木下栄蔵の安易なゲーム理論による日本核武装論から、藤原正彦の言う「理系は視野が狭く政治リーダーに向いていない」論について論考する
木下栄蔵は、ゲーム理論の枠組みから「日本は核武装すべきだ」と主張した。彼の立論は、一見すれば合理的である。確かに、純粋なゲーム理論のモデル上では、核武装によって抑止力を確保し、相互確証破壊(MAD)バランスに参加することは、最適解に見える。すなわち、戦略的安定の均衡点を得るための合理的行動として、核保有は“支配戦略”に見えるのだ。 しかし、問題はそのモデルの変数設定にある。 木下の議論は、国家間の (さらに…)