自動車メーカーが「車に乗らない層」を取り込むためにやったことと、実際に車に乗る率が増えたのかについて整理する。
① 自動車メーカーが「車に乗らない層」を取り込むためにやったこと
「車に乗らない層」を増やすために、自動車メーカーが取った戦略は、大きく5つに分類できる。
1. デザイン・カラー戦略(感性に訴える)
➡ 「車に興味がない層」に、見た目のインパクトで惹きつける。
例:
- ピンククラウン(トヨタ) → 若者・女性向けに大胆な色のクラウンを投入
- C-HR(トヨタ) → スタイリッシュなクーペSUVでデザイン重視層を狙う
- ジムニーシエラ(スズキ) → レトロデザインでアウトドア層にアピール
⏩ 効果:短期的に話題にはなるが、長期的な車離れのトレンドを覆すほどの影響はなし。
2. 低価格・維持費削減(経済的負担の軽減)
➡ 「車はお金がかかる」という壁を下げる戦略。
例:
- N-BOX(ホンダ)・ワゴンR(スズキ) → 燃費・維持費の安い軽自動車を都市部でも売り込む
- ミライ(トヨタ)・リーフ(日産) → EVシフトでランニングコストを削減
- サブスク型サービス(KINTOなど) → 購入ではなく定額利用モデルを展開
⏩ 効果:軽自動車は好調だが、「車が不要な人」を動かす決定打にはなっていない。
3. モビリティサービス(シェア・サブスク・MaaS)
➡ 「所有しなくても使える」モデルを広げる。
例:
- トヨタ KINTO → 月額定額制で車を利用
- カーシェア(タイムズカー・Anycaなど) → 必要な時だけ使うモデル
- 超小型モビリティ(i-Road, COMS) → 都市部の短距離移動向け
⏩ 効果:都市部での利用は増加。しかし、これらのサービスは「車を所有する代わり」になっているだけで、車に乗る率全体の底上げにはつながっていない。
4. ライフスタイル提案(「車を使う楽しさ」の訴求)
➡ 「車を持たないと楽しめない」という体験価値を提供。
例:
- ハスラー(スズキ) → 「アウトドアの楽しさ」を前面に出す
- ジムニー(スズキ) → SNSでの拡散を狙い、趣味性を強調
- SUVブーム(トヨタ・マツダ・ホンダ) → 「車を持つことで得られる経験」をアピール
⏩ 効果:一部の若者や女性にアピールしたが、「移動手段としての需要」ではなく「趣味としての需要」に偏った。
5. 新技術・利便性向上(運転のハードルを下げる)
➡ 運転が面倒・怖いという層へのアプローチ。
例:
- 自動運転技術(プロパイロット、トヨタセーフティセンス) → 運転の負担を減らす
- 軽自動車+スライドドア(N-BOX, タント) → 高齢者や子育て世代にも使いやすく
- 電動キックボード・超小型EV → 「車未満の移動手段」で馴染ませる
⏩ 効果:運転への抵抗感は減ったが、「車を持たない層を取り込む」ほどの影響力はなかった。
② 実際に「車に乗る率」は増えたのか?
→ 全体的には「車に乗る率」は増えていない。むしろ減少傾向。
📉 乗用車の世帯普及率(日本)
- 2000年:81.5%
- 2010年:82.3%(ピーク)
- 2020年:78.3%(減少傾向)
都市部(東京・大阪など)では、若者を中心に「車を持たない世帯」が増加。
📉 若者の免許取得率(18歳人口)
- 2000年:70%
- 2023年:47%
➡ 若者の免許取得率は大幅に低下。「そもそも免許を取らない層」が増えている。
📈 軽自動車の販売台数(一部増加)
- 都市部での車離れは続いているが、地方では軽自動車の利用が伸びている。
- 2010年以降、N-BOX(ホンダ)やタント(ダイハツ)が爆発的に売れた。
- 「車を持たない層の取り込み」というより、「すでに車が必要な人の選択肢が軽自動車に移った」だけ。
結論
- メーカーは「車に乗らない層」を取り込むために様々な戦略を打ったが、根本的な需要は変えられなかった。
- デザイン・価格・シェアリング・ライフスタイル提案などのアプローチはあったが、「車不要の価値観」を崩すには至らず。
- 結果として、「車を持たない層」が「車を持つようになった」事例はほぼなく、「すでに車を買う層」に対しての売り方が変わっただけ。
- **都市部では車離れが進み、若者の免許取得率も低下。**メーカーの施策は、この流れを止める決定打にはなっていない。
- 一方、軽自動車やサブスク型サービス(KINTOなど)は一定の効果を発揮。「完全に車に興味がない人」ではなく、「維持費が高いから持たない層」に対しては、ある程度成功している。
➡ 総じて、「車を持たない人を乗る人に変えた」成功例は少なく、車を持つハードルを下げたことによって、一部の人の選択肢を広げたにすぎない。
