから営業する。

同じ電話をかけていても意味が違います。

FIRE後にまた仕事を始める人は、FIRE前へ戻ったのではないかもしれない。

お金のために参加させられていたゲームから降りて、

好きなゲーム盤を自分で買った。

ゴルフと同じです。

わざわざ朝5時に起きる。

でも会社の朝5時とは違う。

金で買える一番高いものは「何もしない権利」ではないのかもしれない

FIREを目指すと、最終ゴールがこうなりやすい。

働かなくていい。

何もしなくていい。

一生遊べる。

素晴らしい。

私も欲しい。

でも、それをずっとやりたいかと言われると少し怪しい。

旅行へ行く。

毎日旅行する。

高級ホテルへ泊まる。

毎日高級ホテル。

ゲームする。

毎日ゲーム。

Netflixを見る。

毎日Netflix。

好きだったものが仕事になった瞬間に嫌いになることがあります。

逆に、好きだったものが無限にできるようになっても嫌いになることがある。

人間は面倒です。

欲しいものを無限に与えても幸福が無限にならない。

子供の夏休みは、なぜ8月25日くらいから嫌になるのか

7月20日。

夏休み開始。

天国です。

学校へ行かなくていい。

朝寝ていい。

ゲームしていい。

友達と遊ぶ。

プール。

花火。

8月。

まだ休み。

そして8月25日くらいになる。

なぜか少し学校へ行きたくなる。

全員がそうではないでしょう。

私は知らない。

でも「夏休みが一生続けば最高」と小学生に言ったら、最初は喜ぶと思います。

数年後どうなるのでしょう。

学校は面倒でした。

でも学校には、

友達。

事件。

恋愛。

試験。

競争。

修学旅行。

先生。

部活。

知らないこと。

が勝手に入ってくる。

夏休みは自由です。

でも、自分から動かない限り何も起きない。

FIREというものを考えていたら、40歳の話から小学生の夏休みに戻ってしまいました。

でも結構同じなのかもしれません。

仕事とは金を稼ぐものだと思っていた

仕事
=金を稼ぐためのもの

だから金が十分あれば仕事は不要になる。

論理的です。

でも会社を分解してみると、

金。

人間。

時間割。

目標。

競争。

所属。

社会との接点。

承認。

事件。

が全部入っています。

仕事を捨てるというより、

この巨大なパッケージをアンバンドリングする必要がある。

金はいらない。

でも人間関係は欲しい。

上司はいらない。

でも締切はあった方がいい。

満員電車はいらない。

でも毎朝起きる理由は欲しい。

人事評価はいらない。

でも自分が上達しているかは知りたい。

会社はいらない。

でもゲームは欲しい。

この状態がFIRE後の設計なのかもしれません。

FIREとは「会社を辞めること」ではなく、人生を自分で組み立て直すことになる

ここまで来るとFIREが急に面倒になります。

5000万円貯めれば終了だと思っていた。

でも本当に必要なのは、

自分で時間割を作る。

自分で人間関係を作る。

自分で目標を作る。

自分でゲームを選ぶ。

という作業かもしれない。

会社員なら会社が無料でやってくれます。

いや、無料ではないですね。

時間をかなり取られています。

FIREすると、その外注契約を解除する。

だから全部自分でやる。

自由というものは、思っていたより事務作業が多い。

それでも私はFIREが悪いとは全く思わない

むしろ逆です。

嫌な会社へ行かなくていいなら素晴らしい。

満員電車にも乗らなくていい。

嫌な客も切れる。

昼まで寝てもいい。

平日の誰もいない温泉へ行ける。

ただ、

「制約がなくなれば幸福になる」

というところだけ少し疑った方がいい。

サッカーからルールを全部消したら、サッカーまで消えた。

FIREで消したいのは、

ゲーム

ではなく、

嫌いなゲームを強制されること

なのかもしれません。

FIREしたら毎日が日曜日になる

最初に戻ります。

毎日が日曜日。

これはたぶん最高です。

ただ、7日全部日曜日になった瞬間、

日曜日というものは消えます。

だったら自分で水曜日を作ればいい。

水曜日は朝から勉強する。

木曜日は商売する。

金曜日は友達と会う。

月曜日は何もしない。

土日は混んでいるので家にいる。

曜日の意味まで自分で決められる。

これが本当のFIREなのかもしれません。

金が十分あることではない。

仕事をしないことでもない。

他人が作った時間割を捨てて、

自分の人生に、自分で面白そうな制約を置けること。

そう考えると、FIRE後にまた働き始めた人を見ても、

「FIREに失敗した」

とは思わなくなります。

暇に耐えられなかったのかもしれない。

金が足りなくなったのかもしれない。

単純に仕事が好きだったのかもしれない。

知らないので分かりません。

でも、ゲーム機を捨てた人が、後から別のゲームを買っただけかもしれない。

FIREという言葉にはFire、火という文字が入っています。

別に関係ありません。

Financial Independence, Retire Earlyの略です。

でも会社を辞めて、暇になって、また何かを始める。

一回消した火を、自分でまた点ける。

そっちのFIREの方が、私はちょっと面白いです。


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西園寺貴文(憧れはゴルゴ13)#+6σの男

   




"make you feel, make you think."

 

SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)

新たなるハイクラスエリート層はここから生まれる
         




Lose Yourself , Change Yourself.
(変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れられる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、見分ける知恵を与えたまえ。)
 
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。