年収1000万円の会社員でも、自分の会社がどう動いているかはほとんど知らない
東京で10年、15年働く。
大企業に勤める。
課長になる。
年収1000万円を超える。
自分の仕事についてはかなり詳しくなる。
営業なら営業。
マーケティングならマーケティング。
経理なら経理。
人事なら人事。
ところが不思議なことに、
自分が勤めている「会社そのもの」がどう動いているのかは、ほとんど知らないまま
ということがあります。
たとえば営業マンが、
「今月、1億円受注しました」
と言う。
では、その1億円はその後どうなるのか。
Salesforceで商談がClosed Wonになる。
受注情報がERPへ流れる。
SAP S/4HANAかもしれない。
Oracleかもしれない。
在庫を引き当てる。
商品が海外製ならNACCSを通じた輸入実務が裏側で動いているかもしれない。
納品。
検収。
請求。
売掛金計上。
相手企業が本当に払える会社なのか、帝国データバンクや東京商工リサーチを使って与信管理しているかもしれない。
入金。
全銀フォーマット。
ZEDI。
入金消込。
最終的に現預金。
そして月末には、その数字が連結決算へ流れる。
DIVA。
STRAVIS。
連結パッケージ。
内部取引消去。
未実現利益消去。
そこで初めて、
「会社の売上」
になります。
営業マンが見ている「1億円受注」は、
会社全体から見ると、
巨大な業務システムの一番上流に発生したイベントの一つ
にすぎません。
大企業は、巨大な「見えない機械」である
会社に入ると組織図を渡されます。
営業本部。
マーケティング本部。
経理部。
財務部。
人事部。
法務部。
情報システム部。
購買部。
物流部。
経営企画。
しかし、本当に会社を動かしているものは組織図だけではありません。
その裏には、
システムと帳票と承認権限とデータベースの網
があります。
たとえば一人の社員を採用するだけでも、
表から見れば、
「4月1日入社」
です。
しかし裏では、
人事システムへ社員登録。
Active DirectoryやMicrosoft Entra IDへアカウント作成。
Microsoft 365ライセンス付与。
IntuneでPC管理。
会社によってはJamfでMac管理。
HENNGE OneやOktaでSSO。
Salesforceを使う職種ならアカウント追加。
SAPを使うなら権限ロール設定。
Concurを使うなら経費精算アカウント。
SmartHRやCOMPANYやSuccessFactorsなどと連携。
さらにオフィス入館証。
名刺。
携帯電話。
社用PC。
給与口座。
社会保険。
全部動く。
つまり、
「社員一人を会社へ入れる」だけでも、10個以上のシステムが動くことがある。
普通に働いていると、この全体像は見えません。
営業マンは取引先を連れてくる。しかし会社はその会社を審査している
営業が、
「すごく良い会社を見つけました。月3000万円売れそうです」
と言う。
営業から見れば最高のニュースです。
しかし管理側では、
「月3000万円売れる」
ではなく、
「この会社に数千万円の無担保信用を供与して大丈夫か」
という話になる。
そこで、
帝国データバンク。
COSMOSNET。
東京商工リサーチ。
tsr-van2。
T-WATCH。
登記情報提供サービス。
gBizINFO。
日経テレコン。
場合によってはEDINET。
こういうものを見る。
営業マンが会社のホームページを見て、
「従業員500人の立派な会社です」
と言っている横で、
審査担当者は、
代表者変更。
本店移転。
評点。
リスクスコア。
借入金。
利益。
キャッシュフロー。
支払遅延情報。
などを見ている。
同じ会社を見ているのに、
見えている会社が違います。
マーケターがテレビCMを考えている横で、別の人はJANコードを見ている
食品メーカーや日用品メーカーなら、さらに違う世界があります。
広告担当者は、
ブランド認知。
CM。
クリエイティブ。
SNS。
を考える。
一方で営業企画や市場分析側では、
SRI+。
SCI。
KSP-POS。
True Data。
Eagle Eye。
ID-POS。
などを見ている。
「ブランドイメージが少し弱いですね」
ではなく、
「ドラッグストアで販売店率が落ちている」
「トライアルは増えたがリピート率が低い」
「数量PIは維持しているが平均価格上昇で金額PIだけ伸びている」
という話になる。