「車に乗らない層を取り込む」目的で作られた車は他にもいくつかある。ここでは代表的なものを紹介する。
① ピンククラウン(トヨタ)
目的
- 「クラウン=オジサン向け」のイメージを刷新
- 若年層・女性ユーザーの開拓
戦略
- 2013年、「ReBORN CROWN」キャンペーンでピンク色のクラウンを投入。
- インパクト重視のマーケティング(CM・SNS戦略)
- 高級車だが「個性を演出するクルマ」として売り出し
結果
❌ 失敗
- 話題にはなったが、実際に購入する層が限られた。
- 「高級車=落ち着いた色を選ぶ」価値観は崩せず。
② トヨタ C-HR
目的
- 「車に興味がない層」にスタイルで訴求
- 若者・女性ユーザーを増やす
戦略
- SUVブームに乗りつつ、クーペ風デザインで個性的に
- 若者向けに「かっこよさ」を強調
- ハイブリッドで燃費も重視
結果
✅ 成功(ヒット車種)
- デザイン重視の層にウケ、都市部の若者にも浸透。
- ただし「車に興味がない層」まで広げたかは微妙。
③ ホンダ N-BOX
目的
- 「車を持たない層」でも使いやすい軽自動車
- 都市部・高齢者・主婦層の取り込み
戦略
- 「ミニバン的な軽自動車」をコンセプトに、広さを強調。
- 運転しやすく、維持費が安い=車に詳しくない層にも優しい
- 圧倒的な実用性で主婦・高齢者・都会住みの人にアピール
結果
✅ 大成功(日本で最も売れるクルマ)
- 「車に乗らないと困るけど、こだわりがない人」には刺さった。
- ただし「車がいらないと思っている人」は動かせず。
④ トヨタ i-Road(超小型モビリティ)
目的
- 都市部の「車を持たない層」をターゲット
- パーソナルモビリティの新ジャンルを開拓
戦略
- バイク+クルマの中間のような乗り物(3輪EV)
- シェアリング前提の展開(パーソナルユースよりMaaS狙い)
- 実証実験を国内外で実施
結果
❌ 普及せず
- 法規制・インフラ整備の問題で本格展開に至らず。
- 一部のシェアリングサービスでは採用されたが、一般市場には広がらなかった。
⑤ スズキ ハスラー
目的
- 「アウトドアやアクティブ層」をターゲットにした軽自動車
- クルマに興味がない層にも「ライフスタイル提案」
戦略
- SUV風のデザイン+軽自動車の手軽さ
- 「クルマを楽しむ」コンセプトで、道具としての価値を訴求
- 若者向けのマーケティング展開
結果
✅ 成功(ヒット車種)
- 軽自動車ユーザーの裾野を広げたが、「車に興味がない層」を完全に取り込んだわけではない。
まとめ
車種 | 目的 | 成否 | 理由 |
---|---|---|---|
ピンククラウン | 若者・女性向けの高級車 | 失敗 | 話題性はあったが、購入には至らず |
C-HR | 若者向けデザインSUV | 成功 | 若年層にウケたが、非ユーザーの取り込みは微妙 |
N-BOX | 実用性重視で非車ユーザーもターゲット | 大成功 | 車に興味がない層にも売れた |
i-Road | 都市部の新モビリティ | 失敗 | 規制やインフラ問題で普及せず |
ハスラー | アクティブ層・若者向け | 成功 | 軽自動車市場を広げた |
総合的な結論
- 「車に興味がない層」を取り込むのは極めて難しい。
- 一時的な話題づくり(ピンククラウン)は効果なし。
- 「デザイン・趣味性」で惹きつけても、根本的な需要は変わらない(C-HR・S660)。
- 「実用性+コスト優位性」が最も有効な戦略。
- N-BOXの成功は、実用性・維持費の安さ・運転しやすさを兼ね備えていたから。
- ハスラーも「アウトドア道具」として訴求し、ライフスタイルに絡めたのが良かった。
- 「車を売る」よりも「MaaS(シェアリング・モビリティサービス)」の方が可能性あり。
- i-Roadのようなモビリティは、所有よりもシェアの方が適している。
- 車を持たない層には、「買わせる」より「使わせる」戦略の方が有望。
つまり、
➡ 「車を持たない層」は、根本的に車を必要としていない。
➡ 「価格」「維持費」「利便性」のどれかを大幅に変えない限り、新規層を開拓するのは難しい。
➡ 「売る」より「シェア・MaaS・新モビリティ」の方が可能性がある。
今後のカギは、EV化+シェアリング+MaaSの進展にあるかもしれない。
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"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。