なぜ社長・経営者はゴルフをするのか?名刺交換より、OBを打った後の顔が重要なのかもしれない

朝6時半。

東京から車で一時間半くらい走った山の中に、社長がいます。

昨日まで数十億円の予算について話していた人が、ポロシャツを着て、小さい白い球を棒で殴っています。

右へ飛んだ。

OB。

「あー、最悪だ」

もう一回打つ。

考えてみると、かなり変です。

経営者は忙しい。

社長の時間は高い。

それなのに半日近く使って、山の中を歩き回る。

しかも仕事相手と一緒です。

普通に考えれば、30分Zoomした方が早い。

名刺交換なら5分で終わる。

飯を食っても2時間。

なぜわざわざ18ホールも回るのでしょう。

普通の答えは「人脈」である

これは間違っていません。

ゴルフは昔からビジネス上の人間関係づくりと結びついてきました。

しかも単なる俗説だけではありません。

日本のCEOを対象に、東京大学、政策研究大学院大学、東京商工リサーチなどのデータを使った研究があります。

その研究では、ゴルフを趣味とする男性CEOは、男性CEOが率いる企業との取引割合が高いことが確認されています。

一方、女性CEOがゴルフをしても男性CEOとの取引が増えるという結果にはなっていません。

研究者は、男性中心の非公式ネットワーク、いわゆるold boys’ clubの存在を示唆しています。

つまり、

社長がゴルフをする

人脈ができる

という話には、それなりに現実的な背景があります。

これで記事を終えてもいい。

でも、少し引っかかります。

人脈を作りたいだけなら、なぜゴルフなんでしょう。

酒ではダメなのか

社長同士で仲良くなりたい。

なら銀座で飲めばいい。

高級レストランでもいい。

サウナでもいい。

旅行でもいい。

麻雀でもいい。

むしろゴルフは面倒です。

朝が早い。

遠い。

雨が降る。

暑い。

寒い。

道具もいる。

下手だと恥ずかしい。

一日潰れる。

ネットワーキングの効率だけ考えると、あまり優秀な商品に見えません。

でも、ひょっとすると、

面倒だからいい

のかもしれない。

人間は15分なら、だいたい良い人になれる

初対面の商談。

笑顔。

名刺。

「いつもお世話になっております」

30分くらいなら、大抵の人はちゃんとしています。

面接もそうです。

ネクタイを締める。

志望動機を言う。

長所は責任感です。

短所は責任感が強すぎるところです。

人類は面接で責任感が強すぎます。

でも、これが4時間、5時間になると少し難しい。

朝集合する。

車に乗る。

着替える。

スタートする。

待つ。

歩く。

ミスする。

腹が減る。

暑い。

雨が降る。

また待つ。

その間ずっと一緒にいる。

人間は長時間になると、広報活動が雑になります。

OBを打った後に、少しだけ決算書が開く

一発目。

ナイスショット。

余裕があります。

二発目。

池に入る。

三発目。

またミス。

ここからが面白い。

笑う人。

黙る人。

クラブを叩く人。

キャディーに当たる人。

言い訳する人。

ルールを少し誤魔化す人。

「まあ今日は遊びだから」と流せる人。

同じミスなのに、反応が違います。

会社のホームページには載っていません。

「代表取締役社長 山田太郎。趣味ゴルフ。3回ミスするとキャディーへの態度が悪化します」

とは書いていない。

でも取引をするなら、むしろこういう情報の方が重要だったりします。

会社を買うときは、決算書だけを信じない

M&Aではデューデリジェンスをします。

会社を100億円で買う。

売上100億円。

利益10億円。

決算書を見る。

はい買います。

