はじめに
ダイレクト・レスポンスマーケティングでは、フロントエンド・バックエンドが基本的な仕組みとなる。
フロントエンド商品を購入した相手に販売するのがバックエンド商品という位置付けである。
つまり、フロントエンドは客寄せ商品、バックエンドは利益商品という位置付けである。
そして、多くのダイレクト・レスポンスマーケティング実行者は、フロントエンド商品に注力する傾向がある。というより、これがセオリー、常識とされているのだ。
しかし、私は当初から疑義を持ち、「反逆のマーケティング」を仕掛けてきた。これが、国内最高峰レベルのLTVを実現した実績に繋がっている。
1:オレなら逆
これは私の消費者経験に端を発する。
ジェイエイブラハム、ダイレクト出版、マイケルマスターソン、その他、DRMを活用したビジネスを消費者として利用し感じたのは、「バックエンドがガバガバ」ということである。こうなってくると、リピーターになる動機がない。ファン化するインセンティブが無いのである。
というより、そもそも、そんなDRM系のビジネスに触れる前から、「一般常識」「社会人経験」から言って、リピーターがリピーターになるインセンティブ・メリットが無いのであれば商売としてよろしくないのは当たり前にわかっていた。
観光地ビジネス、葬式ビジネス、不動産ビジネス、結婚式ビジネスのように1人の客と1回しか付き合わないならメチャクチャな商品で暴利を貪ることでも成立するし、後のことを考えなくても良い。
しかし、大抵はそうではない。
(1):西園寺貴文と、テスラ=イーロンマスクの思想は同じ
テスラの車は、すべて基本的に同じように作られている。同じように作るから大量生産でコストを下げることができる。
そして、安価なフロントエンド商品は、システムでわざと機能制限をしている。
ユーザーはアップデートに金を払えば、それが解放されてより高いレベルの機能を使えるという仕組みである。
これは、昨今の「イケてるビジネス」全般に用いられている思想だと思う。SaaS系サービスや、アプリゲームものこの傾向があると思う。
(2):一人当たりn円を持ったお客さんx人が自社商品を買った場合
私の場合、
一人当たりn円を持ったお客さんx人が自社商品を買った場合
において、
「n円のうちの使った割合」
が多い順、つまり端的に言えばお金を使った順に有利になるような設計を意識してフロントエンド・バックエンド商品のラインナップを考えている。
すべての条件が同じ場合、お金を使った方が絶対に有利になるような商品・サービスの価値提供を考える。
そして今の想定は、全員が同じ金額を持っているということを前提にしている。決して、その人が持っている金額のうちの%ではない。あくまで金額ベースである。
この考え方が優れているのは、以下である。
- ビジネスは売上だから、お金を使ってくれる人を贔屓するのは当たり前
- 一方で、持てる金額の中でウェイトを割いてくれている人は金額的には小さくても、「意欲は高い」という捉え方をする
つまり、1の場合はただ金が余っているケースが考えられ、大して2はその人の可処分所得の中で精一杯であればその分熱意があるとなると、前者は離反確率が高いが、後者は定着率が高いと考え、後者はその点で評価しておけば良いのである。
(3):それなら課金ゲームだろ、への反論
金を使った人間ほど評価・優遇する、というのは「それなら課金ゲームだろ」という反論があるだろう。別に、それが何が悪いのだ、ということである。商売・ビジネスであるからだ。
ただし、見落としていけないのは、
- 「あくまですべての条件を同じにした場合」
- 「持っている金額も全て同じにした場合」
が前提だということだ。
実際はそんなことはない。
例えば、高学歴で頭が冴える人間は、少しのサービス利用からたくさんのインスピレーションを受けて価値を引き出すかもしれない。
(4):慶應義塾大学のモデルをパクる
大学の経営は難しい。
そんな大学経営の中で、最もうまくいっているのは、慶應義塾大学だと思う。個人的には好きではないしむしろ嫌いだが、運営の仕方は実にうまい。さすが資本主義の権化である。
慶應は
- 幼稚舎・内部進学勢 (=要するに重課金者優遇)
- 一般入試勢 (=要するに地頭が良いタイプ)
- 推薦、AO勢 (=要するに一芸、実績があるタイプ)
で分かれている。
こうして、慶應は、金持ちの子息を集め、一般入試で強い人間を集め、小さい頃から「マルマルモリしてる鈴木福くんみたいなタレント」も集めることに成功しているのである。
結局、大学の名誉・ブランドを高めてくれる人材を集めれば、大学にプラスになるのである。
