相場で金融資産をコロコロ転売ヤーするだけで、一気に金が稼げるという話は、私たちを強烈に惹きつけます。
それは個人に限らず、企業だって同じことです。
しかし、過去には、リクルートやダイエーなどが、その財テクの魅力に取り憑かれて、とんでもないどん底まで追い詰められています。
上場企業の半分近くが財テク
1986年時点の調査では、東証一部上場964社のうち、470社が資産を積極運用し、株式などに投資して利益を上げようとしていると回答している。約49%なので、少なくとも大企業では一部の特殊な会社だけの現象ではなかった。
しかも当時の財テクは、単に余った現金で株を買うだけではない。
- 特定金銭信託、ファンド・トラストを通じた株式運用
- 転換社債、ワラント債、CPなどで安く調達して運用
- 金利規制の隙間を使った預金・調達金利の裁定
- 土地を担保に借り、さらに土地・店舗・関連事業へ投資
などを含む、かなり大規模な「企業金融業化」だった。
非金融法人の金融資産取得額は、1985年の21.3兆円から1989年には39.6兆円へ増加。直接の株式取得も0.2兆円から4.7兆円へ拡大した。同時に企業の資金調達額も33.7兆円から75.6兆円へ倍増している。つまり、余剰資金の運用だけでなく、借りたり証券を発行したりして金融資産を買う企業も増えていた。
儲かった企業も多いが、最後に残ったのは損失
上昇中は当然、多くの企業が儲かった。財テク利益が本業不振を覆い隠し、財務部門が利益センターとして評価される状況も生まれた。
ただし、それは主として、
- 株価・地価が上がり続ける
- 低金利で借り続けられる
- 保有資産を売れば利益が出る
という三条件に依存した利益だった。
1990年以降に株価が崩れ、日経平均はピークから1992年8月までに約63%下落した。
1992年3月時点では、東証一部企業の営業外収支が前年より8200億円以上悪化し、合計2兆2300億円超の赤字になったとの推計がある。また、企業が特金・ファンドトラストで抱えた含み損は合計10兆円超と見積もられていた。つまり、個別に大騒ぎになった企業以外にも、広範囲の企業が大小の損失を抱えていた。
正確な「何社が最終的に儲かり、何社が損したか」は出しにくい。途中で利益確定した会社、含み益のまま消えた会社、損失を先送りした会社、本業利益で吸収した会社が混在するからである。
個人も沸いたが、「国民総個別株投資」ではない
個人では、1987年のNTT株売り出しに約800万人が応募したとされるほどの熱狂があった。金貨、NTT株、投資信託、保険商品など、資産運用ブーム自体は明確に存在した。
一方、マクロ統計では、家計は企業ほど個別株を直接買っておらず、定期預金、生命保険、投資信託などを通じた参加が中心だった。したがって、
日本人全員が証券会社で株を売買していた
というイメージは誇張だが、
普通の人まで資産価格上昇に参加しようとした
という理解は合っている。
「財テクに乗らなかった企業が勝った」は、かなり正しい
典型例が、ダイエーとイトーヨーカ堂の違いである。
ダイエーは土地を保有し、地価上昇で担保価値を高め、借入金でさらに土地・店舗を増やす拡大型だった。したがって厳密には、株の財テクというより土地価格に依存したバランスシート経営だった。地価下落後には巨額債務だけが残った。
これに対してイトーヨーカ堂は、自社で土地や建物を大量保有せず、テナント出店を多用する「持たない経営」を続けた。そのため、バブル崩壊による資産価格下落の直撃を受けにくかった。
この差が長期的に効く経路は明確である。
財テク・土地投機に傾斜
→ 資産価格下落
→ 含み損・評価損・借入金だけ残る
→ 本業の投資を削る
→ 10年以上、債務処理に追われる
財テクを抑制
→ バランスシートが健全
→ 本業投資を継続できる
→ 不況時に安く出店・採用・買収できる
→ 競合撤退後にシェアを取る
つまり、財テクをしなかったことは、直接売上を生み出す成長エンジンではない。だが、崩壊後に成長エンジンを壊さないための、非常に大きな生存条件だった。
トヨタや日立は「無傷の禁欲企業」ではない
1991年に発覚した証券会社の損失補填問題では、新聞報道上、日立・松下・トヨタなどの大企業も補填先として名前が挙がりました。営業特金では、証券会社が事実上の利回り保証を行い、相場下落後には損失補填や「飛ばし」が広がりました。1988年9月から1990年3月までの業界全体の補填額は1,700億円超とされています。