とは普通なりません。

その数字はどう作られたのか。

主要顧客は誰か。

訴訟はないか。

税務リスクはないか。

従業員は辞めないか。

変な契約はないか。

帳簿の外に何か埋まっていないか。

いろいろ調べます。

以前書いたDebt-like Itemsなんかもそうです。

表面上は普通の負債に見えないものまで掘る。

数字は綺麗でも、地面を掘ったら何か出てくるかもしれない。

会社にはデューデリジェンスをする。

でも人間には、あまりしません。

履歴書は、人間の決算書なのかもしれない

東京大学卒。

三菱商事。

部長。

年収2000万円。

会社経営15年。

全部立派です。

でも企業の決算書と同じで、

過去の実績

しか書いていません。

嫌なことが起きたときどうなるか。

小さなルールを守るか。

負けたときに他人のせいにするか。

自分より立場の弱い人へどう接するか。

待てるか。

感情を制御できるか。

自分だけ一打少なく申告しないか。

こういうものは載っていない。

LinkedInにもない。

履歴書にもない。

帝国データバンクにもない。

人間の簿外債務です。

ゴルフ場には、小さな倒産が18回くらい起きる

一打ミスする。

予定が崩れる。

次で取り返そうとする。

また失敗。

これは極小の危機です。

会社が潰れるわけではありません。

数百万円失うわけでもない。

ただ、本人にとっては少し嫌。

この「少し嫌」が絶妙なのかもしれません。

完全に平穏なら人間性は出ない。

本当に人生が壊れるほどの危機なら、一緒に観察するわけにもいかない。

ゴルフには、

予定どおりいかない。

待たされる。

負ける。

他人に見られる。

運も絡む。

という小さいストレスが、何度も来ます。

巨大な危機を一回起こさなくても、その人が崩れる方向を少しだけ見られる。

縮小版の人生です。

取引先の社長と無人島へ行く必要はない

本当に人間性を知りたければ、無人島で一カ月暮らせばいいと思います。

たぶんかなり分かります。

でも誰もやりません。

「今度の取引の件ですが、まずフィリピンの無人島で30日間共同生活をお願いします」

と言われたら契約を断りたくなります。

ゴルフはちょうどいい。

半日。

適度に面倒。

適度に失敗する。

適度に競争する。

適度に暇。

そして終わったら風呂に入って帰れる。

人間を観察するには、妙に良くできています。

会議室では、全員がIR資料になっている

会社のIR説明会へ行くと、基本的に良い話をします。

成長。

戦略。

株主還元。

将来性。

経営者も商談では同じです。

「御社とは長期的なお付き合いを」

「Win-Winで」

「ぜひ一緒に」

当たり前です。

最初から、

「景気が悪くなったら御社への支払いを遅らせる予定です」

とは言わない。

人間にもIRがあります。

服。

肩書。

話し方。

経歴。

名刺。

全部IR資料です。

ゴルフ場へ行くと、IR説明会が長すぎて、途中から社長本人が出てきます。

でもゴルフが上手い社長ほど会社経営も上手い、ではない

ここでゴルフ礼賛を始めると危ない。

むしろ面白い逆の研究があります。

米国CEOを調べたManagement Scienceの研究では、ゴルフを非常に多くするCEOほど、企業の営業成績や企業価値が低い傾向があり、研究者は過度なゴルフをCEOのshirking、つまり職務怠慢の一つの指標として分析しました。

さらに別の研究では、CEOはゴルファーの方が報酬が高く、ゴルフが上手いほど報酬も高かった一方、それが企業業績の高さを意味するわけではないという、かなり皮肉な結果も報告されています。