だから、
- 金を使ってくれる人
- 名誉を高めてくれる人
を集めれば良いのである。「金にならないタイプ」であっても、名誉を高めるタイプを集めておけば、ビジネスはうまくいく。
高学歴、一芸がある、などの名誉を高めるタイプで金払いが悪い層は、
「別枠」
を設けてそこで別の形で吸収し、管理すれば良い。そうすれば、その他については金額で明確にソートする、切ることに問題がなくなる。
2:コスパ中毒、フリーライダー、手抜き勢を絶対に許さない
フロントエンド・バックエンドを活用したマーケティングにおいて、邪魔なのは、
- コスパ中毒・フリーライダー・チェリーピッカー(要するに金にならない)
- 名誉を高めない、名誉を下げる
である。
スーパーマーケットの経営でも、客寄せの目玉商品であったり、お客さんに味見をさせるための無料試食だけを目当てにしてやってくる客は「チェリーピッカー問題」として深刻な頭痛の種になっている。
どんな分野でもこのようなクソ客は存在する。
(1):サボった人間が得する仕組みは絶対にNG
どんなコミュニティ、組織運営でも同じだが、「サボった人間、抜け駆けする人間が得する仕組みは絶対にNG」である。
例えば、薄給ワープアより生活保護の方が良い生活ができる、となると、多くの人は働く気を無くすだろう。これは共産主義・社会主義が資本主義に対して劣る理由の部分とも接続する。
こういう仕組みを放置した組織は必ず瓦解する。つまり、頑張ることで報われず、楽する・怠けることで良い思いができるなら、それを誘発するインセンティブをばら撒いていることになる。
同様に、ビジネスにおいても、重課金者を優遇せず、ライトユーザー・フリーライダーを放置する仕組みをしていれば、絶対に重課金者が現れない。
その意味で、粗品などはうまくやっている。
(2):必ずペナルティを与えるのがマネジメント
一定の年齢になると、管理職になることが求められる。マネジメントとは何か。その本懐とは何か。それは、おサボり層、ボトルネックを潰すことである。フリーライダーを締め付け、場合によっては圧力をかけて追い出すことである。
このペナルティを与えることができないマネジメントは、必ず組織・コミュニティを腐らせる。なぜならば、「怠けた方が有利」になるからだ。
多くの会社では、上司に評価されないことを不満としている会社員が多い。評価しない上司は、下位層にも甘い。アンダー層を締め付けることもしていない。「優遇」しないということは「劣遇」もしないということだ。
これはビジネスでも同じである。
重課金者を優遇すると同時に、フリーライダー層にペナルティを与えることができなければビジネスは回らない。
先に紹介した、
ジェイエイブラハム、ダイレクト出版、マイケルマスターソン、そのほかのDRMプレーヤーのダメなところは、
「フロントエンド迎合しすぎ」
な点である。ヘビーユーザーに対してグダグダであるのに対して、フロントの方で優遇しようと資源のアロケーションをした結果、例えば完全に離反してしまっている・離反しかけてしまっている相手に対しても、フロントエンドの餌を与えてしまっている。
(3):徹底的に監視
私の場合、徹底的にフリーライダー・ライトライダーを監視する。特に、一度、優良顧客になったかと思いきや離反して周辺をちょろまかしてる人間には極めて厳しい。
通常、ビジネス経験が甘い人たちはこの層を優遇してしまう。しかし、冷徹なデータサイエンスを基にプレイしている私は、「顧客モチベーションは不可逆である」と考えており、仮に離反層が戻ってきたとしても、過去のピークは超えられないと最初から割り切っている。
これは、簡単な話である。
離婚して、復縁した夫婦はどうせうまくいかない。「会社辞めます」と言ってきた部下はどうせ遅かれ早かれやめる。
そして、こういう層を絶対に甘やかさないのだ。
(4)適正な評価序列は人間集団に必ず必要
適正な評価序列は人間集団に必ず必要である。
というのは、10しかない人間に100だと錯覚するような待遇や褒めを与えると、大抵の場合、調子に乗る。そして腐る。一方で、本当に100なタイプが損をする・やる気を失うだろう。
また、100の人間に90の評価しか与えないケースも同様である。
3:お客様を大切にするの本当の意味
お客様を大切にする。
これは商売の基礎基本である。
では、お客様とは一体何なのか。
(1):お客様=お金
お客様とは、お金である。
ということは、金を払わないならお客様ではない。むしろただのゴミ、害虫である。