マーケティングという同じ名前の仕事でも、
テレビCMを考えている人と、
JANコード単位のPOSを分析している人では、
全く違う会社を見ています。
商品を海外から仕入れているだけで、NACCSの世界がある
商社やメーカーなら、
「中国から仕入れています」
という一行の裏に、
Booking。
FCL。
LCL。
CY。
CFS。
Shipping Instruction。
Invoice。
Packing List。
B/L。
Surrendered B/L。
Sea Waybill。
Arrival Notice。
D/O。
NACCS。
HS Code。
EPA。
原産地規則。
Demurrage。
Detention。
という世界があります。
営業会議では、
「中国OEMに切り替えれば原価が20%下がります」
と一行で書かれる。
しかし物流担当からすると、
FOBなのか。
CIFなのか。
Landed Costはいくらなのか。
HS Codeは何番なのか。
EPA適用できるのか。
Free Timeは何日なのか。
コンテナが遅れたら在庫は持つのか。
という話になる。
ここでも、
経営会議で一行になっていることの裏に、実務が100行ある。
支払いも「銀行振込」では終わらない
取引先へ1万円振り込むなら、銀行サイトを開けば終わります。
しかし大企業が取引先1万社へ支払う場合、
そんなことはしません。
SAPなどから支払データを作る。
全銀フォーマット。
総合振込。
VALUX。
AnserDATAPORT。
eBAgent。
複数銀行との接続。
承認Workflow。
振込結果データ。
さらに受取側では、
入金消込。
ZEDI。
請求番号。
顧客コード。
という世界がある。
経営者は、
「今月100億円払いました」
と一行で見る。
しかし財務担当者には、
100億円を事故なく動かすインフラ
があります。
金額が大きくなるほど、
「振込ボタンを押す」
という仕事ではなくなります。
月末になると、各部署が作った現実を経理が一つの数字にする
そして月末。
営業が売った。
物流が運んだ。
購買が仕入れた。
人事が給与を払った。
マーケティングが広告費を使った。
全部を会計へ集める。
仕訳。
未払計上。
前払費用。
減価償却。
引当金。
棚卸。
固定資産。
税金。
そしてグループ企業が多ければ、
連結決算。
ここでも、
DIVA。
STRAVIS。
Oracle FCCS。
SAP Group Reporting。
などの連結会計システムが出てくる。
親会社が子会社へ100億円売った。
グループ全体では外部に売っていない。
だから消す。
内部取引消去。
子会社の在庫に親会社の利益が残っている。
グループ全体ではまだ実現していない。
だから消す。
未実現利益消去。
この処理を通して、
ようやく投資家が見る、
連結売上高
営業利益
純利益
になる。
つまり決算書に載っている数字は、
最初から存在していた数字ではありません。
会社中で発生した数百万件の取引を、一定のルールで圧縮した結果
です。
会社員は、自分の画面だけ見ている
営業マンはSalesforce。
経理はSAP。
人事はCOMPANY。
広告担当はGoogle広告。
メーカーならSRI+。
審査部ならTDB。
物流ならNACCS。
財務ならVALUX。
連結ならDIVA。
情シスならEntra ID。
それぞれ自分の画面を見ています。
そして、
自分が見ている画面が会社だと思う。
しかし実際には、
Salesforceで受注した案件が、
SAPへ行き、
請求され、
銀行へ入り、
連結され、
最終的に有価証券報告書へ載る。
全部つながっています。
会社とは、
部署の集合というより、
情報・物・金・権限が移動する巨大なネットワーク
です。
ここを理解すると、会社の見え方が変わります。
出世すると、専門知識より「接続部分」が重要になる
若手社員なら、
自分の仕事ができればいい。
営業なら売る。
経理なら締める。
マーケターなら集客する。
しかし上へ行くほど、
一つの仕事だけでは済まなくなります。
例えば事業部長なら、
売上だけではない。
粗利。
在庫。
採用。
広告。
与信。
設備投資。
キャッシュ。
全部を見る。
さらにCEOになると、
一つの事業ではない。
どの事業へ資本を配るか。
どこから撤退するか。
何を買収するか。
どの人材をどこへ置くか。
まで見る。
つまり上へ行くほど、
