アメリカのイラン攻撃(バンカーバスター)を考察する 「トランプは何を考えているのか?」

 

アメリカがイランをバンカーバスターで攻撃した。

 

中露に対する牽制意識はあるだろう。

しかしながら、北朝鮮には攻撃せず、イランには攻撃をするということは、

核を持たないと結局最後はこうなるぞ

というメッセージを発してしまう。

 

結果的に、

  • 北朝鮮のように、核兵器を持ちながらも経済制裁をくらう国になるか
  • アメリカが牛耳る世界の仲間入りになるか

という厳しい2択を迫られる。

 

本当に現代日本人は、幸福である。

80年前に、そのアメリカとの戦いを終えて、その遺産として、アメリカ側についてのうのうとしていられるのだから。

 

私たちの今の平和は、アメリカと戦った先人の犠牲の上にある。

 

 

アメリカに中途半端に譲歩する危険

 

対米政権の指導者は難しい判断を迫られることになるだろう。

アメリカの要望に迎合して、中途半端な姿勢を取り、核開発を半端な状態にしていると、今回のイランのような攻撃をくらうことになる。

 

一方で北朝鮮のように、振り切って核保有国になれば、攻撃を受けない立ち位置を得ることができる。

ある意味、金正日や金正恩の戦略的判断は正解だったのかもしれない。

 

北朝鮮は、過去、アメリカに散々圧力をかけられながらも、核保有国への地位まで上り詰めた。

アメリカもアメリカとして、主としてクリントン政権時代に、北朝鮮を核保有国にしてしまったという苦い失敗がある。

 

だから、イランが完全に核保有国になる前に叩いてやろう、という思惑だ。

 

イランもイランで、交渉カードを持つために、中途半端な段階で止めておいたスタンスがこの結果を招いてしまった。

 

 

トランプの基本交渉スタンス

 

トランプを見ているとわかるが、交渉の基本スタンスは、ブラフと譲歩である。

いわば、「大事なものを取る」「大事なものを守る」ために周辺の犠牲を辞さないスタンスだ。

 

また、ブラフをブラフだと見抜かれないために、今回、攻撃する必要があったのだろう。

つまり、「私はやるときはやるぞ」というスタンスだ。

 

一方で、ロシアとウクライナをめぐる問題でロシアに対してすぐ日和ったことからもわかるように、米露戦争は避けたいという姿勢だ。つまり大事なコアな部分はどうにかしようとしている。

米露戦争は避けたいのだ。

一方で、中国に対しては厳しい関税戦争を仕掛けている。中国はなんとか弱体化させたいだろう。

 

ウクライナも、ロシアの体力を削る駒として使える。

 

 

露中が弱体化すると、日本が困る

 

日本が戦後、発展してきた歴史からわかるように、

米ソ対立構造

の中で、アメリカ側に立つことができたから、日本は恩恵を受けられた。漁夫の利を得られた。

 

日本としては、露中と米英が対立している構図は、メリットが多い。

アメリカとしても、露中と対立している間に、無駄に仲間を減らしたくない。敵を増やしたくない。

 

仮に、アメリカの元から、

  • 日本
  • ドイツ

が離れたとしよう。

 

そうすると、ドイツはヨーロッパで巨大化する。ナチスの二の舞になる。ロシアとイギリスはこれが困る。

日本が軍事路線に走ったり、中国に取り込まれるのも、アメリカが困る。

 

アメリカは、

  • 日本
  • ドイツ

を配下に置いておきたい。

そしてそれは、ヨーロッパ諸国、特にフランスやイギリスにとってもウェルカムだ。ドイツを自主独立させると、どうしてもヨーロッパで存在感を増してしまうからだ。

 

また、露中も露中で、ドイツと日本をアメリカがおさめていることはある程度、好ましい。

ドイツと日本で自主防衛・軍事化の機運が高まると、それはそれで露中にとって厄介だ。

 

世界は、思惑が交錯する。

 

 

アメリカの本音はどこにある?

 

中露が組んでは困る。

日独が自立しては困る。

中東が統合しては困る。

そしてEUが統一国家に近づいても困る。

 

アメリカが最も恐れるのは、「複数の地域大国が連携してアメリカの影響圏を侵食してくること」である。

 

ここに基本的な国家戦略がある。

 

だからこそ、トランプ時代以降の政策は、一見すると支離滅裂だが、実は一貫している。

・中国とは経済面で徹底的に衝突

・ロシアとは軍事衝突は避けつつ、経済制裁で長期的に疲弊させる

・イランとは局地的に軍事衝突を演出し、他の中東諸国に「アメリカと敵対することの危険性」を見せつける

・日本とドイツには「もっと金を出せ」と圧力をかけつつも、同盟関係は維持

要するに、アメリカは

「支配したいわけではない、ただ支配されるのは絶対に嫌だ」

という自己中心的な超大国の本音を、冷徹な戦略で表現している。

 

 

日本の国家戦略はどうあるべきか?

 

ここで問われるのは、日本の立ち回りである。

アメリカと中国、ロシアという覇権国家のせめぎ合いの中で、日本が完全な属国に堕ちるのか、それともしたたかに間隙を突くのか。

中東や東欧のように「拒否して殴られる」のではなく、

「うまく付き従いながら、裏では利益を確保する」という、高度なバランス感覚が求められる。

現実的には、

・アメリカとの同盟は維持しつつも

・経済的には中国との関係も維持し

・ロシアとは対立を避け

・中東ともエネルギー外交で繋がる

という四正面外交が要求されている。

つまり、

「中立ではなく、多面待ちで動く」

ことこそが、日本の生存戦略である。

イランを潰せばホルムズ海峡封鎖リスクは小さくなる?