したがって、
トヨタは本業一本で、財テク企業とは無縁だった
というイメージは明確に間違いです。
当時は「トヨタ銀行」と呼ばれ、トヨタの財務部門そのものを扱った『トヨタ財務部―今、“財テク”が企業の命運を握る』という本まで出ていました。同書の紹介文には、京セラも財テクに熱心だったという趣旨が掲げられています。
稲盛和夫は後年、「浮利を追わない」「不動産を転がす利益は嫌いだった」と明確に語っています。これは京セラが借金で土地を買い回るような財テクを避けたこととは整合します。
しかし、
投機的な不動産取引をしなかった
=有価証券・債券・預金による資金運用を一切しなかった
ではありません。
当時の「財テク」には、次のものが全部入っていました。
A:余剰現金を定期預金・債券で運用
B:特金・ファントラで株式運用
C:低金利で調達して高金利商品へ回す
D:為替・金利取引
E:土地を担保に土地・リゾートを拡大
AとEでは、同じ財テクでもリスクがまったく違います。
任天堂については、巨額の現金・有価証券を持つ資産運用企業的な側面はありますが、今回確認できた資料からは、バブル期の財テク損失が後年の経営を大きく拘束したとまでは断定できません。現在まで続く任天堂の特徴は、借入金によるレバレッジ運用よりも、ゲーム事業で得た利益を厚い現預金・有価証券として保持する安全重視の構造です。
分岐点は「財テクをしたか」ではなく「どこまで傷が本業を拘束したか」
ここが本質です。
1.損失吸収型――トヨタなど
財テクで損をしたり、金融収支が悪化したりしても、
- 本業の営業キャッシュフローが大きい
- 自己資本が厚い
- 借入依存が低い
- 金融資産が比較的流動的
- 不況下でも設備投資や研究開発を続けられる
企業は、損失を数期で吸収できます。
トヨタは「財テクに乗らなかった勝者」ではなく、
財テクにも乗ったが、その損失で自動車事業の複利が止まらなかった勝者
と見るべきでしょう。
2.複合損傷型――電機各社やマツダ
日立、東芝、三菱電機などでは、金融運用の悪化だけでなく、
- 円高
- 国内設備の過剰
- 半導体・家電の競争激化
- 多角化による低収益事業の累積
が重なりました。
したがって財テク損失は無関係ではありませんが、東芝や日立のその後数十年の苦戦を、すべてバブル期の財テクで説明するのも無理があります。財テクは初期体力を削った要因であって、長期衰退の単独原因ではありません。
マツダも同様です。マツダ自身の社史は、国内市場の継続成長を前提にした拡大戦略がバブル崩壊で行き詰まり、販売チャネルの整理やフォードの支援が必要になったと説明しています。五つの販売チャネル、車種・ブランドの増加、開発費・販売網の膨張という本業側の過剰投資が中心で、財テクがあったとしても複合要因の一つです。
3.資産価格依存型――西武、ダイエーなど
西武は、余剰現金を株で運用したという程度ではありません。
土地・建物を保有し、
地価上昇
→ 含み資産増加
→ 担保力増加
→ 借入増加
→ ホテル・リゾート開発
→ さらに資産規模拡大
という仕組み自体が経営モデルでした。西武の公式史にも、ホテルの土地・建物は西武鉄道が所有し、プリンスホテルが運営するという資産保有構造が記されています。
この型は地価が下がると、単に投資損が出るだけでなく、
- 担保価値が落ちる
- 借入金は残る
- ホテルやリゾートの固定費が残る
- 資産売却も難しくなる
ため、経営全体が拘束されます。
トヨタの証券運用損と、西武の土地依存を同じ「財テク失敗」と呼ぶと、後遺症の違いが見えなくなります。
教訓:財テクに生きる者は、財テクに死ぬ
結局、人も企業も、
「相場できったはった」
の勝負をすることに100%依存すると、危ないのです。
特に、財テク勝者であった西武グループの総帥は、90年代、ビルゲイツに抜かれるまで世界のお金持ちランキング1位だったことも考えると、非常に示唆深いものがあります。
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"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。