専門領域そのものより、専門領域と専門領域の間
が仕事になります。
営業と財務。
マーケティングと物流。
人事と事業計画。
購買とキャッシュフロー。
ITと内部統制。
M&Aと人事。
これらの接続部分です。
だから「ビジネスを知っている」と「自分の仕事を知っている」は違う
会社員として優秀でも、
会社そのものを理解しているとは限りません。
Salesforceを10年使っている。
しかしその案件が売掛金になった後を知らない。
ブランドマーケティングを10年やっている。
しかし小売のID-POSを見たことがない。
経理を10年やっている。
しかし営業がどう顧客を獲得しているか知らない。
人事を10年やっている。
しかし一人採用したことで事業のUnit Economicsがどう変わるかは見ていない。
全部普通です。
会社は巨大なので、
一人の人間に全体を見せる必要がない
からです。
むしろ組織とは、
全体を知らなくても部分作業だけで動くように作られています。
それが組織の強さです。
同時に、
会社員が会社を知らないまま20年働ける理由でもあります。
そして、ここから人生の問題が少し面白くなる
東京でそれなりに稼ぐ。
仕事もできる。
会社からも評価される。
しかし、
「このままこの会社で20年働くのか」
と考え始める。
そのとき多くの人は、
自分の会社しか知りません。
もっと言えば、
自分の会社の、自分の部署しか知らない。
それなのに、
「会社員という生き方はこういうものだ」
と判断する。
少し早いかもしれません。
一歩横へ行くだけで、
今まで存在すら知らなかった仕事があります。
NACCSを触っている人。
企業信用調査をしている人。
資金決済インフラを管理している人。
POSデータを買っている人。
M&AでNet Debtを詰めている人。
連結決算で未実現利益を消している人。
ID管理をしている人。
会社の中だけでも、
知らない世界が大量にあります。
そして会社の外へ出れば、さらに増えます。
PE。
商社。
銀行。
広告代理店。
FAS。
コンサル。
物流。
SaaS。
不動産。
建設。
メーカー。
小売。
独立。
起業。
投資。
人生の選択肢が少ないのではなく、
自分が見えている世界の解像度が低いだけ
ということがあります。
これは結構重要な違いです。
年収1000万円になっても世界が狭い人はいる
金を稼ぐことと、
世界を広く知ることは別です。
同じ会社。
同じ部署。
同じ顧客。
同じ業界。
同じ同僚。
これを15年繰り返して年収1500万円になっても、
見えている世界は意外と狭いことがあります。
逆に、
会社の裏側を一つずつ覗いていくと、
「こんな仕事があるのか」
「こうやって会社は動いていたのか」
「この業界ではこんな数字を見るのか」
という発見が大量にあります。
私はこういうものを知るのがかなり好きです。
NACCSも、
VALUXも、
SRI+も、
TDBも、
ZEDIも、
普通に生きていれば知らなくても困りません。
しかし、一つずつ知っていくと、
ニュースで「会社」を見たときの解像度が上がる。
経営者が何をやっているのか。
なぜこんな部署があるのか。
なぜこんな会社が儲かるのか。
どこで金が動いているのか。
どこで人が詰まっているのか。
少しずつ見えるようになります。
そして最終的には、
会社を見るための知識だったものが、
自分の仕事や人生を見るための材料
にもなります。
自分は会社のどこを担当しているのか。
その能力は他社でも使えるのか。
今やっている仕事は、市場のどこに位置するのか。
その仕事は10年後も価値があるのか。
会社の中で上に行くのか。
違う機能へ行くのか。
違う業界へ移るのか。
会社という仕組みそのものから出るのか。
「この先どうするのかわからない」
という問題には、
人生論だけ読んでも答えが出ないことがあります。
その前に、
世の中には何が存在しているのかを、まだ全然知らない
という可能性を考えた方がいい。
会社員を長くやっている人ほど、
自分は社会をよく知っていると思いがちです。
しかし実際には、
毎日見ている巨大な会社でさえ、
自分の知らない仕組みでほとんどが動いている。
私は、そちらの方が面白いと思っています。
===
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"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。