金を払わないタイプに対してシビアな態度を取れない人間は、マネジメントにも向いていないし、商売にも向いていない。なぜならば、ここで甘い態度をすることは、要するに「抜け駆け層にインセンティブを与え、まとも層のモチベーションを破壊し、コミュニティを瓦解させる」ことにつながるからである。
ここまで考えが至らず、右往左往し、浅い思考しかできないなら、システム思考力が足りない。
(2):長期LTVの優先がお客様の優先
当然、「お金を払った方が優先」「お金を払う金額が大きい方が優先」である。そしてその計測は、「長期的にどうか」ということになる。
長期的なLTVで考えて、顧客の優先が決まる。
(3):ただし、将来のお金の価値と今の価値は等価ではない
ただし、重要なのは、今の100円と、将来の100円は等価ではない。これは簿記会計やファイナンスがわかる人にとっては常識であるが、将来の100年は、その年数分を無リスク金利で割引いた現在価値で評価しなければならない。
そういった計算も込みで、「トータルでお金を使ってくれる人」を優遇すべきである。
だから、同じ100万円を使ってくれる人でも、1ヶ月で使ってくれる人と、1年かけて使ってくれる人では前者の方が圧倒的に価値が高い。
この優先を間違えてはいけない。
そして幸いなことに、
- 太客は最初から太客
- 購入ペースが遅いのはやっぱり細客
という明確な傾向があるのである。
だから、「金額が小さい」「使うペースが遅い」というのは普通に考えて細客である。
お客さんを待つ、育てるというのも効果があるのはある程度まで、である。
こう考えてみてほしい。60歳、70歳で司法試験に合格するのは意味があるのか。すべての価値は、「時間との比」である。そして、すべての商売も、時間と闘っている。資金繰りというのも時間との戦いである。ビジネスは時間とお金のゲームである。
遅い客を待てば待つほど、優遇すればするほど、ビジネスは不利になる。そしてそれは、フリーライダー・ライトライダーに期間の利益を与えることになる。対して、即決したタイプに対して失礼である。優遇の順序が違う。
終わりに
より大きく、より早くお金を使った層を優遇すべきである。
そして、そういったタイプが、有利になるような設計をすべきである。
細客は細客として生かしておけば良いが、それなりの範囲で生かしておくということを徹底することである。
大事なことは、「細客でいることが、太客でいるより有利な構造は絶対に作らない」ということだ。
フロントエンド商品、安価な商品もそのような設計で考えるべきである。
また、例えば、同じ金額1000万円でも、5年で使ってくれた人と、15年で使ってくれた人では、後者の方がしっかりディスアドバンテージを喰らうような構造にならなければならない。
その意味で、すべての商品・サービスに、
- 賞味期限性
- 早期優位性
を持たせることは重要である。
私の場合、細客は、たとえ購買が継続していても、購買の権利すら取り上げる・追い出すことはよくある。
しかも、こういったアナウンスをして、購買がやっと加速する層は「ナメている」のでいる。こういったタイプは、会社でも「圧力をかけてようやく動き出す層」であり、圧力をかけてやっと機敏になるくらいであるから、優先が落ちているのである。つまりナメている。
ただでさえ細客なのに、ナメている客など、リスクファクターでしかない。
こういったことを緻密に考えて、ビジネスは設計すべきだと私は思う。
フロントエンド・バックエンドマーケティングについて、ここまで思想的に深く考え、更にデータサイエンスの裏付けを取ってる人間は皆無であろう。
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"make you feel, make you think."
SGT&BD
(Saionji General Trading & Business Development)
説明しよう!西園寺貴文とは、常識と大衆に反逆する「社会不適合者」である!平日の昼間っからスタバでゴロゴロするかと思えば、そのまま軽いノリでソー◯をお風呂代わりに利用。挙句の果てには気分で空港に向かい、当日券でそのままどこかへ飛んでしまうという自由を履き違えたピーターパンである!「働かざること山の如し」。彼がただのニートと違う点はたった1つだけ!そう。それは「圧倒的な書く力」である。ペンは剣よりも強し。ペンを握った男の「逆転」ヒップホッパー的反逆人生。そして「ここ」は、そんな西園寺貴文の生き方を後続の者たちへと伝承する、極めてアンダーグラウンドな世界である。 U-18、厳禁。低脳、厳禁。情弱、厳禁。