つまり、

ゴルフができる
=優秀な経営者

ではない。

場合によってはゴルフばかりしている。

当たり前です。

人間は一つの指標に意味を持たせると、すぐ攻略を始めます。

東大卒だから仕事ができる。ゴルフが上手いから信用できる。たぶん全部同じ罠がある

学歴。

勤務先。

年収。

ゴルフ。

高級時計。

話し方。

人間は、他人を一瞬で判断するために大量の代理指標を使います。

便利です。

一人調べるのに半年かけていたら何もできません。

でも代理指標は代理指標です。

ゴルフ場で紳士でも、会社で紳士とは限らない。

逆もある。

下手でも素晴らしい経営者はいます。

だからゴルフは嘘発見器ではない。

人間性が全部分かる魔法のスポーツでもありません。

では、なぜ残るのでしょう。

会社には帝国データバンクがある

新しい取引先。

本当に大丈夫か。

信用できるか。

倒産しないか。

企業なら調べられます。

帝国データバンク。

東京商工リサーチ。

登記。

官報。

決算書。

取引履歴。

いろいろあります。

企業には信用情報があります。

評点まである。

以前、このサイトでも「帝国データバンクの評点は何点なら高いのか」を書きました。

では社長本人の信用情報はどこにあるのでしょう。

山田太郎社長。

評点57点。

約束遵守A。

敗北耐性B。

キャディーへの態度C。

酒量D。

バンカー脱出時に少し機嫌が悪い。

そんなデータベースはありません。

たぶん売れそうですが、プライバシー的にかなり怒られそうです。

人間には決算書がないから、一緒に時間を過ごす

考えてみれば古い社会はずっとそうでした。

飯を食う。

酒を飲む。

旅行する。

祭りへ行く。

同じ学校へ通う。

同じクラブへ入る。

一緒にスポーツする。

人間について知るために、人間と時間を過ごしていた。

インターネットでは5秒でプロフィールが見られる。

でもプロフィールは本人が書いている。

SNSはもっとひどい。

本人の広報部です。

人間の財務諸表は、ほぼ全部粉飾可能です。

写真を選ぶ。

肩書を書く。

成功した話を載せる。

嫌な部分は載せない。

それなら実際に半日歩いた方が早いことがある。

ここでゴルフが、スポーツではなくなってくる

白い球を穴へ入れる。

最初はそれがゴルフでした。

次に、

経営者同士の交流。

人脈形成。

接待。

になった。

でも今は少し違って見えます。

取引しようとしている人間を、数時間だけ実際の環境で動かしてみる。

小さな失敗を起こす。

ルールを置く。

競争させる。

待たせる。

他人と協調させる。

そして見る。

これ、製品テストみたいです。

人間を試験環境へ入れている。

自動車メーカーは車を壁へぶつける

新しい車を作る。

カタログを見る。

美しい。

馬力。

燃費。

装備。

全部いい。

でも安全性を見るためには、車を実際にぶつけます。

クラッシュテストです。

壊したいわけではありません。

普段見えないものを見たい。

人間も同じなのかもしれません。

面接室では綺麗。

商談でも綺麗。

だから軽く壁へぶつける。

OB。

ダブルボギー。

待ち時間。

雨。

負け。

それくらいなら壊れません。

でも少し中身が見える。

ゴルフは人間のクラッシュテストなのかもしれない。

かなり失礼な表現です。

ゴルファーの皆さんすみません。

銀行は企業に金を貸す前に審査する

銀行は、

「社長さん、感じいいですね。10億円どうぞ」

とはやりません。

財務を見る。

担保を見る。

過去を見る。

事業を見る。

信用を見る。

人間関係も場合によっては見る。

なぜか。

金を貸した後で、

「この会社、ヤバかった」

では遅いからです。

取引も同じです。

契約してから、

この人は約束を守らない。

負けると急に攻撃的になる。

小さいルールを平気で曲げる。

立場の弱い人間への態度がひどい。

と分かると面倒です。

契約書には全部書けません。

だから契約前に、人を見る。

社長はゴルフ場で、人間版の与信審査をしているのかもしれない

もちろん本人たちは、

「本日は御社代表取締役の人間DDを実施します」

と思って回っているわけではないでしょう。

普通にゴルフしたいだけかもしれない。

でも社会の仕組みとして見ると、妙に合理的です。

企業間取引では、

会社の信用情報

を見る。

しかし最終的に意思決定をするのは人間です。

その人間には、財務諸表がない。

だから、

何時間か一緒にいる。

遊ぶ。

話す。

困る。

失敗する。

そして少しずつ、

「この人と商売して大丈夫そうだ」

という数字にならない評点を作る。

18ホールの最後に、芝生の上へ帝国データバンクができる

最初の疑問へ戻ります。

なぜ社長・経営者はゴルフをするのか。

人脈。

接待。

運動。

趣味。

もちろん全部あるでしょう。

でも、それだけならZoomでも飯でもかなり代替できます。

ゴルフには、

長い。

面倒。

失敗する。

競争する。

暇な時間もある。

という特徴があります。

効率が悪い。

その効率の悪さの中で、人間のIR資料が少しずつ剥がれる。

会社を調べるなら帝国データバンクがあります。

社長本人を調べるデータベースはない。

だから山の中を数時間歩く。

そう考えると、

「社長はなぜゴルフをするのか」

という質問への答えが少し変わります。

友達を作りに行っている。

だけではない。

商売相手の、

財務諸表には載らない部分

を見に行っているのかもしれません。

取引先企業には評点がある。

取引先社長には評点がない。

その空欄を、18ホールかけてなんとなく埋めている。

ゴルフとかけまして、帝国データバンクと解く。

その心は。

どちらも、取引する前に相手が信用できるかを調べています。

ただしゴルフ場の評点は、最後まで数字にはなりません。

たぶんスコアカードの数字より、そっちの方を覚えて帰る人もいるんでしょう。


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西園寺貴文(憧れはゴルゴ13)#+6σの男

   




"make you feel, make you think."

 

SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)

新たなるハイクラスエリート層はここから生まれる
         




Lose Yourself , Change Yourself.
(変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れられる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、見分ける知恵を与えたまえ。)
 
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。