確かに、ホルムズ海峡の封鎖リスクを考えれば、「イランを潰してしまった方が中長期的には安定するのでは?」という直感的な意見には一定の合理性があります。

しかし、現実はもっと複雑で、「イランを完全に潰す」ことには重大な副作用があります。以下、賛否を整理しつつ、最終的にどう考えるべきかを論じます。


▼ 賛成意見:「イランを潰せば、安定する」

① ホルムズ海峡リスクが消える

  • 世界の石油の約20%が通過するホルムズ海峡は、地政学的に超重要地点。

  • イランがミサイルや機雷で海峡封鎖をする「ブラフ」が常にリスクになっている。

  • イランが崩壊すれば、海峡を安定的に維持できる。

② 中東の親米化が進む

  • サウジ、UAE、イスラエルなど親米勢力が優勢になり、勢力均衡が崩れる。

  • 石油利権・安定供給をアメリカが管理しやすくなる。

③ 反米・反イスラエルのテロ支援国家が消える

  • ヒズボラ、フーシ派などに支援をしてきたイランが消えると、テロリスクが大きく減る。

  • 中東の火種が一つ消えるという意味では平和的にも見える。


▼ 反対意見:「イランを潰すと、地獄が始まる」

① 「第二のイラク」になる

  • フセイン体制崩壊後のイラクが無政府・内戦状態になり、ISが台頭した。

  • 同様に、イランが崩壊すれば、シーア派内部の内戦、スンニ派勢力の流入、民族分裂(クルド人など)で中東全体が不安定になる。

② 国際石油市場が混乱

  • 戦争でホルムズが一時的にでも封鎖されると、原油価格が急騰。

  • 特に日本、韓国、インドなど中東依存国は大打撃。

  • 原油価格は金融市場の不安定要因にもなる(スタグフレーションの懸念)。

③ 露中が入り込む隙を与える

  • イランが崩壊すると、ロシア・中国が「秩序維持」や「再建支援」を名目に入り込み、逆に親米化どころか親中・親露化する可能性もある。

④ 反米感情のさらなる高まり

  • 「またアメリカが中東を壊した」と世界から批判される。

  • アメリカ国内でも、戦争疲れと財政赤字拡大への反発が高まる。


▼ アメリカにとっての現実的な落としどころ

「潰しはしないが、叩く」というのが基本路線です。

  • 完全に破壊せず、「潰れそうだけどギリギリ潰れない状態」を維持。

  • 内部の民主化運動を煽る(=レジームチェンジ)ことで、戦争なしに政権転覆を目指す。

  • 一方で核開発の進展だけは徹底的に妨害し、イランの「カード化」を阻止する。

これは「イラクの二の舞にはしないが、北朝鮮のようにもさせない」という、非常に微妙で緊張感のある綱渡りです。


▼ 日本にとってはどうか?

日本は原油の約9割を中東から輸入しており、その大半がホルムズ海峡を通ります。

つまり:

  • イランが暴走して封鎖 → 原油価格暴騰 → 経済に大打撃

  • アメリカが潰して内戦化 → 同じく長期不安定化 → 大打撃

要するに、日本にとっては「イランは多少反米でもいいから、現状維持でいてくれ」がベストです。

▼ なぜイランに核を落とせないのか?

① 国際法・倫理の破壊 → アメリカが国際社会の敵になる

  • いま核兵器を先制使用することは、国際法上の戦争犯罪に限りなく近い行為

  • 日本への原爆投下は、「戦争終結のための不可避措置」としてかろうじて容認されてきた。

  • しかし現代で核を落とせば、アメリカは「人類の敵」として記憶される。

② イスラム世界の過激化 → テロの連鎖が止まらなくなる

  • イスラム教は、「殉教」「報復」「聖戦」という強い宗教動員装置を持つ。

  • イランへの核攻撃は、イスラム世界15億人の敵意を確定させる

  • つまり、第二の9.11が全世界で同時多発的に起こるリスク

③ 中露の参戦 or 武器供与 → 第三次世界大戦の火種になる

  • ロシアはイランと軍事協力しており、中国はイランの最大の石油輸入国。

  • アメリカが核を落とせば、中国・ロシアが「アメリカの暴走」を止める名目で動く可能性あり。

  • すると、米中露の代理戦争が勃発し、第三次世界大戦に発展しかねない


▼ 仮に核を使って屈服させても「統治」はできない

1945年の日本は、

  • 天皇の存在が国民を一気に制御した

  • 戦前から国家組織が高度に整備されていた

  • アメリカが「建て直し可能な敵」として想定していた

一方、イランは:

  • 最高指導者(ハメネイ)が殉教すれば「英雄」として神格化

  • 国家はシーア派ネットワークでグローバルに拡張している

  • 核攻撃を「悪の帝国アメリカの証拠」として喧伝できる

つまり、一発で屈服どころか、100年の報復と混乱の始まりになる。


▼ 結論

✅ 表面的には「潰した方が良さそう」に見えるが、
❌ 潰すと中東は10年以上の不安定と泥沼になる。

したがって、アメリカも日本も現実的には、
「コントロール可能な敵」としてのイランを存続させる方が合理的
という冷酷なリアリズムの上に立って動いています。

つまり、完全な悪は、都合の良い秩序の材料になりうるというのが、国際政治の恐ろしい真実です。

 

 

 

 

 


===

西園寺貴文(憧れはゴルゴ13)#+6σの男

   




"make you feel, make you think."

 

SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)

新たなるハイクラスエリート層はここから生まれる
         




Lose Yourself , Change Yourself.
(変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気を我らに与えたまえ。変えることのできないものについては、それを受け入れられる冷静さを与えたまえ。そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、見分ける知恵を与えたまえ。)
 
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。